従業員が気持ちよく働けるようにするために欠かせないのが福利厚生です。名前は聞いたことがあっても具体的にはよくわからないという人もいるのではないでしょうか。そこで、この記事では福利厚生についてその概要から具体的な例、企業の実例などについて解説します。
福利厚生とは?
まずは、福利厚生がどのようなものなのか確認していきましょう。
福利厚生について
福利厚生とは、簡単にいうと社員の幸福と豊かな生活を送るために企業が実施する各種制度のことです。
福利厚生が充実させることができれば、仕事はもちろんのこと、プライベートの充実を図ることもでき、ワークライフバランスのとれた生活が送れます。そうなると従業員の働く意欲も高まり離職を防ぐこともできるでしょう。
具体的には後述しますが、福利厚生には例えば、各種手当の支払いや寮、社食といったものなどが挙げられます。
福利厚生が大事な理由
福利厚生は会社にとっても従業員にとっても非常に重要なものだと言えます。では、なぜ福利厚生は従業員にとって重要なものなのでしょうか。その理由としては以下のような点が考えられます。
・従業員のモチベーションアップにつながる
・離職防止に役立つ
・会社への愛着心が生まれる
・会社のブランドイメージの向上
1点目、2点目に関しては先ほども触れているように、福利厚生が充実すると仕事やプライベートの充実が期待できるため従業員のモチベーションが向上することが期待できます。また、それによって離職率も下がることが予想されます。その結果、会社に対する愛着心も高まってくるでしょう。
離職率が低い、社員が愛着とモチベーションを持って仕事に取り組んでいる会社というのは、世間一般から見ても好印象を得られるでしょう。それによって企業のブランドイメージも向上するはずです。
このように、福利厚生が充実することで、会社にとっても従業員にとっても様々なメリットが得られます。そういった意味で福利厚生は非常に重要なものだと言えるのです。
福利厚生費とは?
福利厚生に関する言葉として「福利厚生費」というものがあります。これは、その名の通り福利厚生のための費用なのですが、具体的にいうと、従業員の生活や労働環境をより良いものにするための費用だと言えます。
費用の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
・住宅手当
・交通費
・医療費
・社員旅行
・慶弔見舞金
など
上記以外にも、歓送迎会や部署での飲み会などに福利厚生費を充てることができるケースもあります。何れにしても、福利厚生費の適用範囲は多岐に渡ることが理解できるでしょう。
福利厚生の種類
福利厚生には大きく分けて以下の2種類が存在します。
・法定福利厚生
・法定外福利厚生
ここではこの2つの福利厚生についてその概要を解説します。
法定福利厚生とは
法定福利厚生とは、その名の通り、法律によって定められた福利厚生のことです。具体的には以下のようなものが該当します。
・健康保険料の事業主負担分
・介護保険料の事業主負担分
・厚生年金保険料の事業主負担分
・雇用保険料の事業主負担分
・労働者災害補償保険料(労災保険料)
・児童手当拠出金
・労働基準法に基づく災害補償費用
など
これらは、会社が一部の費用を負担することが法律によって定められているものです。
法定外福利厚生とは
法定外福利厚生とは、法律では定められていない、各企業が任意で決めることができる福利厚生のことです。労働者の生活環境や労働環境を良くするためのものだと考えてください。具体的には以下のようなものが当てはまります。
・住宅手当
・家賃手当
・交通費(通勤費)
・家族手当
・健康診断補助
・社員食堂
・社員持株制度
など
上記の他にもアウトソーシグをして提供されるものなどもあります。
福利厚生の人気ランキングを紹介
法定福利厚生、法定外福利厚生の両方を含めると福利厚生の具体的な項目は非常に多岐に渡ります。続いては、その様々な福利厚生の中でも人気のものを紹介します。
1. 住居に関する手当て
家賃の一部を負担してくれるなど、住宅関連の手当は非常に人気の福利厚生となります。会社の近くに住みたいけど、家賃が高くて払えないといった場合でも、家賃の補助があれば、住むことができます。それによって家にすぐに帰宅できたり、朝ゆっくりできたり、とプライベートの時間も充実させることができます。
2. 食堂や昼食の補助
食事は仕事のエネルギーになるものなので、欠かすことができません。しかし、毎日の食事自腹で購入するとなるとそれなりの費用になります。そういったときに安い料金で食事が食べられる食堂や昼食代の補助などがあれば、食事内容をより充実したものにすることができます。
3. 人間ドックなどの健康診断の補助
