アジリティとは?意味や特徴、アジリティを高める方法を解説

アジリティの記事
機敏さ、素早さを意味するアジリティは、ビジネスでは組織の敏捷性として使われます。めまぐるしく変化を遂げる環境において、企業には機敏に対応することが求められているのです。記事では、アジリティが高い組織の特徴やアジリティを高める方法について解説します。
目次

アジリティとは?

ビジネスで使うアジリティはどのように使うでしょうか?アジリティが注目される理由、クイックネスとの違いを解説します。

アジリティの意味

アジリティは機敏さ、素早さを意味する言葉です。スポーツ業界では、方向を転換するとき、ボールを避けるときなどにアジリティが求められます。また、ドッグスポーツ業界では障害物競技をドッグアジリティと呼び、障害物に対して機敏に対応するという意味で使われてきました。

ビジネスでのアジリティの使い方

ビジネスのアジリティは組織の敏捷性として使われます。ビジネスのアジリティは、状況に応じて素早く意思決定を行い、社員の行動や働き方などを変えていくという意味です。

アジリティはなぜ注目されるのか

企業を取り巻く環境は激しく変化しています。現代はVUCAの時代といわれ、不確実で予測がつきません。VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの言葉の頭文字から名づけられています。要は、現代は企業を取り巻く環境がめまぐるしく変化し、不確実で将来を見通せないという意味で使われます。

例えば、2020年初頭に発生した新型コロナウイルスは経済に大きなダメージを与えました。人と人との距離を保ち、出社せずにテレワークを行うなど、働き方やライフスタイルが大きく変化しています。変化に伴い、既存事業や製品やマーケティングの打ち出し方も対応を迫られます。不確実で予測がつかない状況下で、企業・組織がいかに敏速に対応できるかが問われます。

アジリティとクイックネスとの違い

ビジネスではアジリティの類語としてクイックネスが使われます。どちらも速さに関する用語ですが、アジリティは「変化に対して臨機応変に判断し、行動する力」であるのに対して、クイックネスは「物事を始めるときの瞬発力」をいいます。変化に対して企業として素早く判断し、柔軟に対応できるか、瞬発力だけでなくアジリティが求められるのです。

アジリティが高い組織の特徴

アジリティが高い組織にはどんな特徴があるでしょうか。5つのポイントで確認します。

組織のビジョンが明確である

変化が生じたときに初めて対応策を考えていては他社に出遅れてしまいます。アジリティが高い組織は、環境変化が生じることを承知の上で組織ビジョンを策定します。つまり不確実で将来が見通せない中でも、変化に対応できる組織ビジョンを明確に策定することで柔軟に対応できるわけです。

事業ドメインを狭く捉え過ぎるとマーケティング近視眼に陥ることもあります。マーケティング近視眼とは、狭い範囲での競争に固執してしまい、大きな環境変化に対応できないという問題が生じることをいいます。

マーケティング近視眼の代表例に米国の鉄道会社の衰退があります。車・航空機の台頭といった環境変化に耐えられず衰退したのです。この場合の望ましいドメインは「鉄道会社」ではなく「輸送事業」でした(『この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本』)。

この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本

環境変化を想定した上で組織のビジョンを策定すれば、既存事業を脅かす脅威が表れても柔軟に対応できるのです。

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柔軟な発想力と対応力に秀でる

環境変化が起こったときに求められるのは柔軟な発想力と対応力。アジリティが高い組織は発想力と対応力に秀でています。

経営学にはプロダクトライフサイクルという考え方があり、人間の寿命のように製品・サービスにも導入・成長・成熟・衰退・撤退があると考えます。しかし、衰退していると思った製品であっても発想力と対応力で他の事業に活かすことができます。

例えば富士フイルムは、フイルム事業が衰退したときに医療や化粧品事業に事業を転換し成功を収めました。事業が衰退したときに、発想力、対応力を活かして生き延びたのです。一方、コダックはフイルム事業の成功体験に引きずられ、事業転換できずに2012年に倒産してしまいました。

