健康保険とは、国民保険料を払うことで、病気やケガになった時に医療費の負担が軽くなる保険です。
「健康保険」は、職業によって健康保険の加入先が異なりますので、転職・退職した際は手続き方法を確認しておきましょう。
今回は、国民健康保険と社会保険の違いや手続きについて解説していきます。
健康保険(社会保険)とは
「健康保険(社会保険)」は「国民皆保険」とも呼ばれ、国民全員が加入する保険です。
健康保険には複数の種類があり、職業によって加入先が異なります。
▼健康保険(社会保険)の種類
国民健康保険(国保)…自営業者、職業についていない人、その家族
組合管掌健康保険(組合健保)…大企業の従業員とその家族
全国健康保険協会(協会けんぽ)…中小企業の従業員とその家族
共済組合…公務員や私立学校教職員とその家族
船員保険…船員が加入
健康保険(社会保険)について
国民健康保険は、地方自治体が運営している公的な医療保険制度のことです。
健康保険(社会保険)に加入する人は主に自営業、フリーター、アルバイト、無職の人も加入対象です。
国民健康保険の保険料は、加入者の収入と各自治体のの規定によって決まるのが特徴です。
国民健康保険は自治体が運営しているため、同じ収入の人でも住む場所によって保険料が高い市町村と安い市町村があります。
収入が一定以下の人に対しては国民健康保険料の軽減・減免制度も用意されています。
社会保険と国民健康保険の違い
社会保険は、法人の会社に勤め、給料をもらっている会社員とその家族が加入します。
正社員、契約社員やパート社員も、一定の条件を満たしていれば加入対象です。
会社員が加入する社会保険(健康保険)は全国健康保険協会や各健康保険組合が運営しています。
企業ごとに独立して作られている健康保険組合や業種ごとにいくつかの企業が集まって作られている場合もあります。
健康保険組合に加入していない中小企業は、「協会けんぽ」と呼ばれる全国健康保険協会の健康保険に加入する必要があります。
社会保険の加入対象者は、加入を拒むことはできず、企業側が加入を拒否することもできません。
国民健康保険とは、個人事業主や個人経営の会社に勤めている人とその家族、無職の人が加入対象です。
社会保険に加入義務がある人は?加入条件について
日本は「国民皆保険制度」となっており、すべての人が何らかの社会保険に加入する制度です。
基本的にその人の職業によって加入する社会保険が決まります。
会社に正社員として雇用されている方は、会社経由で社会保険に加入義務があります。
パート・アルバイトの方は、働く時間によって社会保険に加入すべきか決まります。
1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上ある方、週30時間以上働いているパートやアルバイトの方は、社会保険に加入しなければなりません。
健康保険(社会保険)に扶養として加入する
会社員で週30時間以上の勤務の場合、社会保険(健康保険と厚生年金)に加入します。
厚生年金は会社に「基礎年金番号」を提出すれば人事担当者に加入手続きをしてもらえます。
会社の健康保険は、「扶養家族」として認められた場合は健康保険に加入ができます。
毎月の給与から保険料が徴収されますが、それぞれ保険証が発行されます。
会社の健康保険料は、扶養家族が何人いても保険料は同じ1人分となりますので、扶養家族が多いほどお得といえます。
それに対して、国民健康保険の場合は、扶養家族という考え方がなく、加入する人数に対して保険料を納めることになるので負担は大きくなります。
扶養家族がある人が会社を辞めて、国民健康保険に加入すると、保険料がかなり高く感じるでしょう。
そもそも健康保険の扶養とは
被保険者の収入によって生活している家族は「被扶養者」となり、健康保険の給付を受けられます。
注意点としては、家族なら誰でも健康保険の被扶養者として認定されるのではなく、法律で決まっている一定の条件を満たす必要があります。
健康保険の扶養家族の基準は、会社の扶養手当の対象や税法上の扶養家族とは異なります。
健康保険の扶養のメリット
健康保険には扶養家族という制度があり、扶養家族の健康保険料を抑えることが大きなメリットです。
会社の健康保険は、扶養家族が何人いても、被保険者が支払う健康保険料が増えないのも嬉しいポイント。
健康保険の被保険者は、扶養者控除を受けるため税金も安くなります。
健康保険の扶養の注意点
扶養家族については毎年見直しが行われ、毎回被保険者が手続きを行います。
審査結果によっては扶養から外れることもあり、外れると自分で健康保険に加入し、毎月の健康保険料負担が必要になります。
扶養家族から外れないために、年収基準は130万円を超えないように調整しましょう。
健康保険(社会保険)に扶養として加入するための条件
扶養家族として認められるには以下の条件を満たしていなければなりません。
扶養される家族の年収は、被保険者の年収の半分未満であること
その家族の収入は年間130万円未満であること(60歳以上の場合、または59歳以下の障害年金受給者の場合は180万円未満)
被保険者が家族を経済的に扶養している事実があり、それを証明できること
手続き方法について