いくら働く意欲があっても、健康でなければ元も子もありません。そのため、従業員の健康診断は非常に重要なものです。企業によっては提携しているクリニックなどで健康診断を実施してくれるケースもあります。健康診断や人間ドックは受診しようとすると意外と費用がかかってしまうので、福利厚生で利用できるのは大きなメリットだと言えます。
4. 育児・介護休暇
働いているうちに結婚をして、子供が生まれる人、もしくは両親が年老いて介護が必要になる人、など従業員の中にはライフステージが変化していく人も少なくありません。そういった人たちに対する育児休暇や介護休暇の提供は人気が高いようです。
5. バースデー休暇やリフレッシュ休暇などの制度
休暇の中には他にもバースデー休暇やリフレッシュ休暇といった通常のものとは異なる休暇も存在します。全ての企業で実施しているわけではありませんが、これらの休暇を利用すればプライベートを充実させることができ、仕事へのモチベーションを高めることもできるでしょう。
6. 資格取得手当て
スキルアップのために語学や専門的な資格の取得を目指す人は少なくありません。そういった人に対する資格取得手当を用意している企業は少なくないでしょう。資格を手に入れることでスキルアップだけでなく、給与もアップするため、従業員はやる気を持って勉強に取り組むことができます。
7. 余暇施設、宿泊施設、レジャー施設などの割引制度
会社が提携している各種施設が通常よりも安い料金で利用できる福利厚生もあります。休みの日などに出費を抑えてレジャー施設などに遊びに行けることは魅力的だと言えるでしょう。
順位は以下より:
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ユニークな福利厚生
最後に、実際に企業で行われている福利厚生を紹介します。ここでは、一般的なものではなく、ユニークな福利厚生を取り上げています。
1. Google
インターネット検索などでおなじみのグーグルは、他の企業の社員が羨むような福利厚生を提供しています。
・食事と軽食の無料提供
・セルフサービスのマイクロキッチン(飲み物や軽食がある)
・社内にジムあり(パーソナルトレーニングやヨガなどにも取り組める)
・社内に診療所あり
・ボーリング場あり
あらゆる施設やサービスを用意することで、従業員がより仕事に集中しやすい環境を作っていると言えます。
2. 大和ハウス工業
住宅総合メーカーの大和ハウス工業では、仕事とプライベートの両立ができるような支援制度を整えています。
・次世代育成一時金制度:子供1人につき100万円の祝い金
・ハローパパ休暇制度:男性従業員に子供が生まれた場合、5日間の連続休暇取得を認める
・ホームホリデー制度:本人や家族のために休暇取得を義務づける制度
など
このように大和ハウス工業では、主に従業員のプライベートの充実を図るための福利厚生が充実しています。
3. ZOZO
ZOZOTOWNでおなじみのZOZOでは、以下のような福利厚生を提供しています。
・幕張手当:決められたエリアに住む従業員に対して月5万円が支給される制度
・ろくじろう:6時間労働制のこと
・ FRIENDSHIP DAY:部署を超えたスタッフ交流を行う機会のこと
・ 自学手当:スタッフが成長することを目指して支給される手当
ZOZOの場合、スタッフ個人のスキルアップやプライベートの充実などのための制度が多くなっています。
4. ガイアックス
ソーシャルメディアやソーシャルアプリに関する事業を展開しているガイアックスでは、裁量労働を活用して従業員一人ひとりに合わせた多様な働き方に取り組んでいます。福利厚生の例としては以下のようなものが挙げられます。
・裁量労働
・ヨガ教室
・マッサージ
・社内レストラン
・電動自転車レンタル
・屋上のアーバンガーデン
・キッズルーム
・授乳室
・リモートワーク
など
5. Sansan株式会社
法人向けの名刺管理サービス「Sansan」を定虚数流Sansanでは、以下のような福利厚生を提供しています。
・Geek Seek Book:技術書などの購入費用の一部を会社が負担する
・Geek Seek社外勉強会/Geek Seek Workshop:各種勉強会の参加費用の一部を会社が負担する
・OCEAN英語学習にかかる費用の一部を会社が負担する
・テランチ:社長とのランチを行う
・H2O:会社の近くに住んでいる社員を対象に住宅費用の一部を会社が補助
など
まとめ
この記事では、福利厚生の概要から福利厚生の重要性や種類、企業における具体例などについて解説しました。福利厚生は従業員にとってはもちろん、会社にとっても重要なものです。法律で定められている法定福利厚生以外にも任意で設定できる法定外福利厚生もあるため、事例で紹介した企業のようにユニークな福利厚生を導入してみてもいいでしょう。