労働基準法と労働時間 | 上限や36協定に関する8つのポイント

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採用担当者であれば、労働基準法と労働時間の関係や36協定に関して知っておくことが大切です。応募者と雇用契約を締結する際に不備がないようにしましょう。ここでは、労働基準法で定められている労働時間や36協定に関する8つのポイントを詳しくご紹介します。
目次

労働基準法と労働時間

労働基準法と労働時間
労働時間は、労働基準法によって厳格に定められています。そのため、労働基準法で定められている労働時間について詳しく確認しておき、尊守しなければなりません。労働基準法と労働時間について詳しくご紹介します。

労働基準法とは

労働基準法とは、労働条件における最低基準を定められており、日本国内のすべての労働者に適用される法律です。労働基準法を無視した内容の契約を双方の同意をもって締結しても無効となります。また、罰金刑や懲役刑など刑事罰が課せられる場合があるため、経営者層や人事担当者は十分に確認しておきましょう。

労働基準法で定められている労働時間( 日 / 週 / 月 )

労働基準法では、1日8時間、週40時間、月170時間(31日の場合は177時間)が労働時間の上限と定められています。

アルバイトやパートの場合は?

アルバイトやパートの場合でも、労働基準法が適用されるため、1日8時間、週40時間を超えて働くことはできません。

上限を超えた場合どうなるのか

それでは、上限を超えたら違法になるのかというと、それは36協定の内容で異なります。36協定を締結せずに、時間外労働をさせることはできません。

36協定について

36協定は、時間外労働をさせるために欠かせない協定です。詳しく確認していきましょう。

36協定とは?

36(サブロク)協定とは、労働基準法36条に基づく労使協定のことです。労働組合などと36協定を書面で締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

2019年4月からの変更点について

これまでは、36協定で時間外労働時間を認める内容を締結すれば、問題なく時間外労働が可能でした。2019年4月からは、時間外労働に罰則つきの上限が定められています。ただし、中小企業への適用は2020年4月からです。上限は、月45時間、年360時間で、臨時でなおかつ特別な事情がなければ上限は超えられません。

なお、上限を超える条件を満たしていても、年720時間、複数月の平均残業時間が80時間以内、単月100時間以内に収める必要があります。また、月45時間以上の時間外労働が認められるのは、年間6ヶ月までです。

36協定を締結する際に留意する8つのポイント

36協定を締結する際に留意する8つのポイント
36協定の締結時には、次の8つのポイントに留意しましょう。

1.時間外労働・休日労働は必要最小限に

時間外労働および休日労働は、必要最小限に留めましょう。むやみに時間外労働を増やしても、従業員のモチベーションが下がります。

2.労働者に対する安全配慮義務

使用者は、36協定に基づいて時間外労働をさせていた場合でも、安全配慮義務を負います。むやみな時間外労働や休日労働は、過労死のリスクを高める恐れがあるため、必要最小限に留めることが大切です。

3.時間外労働・休日労働の範囲を明確にする

むやみに時間外労働や休日労働をしなくて済むように、業務の範囲を明確にしましょう。決して、上司が残業をしているから部下も残業をするといった非合理的な形で指示してはいけません。結果的に、残業代や健康リスクが上がります。

4.月45時間・年360時間限度時間を超えない

月45時間、年360時間を超えないように留意が必要です。予見できない事由により、臨時的に上限を超えて労働が必要になる可能性があることを極力具体的に定めることが求められています。上限を超えることができても、できるだけ月45時間、年360時間に近づける努力が必要です。

5.1か月未満だけ働く人の時間外労働にも注意

1か月未満の雇用期間の場合、時間外労働は1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間の目安を超えないように努めなければなりません。

6.休日労働の日数・時間数をできる限り少なくする

休日労働に関しても、できるだけ日数と時間数を抑える必要があります。休日労働だからといって、必ずしも8時間労働が必要というわけではありません。必要なだけ労働を求め、できるだけ減らすようにしましょう。休日労働が増えると、通常の日の時間外労働にも影響が出ます。

7.限度時間を超えて働く労働者の健康・福祉を確保する

限度時間を超えて働く場合、健康に問題が起こるリスクが高まるため、健康と福祉の確保を目的として、医師による面接指導や深夜業の回数制限、休息時間の確保、健康診断などを導入することが大切です。

8.限度時間が適用除外・猶予されている事業・業務について

新技術や新商品の研究開発業務は、限度時間が適用除外・猶予されています。それでも、限度時間を超える場合は、健康と福祉の確保を目的とした措置が必要です。

働き方に関する様々な制度

働き方に関する様々な制度
1日8時間、21日程度出勤することが一般的ですが、働き方には様々な制度が設けられています。うまく導入することで、労働者のパフォーマンスを高められるでしょう。次のような働き方に関する制度があります。

変形労働時間制について

変形労働時間制では、あらかじめ労使協定や就業規則などを定めておくことで、一定期間の労働時間を平均して、1週間あたりの法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日または週に限り法定労働時間を超えた労働が可能となります。

つまり、1日単位、週単位では労働時間の上限を超えているものの、月単位や年単位では超えていない状況が認められるのです。繁忙期と閑散期がはっきりしている業種に導入されています。

フレックスタイム制について

フレックスタイム制は、1ヶ月以内を上限として、そのうち任意の日数を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲において、始業時間と就業時間を労働者が自由に定められます。この日は遅く出勤し、別の日は早く出勤するといった働き方が可能です。

みなし労働時間制について

みなし時間労働制は、クリエイター業や事業場の外で働く労働者など、正確な労働時間の把握が困難なケースにおいて、「みなし時間分」を働いたものとして取り扱う制度です。労働時間の管理が容易になる一方で、実際に働いた分よりも残業代が安くなるという労働者にとってデメリットな面もあります。

在宅・リモートワークなどを導入する場合

在宅・リモートワークなどを導入する場合
在宅・リモートワークなどを導入する場合には、みなし労働時間制やフレックスタイム制を選択する傾向があります。厳密な労働時間の把握が困難であるうえに、休憩時間の実態をつかみにくいためです。

在宅・リモートワークなどを導入するメリット

通勤時間が非常に長い、家庭の事情で通勤が難しいといったケースにも対応できます。また、健康の都合上、会社での勤務が難しいものの、企業にとって優秀な人材である場合にも雇用が可能です。このように、企業と労働者の双方にとって、在宅・リモートワークにはメリットがあります。

導入する際の注意点

在宅・リモートワークを導入する際には、労働時間に関して取り決めが必要です。みなし労働時間制を適用する場合は、「私生活を営む自宅で労働する」、「会社と自宅のパソコンやスマホなどを通信可能にしておく」、「会社の具体的な指示に基づいて業務を遂行する」の3つの条件を満たす必要があります。

また、深夜労働や休日労働に関しては、通常通り割増賃金の支払いが法律で義務づけられています。

まとめ

労働基準法 労働時間のまとめ
労働基準法では、労働時間の上限や36協定に関することが定められています。最低基準の労働条件となっているため、労働基準法に抵触する契約は締結しても無効です。時間外労働に関しては、罰則つきの上限が定められているため、必ず守りましょう。また、36協定に関するポイントを押さえ、労働トラブルを未然に防ぐことが大切です。

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