「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)
」被保険者となった者に被扶養者がいる場合、被扶養者の追加がある場合は、被保険者は事業主へ「被扶養者(異動)届」を提出します。
事業主は、「被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。
健康保険(社会保険)への加入条件(パートの場合)
パートでも社会保険へ加入する条件を見ていきましょう。
パートが社会保険に加入するための条件
1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上であること
週20時間以上の勤務、年収106万円以上など5つの条件を満たしていること
▼5つの条件
①週の所定労働時間が20時間以上である
②賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)
③1年以上の使用されることが見込まれる
④従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
⑤学生ではない
週の所定労働時間が20時間以上、決まった月収が8万8000円以上、雇用期間が1年以上(従業員数501名以上(厚生年金の被保険者数)の企業で働く場合)
パートが健康保険(社会保険)に加入するメリット
パート従業員も社会保険に加入すれば、自己負担額が減るのが大きなメリットです。
厚生年金保険に加入すると、国民年金から将来受け取れる年金額も増えます。
パートが健康保険(社会保険)に加入するデメリットや注意点
被扶養者(専業主婦や扶養の範囲内で働いていた人)は社会保険に加入すると、毎月の手取り額が減る場合があります。
パートで働く人は年収が130万円になると社会保険料も負担することになり、手取りが減ります。
2016年から社会保険の加入対象は106万円の壁も加わり、範囲が拡大したので注意しましょう。
派遣や個人事業主が社会保険(健康保険)に加入するための条件
派遣社員や契約社員でも「労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上」または「週20時間以上勤務するなど5つの条件すべてに当てはまっている場合」は強制的に社会保険に加入となります。
ただし、契約期間が2ヶ月以内の場合には、「社会保険に加入できない人」に該当する可能性があります。
個人事業主は、常時5人以上の従業員が働いている場合には、社会保険に加入となります。
派遣が社会保険に加入するための条件や、2ヶ月の壁とは?
以下の2つを満たしていると就業開始日から加入できます。
契約上の1週間の労働時間が通常の労働者(正社員)のおおむね4分の3以上である
契約期間が2ヶ月を超える、または2ヶ月を超える見込みがある
2016年10月1日から、契約上の「1週間の労働時間」が通常の労働者(正社員)の「4分の3以上」であることが加えられました。
社会保険への加入条件(個人事業の場合)
▼社会保険への加入が義務づけられている事業所の条件
従業員が1人以上いる法人事業所
従業員が常時5人以上いる、法定16業種の個人事業所
従業員が5人未満の個人事業所
法定16業種以外の個人事業所
▼従業員が社会保険の加入対象となる条件
適用事業所に使用されている従業員(健康保険は75歳未満、厚生年金保険は70歳未満)
1週あたりの所定労働時間と1ヶ月あたりの所定労働日数が、一般社員の4分の3以上の従業員
上記に加え、以下のすべての条件に該当する従業員
所定労働時間が週20時間を超えている
月給が8万8000円(年収106万円)以上である
1年以上継続して適用事務所に勤務している(もしくは勤務する見込みがある)
学生でない
社会保険の対象となる従業員規模が501人以上の事業所に勤務
社会保険への加入手続きについて
ここからは。社会保険への加入手続き、必要な書類について見ていきましょう。
社会保険に加入するために必要な書類
事業所が新規に社会保険に加入する場合、強制適用事業所は会社設立から5日以内、任意適用事業所は従業員の半数以上の同意を得た後、以下の書類を日本年金機構へ提出する必要があります。
健康保険・厚生年金保険新規適用届
被保険者資格取得届
被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
保険料口座振替納付(変更)申出書
必要な書類は、管轄の年金事務所で受取り、または日本年金機構のホームページからダウンロードする可能です。
社会保険に加入するために必要な手続き
社会保険の書類は、健康保険も厚生年金提出先は管轄の年金事務所です。
社会保険の手続きは窓口へ持ち込みの他、電子申請や郵送でも可能です。
「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」と「健康保険被扶養者(異動)届」は、該当日から5日以内に提出してください。
まとめ
今回は、健康保険(社会保険)への加入条件をパターン別にご紹介しました。
転職、退職した際や扶養から外れた場合の加入手続きは早めに済ませておきましょう。