組織の現状を把握できる

アジリティが高い組織は組織が現在どんな状況なのかを把握することができます。自社を取り巻く環境変化がどのような状態にあるかを知らなくては、打ち手がありません。

アジリティが高い組織は、組織が置かれた現状を迅速に把握するため、情報共有が徹底しています。そのため、環境変化にもすぐに対応し、経営者が判断を下せる体制が整っているのです。

迅速で最適な意思決定ができる

アジリティが高い組織は、経営者レベルに留まらず一般社員に至るまで迅速で最適な意思決定をすることを大切にしています。従業員は意思決定権を委譲され、当事者意識をもって働きます。

従業員にリーダーシップがある

アジリティが高い組織は、従業員が決定力をもって働くためリーダーシップがある従業員が多くなります。決裁者の意思決定を待たずに従業員自らが物事を決めていくので、スピード感のある組織となります。

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アジリティを高める方法とは?

環境変化に対応するため、企業にはアジリティが必要だと分かりました。実際に企業のアジリティをどう高めるかが問題となります。アジリティを高めるための方法を確認していきます。

業務プロセスの効率化を推進する

アジリティを高めるには、現状の業務プロセスがどうなっているかを把握することから始めて下さい。業務プロセスを把握した後、ムダを省き、効率化を進めます。効率化のために、ITツールの導入、AIシステムの導入を検討します。

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裁量権を与え意思決定のスピードを高める

アジリティが高い組織は、従業員に裁量権があります。管理者でなければ決定してこなかった項目も、従業員に権限を委譲し、意思決定のスピードを高める必要があります。

ただし、いきなり全従業員に等しく裁量権を与えるのは難しいですから、裁量権の枠を徐々に広げるように工夫します。例えば、課長に与えていた権限を係長や主任に委譲するというように権限の枠を広げていくのです。権限を委譲された従業員は自ら考えるようになりますから、責任は伴いますが意思決定のスピードが高まるでしょう。

従業員に組織目標を浸透させ、行動に繋げる

意思決定のスピードが高まっても、企業の組織目標が浸透していなければ意味がありません。従業員に組織目標を浸透させ、行動に繋げることで、アジリティを高めます。組織目標はホームページに掲げていても浸透にはなりませんので、組織開発のような手法を取って浸透させます。

情報・コミュニケーションツールを活用する

意思決定のスピードを高めるには、情報が瞬時に経営者や他部署の従業員にも伝わらなくてはなりません。ビジネスでも使えるコミュニケーションツールを活用し、迅速な情報共有を図りましょう。社内限定のSNSである「社内SNS」を活用する企業も増えているので、コミュニケーションツールの一環として検討してみましょう。

アジリティ向上のための人材マネジメント施策

アジリティを高めるために有効な2つの人材マネジメント施策を紹介します。

ラーニングアジリティ教育

ラーニングアジリティとは、人事コンサルティング会社コーンフェリーが提唱した概念で、日本語では学習機敏性と訳されます。ラーニングアジリティは、環境変化から学習し、新しい問題へ対応していく能力を指します。ラーニングアジリティはリーダー層が必要とする能力。環境変化が激しい現代にあって、ラーニングアジリティ教育を実施することで、アジリティが高いリーダーが率いる組織が構成されるのです。

組織開発

アジリティを高めるための人材マネジメント施策として、組織開発も効果があります。組織開発は「組織を活性化し、または組織の問題を解決するために、組織に介入すること」です。介入するのは人事部や経営企画部などのセクションです。日本では組織風土改革ともいいます。トップが組織の問題にコミットし、従業員自ら組織問題の解決にあたるため、ワークショップを行って議論し合うのです。例を挙げましょう。

縦割り組織の大企業がアジリティを高めるため、「変化に対応できる人材」を育成したいと考えました。ワークショップを行い、従業員同士で「変化に対応できる人材」を育成するにはどうしたら良いかを話し合います。変化に対応できる人材とは何か、どうすれば対応できる人材になれるかを自らの言葉で語っていきます。従業員同士で議論するため、当事者意識をもって課題解決に向き合うことができるのです。

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まとめ

現代はVUCAの時代といわれ、不確実で予測がつかず、急激な環境変化が起こることもあります。環境変化に対応するためには、アジリティが高い組織を目指すことが重要となります。

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