職務手当とは、特定の職務に必要な技術、技能、資格に対して支給される手当のことをいいます。給与明細を見ると、他にも様々な種類の手当がありますが、どういった意味があるのでしょうか?今回は、職務手当の特徴、会社から支給される様々な手当について詳しく見ていきましょう。
職務手当について
ここからは、職務手当の特徴と役職手当との違いについて解説していきます。
職務手当とは
職務手当とは、特定の職務に求められる技能、資格、責任に対して支給される手当のことです。
職務手当の趣旨は会社によって異なり、就業規則、給与規定にて詳しく記載されています。
職務手当は残業代が含まれた額もあれば、役職に応じて額が決められている場合もあります。
職務手当の呼び方も企業によって、「報償手当」、「営業手当」、「職能手当」、「職位手当」など様々です。
職務手当と役職手当の違いは?
一般的な会社の役職は、取締役会長、代表取締役、取締役、執行役員、部長、課長、係長、主任などがあります。
管理職には役割や責任の重さによって「役職手当」
が支給されます。
役職手当の相場は企業規模や業績により異なりますが、一般的な役職手当の相場は以下の通りです。
部長…70,000~90,000円
課長…50,000~60,000円
係長…10,000~30,000円
主任…5,000~10,000円
職務手当にみなし残業代が含まれている場合は注意
手当を残業代の代わりに支払うことを「みなし残業制」(固定残業代制)といいます。
一部の企業では、役職手当をみなし残業代として支払う形で「残業代は払っている」と見せかけるケースもあり、注意が必要です。
役職手当の他にも、「営業手当」や「残業手当」「業務手当」などに、みなし残業代(固定残業代)が含まれている可能性があります。
例えば、8万円分残業した場合、役職手当が3万円ならば、残りの5万円も残業代として支給されるべきです。
職務手当のメリット・デメリット
職務手当には、メリットとデメリットがありますので見ていきましょう。
職務手当のメリット
職務手当は特別な技術、技能、資格がある人に支払われる報酬です。
勤続年数で基本給が上がっていく傾向にあり、大企業・中小企業・公務員のいずれにしても安定して上昇を続けていきます。
中途採用では+αの資格や能力があると、即戦力として職務手当が支払われることもあります。
職務手当のデメリットや注意点
職務手当は企業の考え方によって異なり、支給の金額についても大きな格差が発生しています。
本来は、給与に職務手当をプラスするのことで従業員に対して労働の付加価値をつけることです。
しかし、職務手当は、社会状況や社員側の要望によっても変わりやすく曖昧な点がデメリットといえます。
様々な種類の手当て
では、その他の様々な種類の手当てを見ていきましょう。
住宅手当て
住宅手当とは、企業が従業員に住宅費用を補助する福利厚生のことをいいます。
賃貸物件の家賃の一部を負担する場合と持ち家の住宅ローン返済を補助するケースもあります。
企業によって支給される金額は異なりますが一部負担となるケースが多く、月1万~2万円が相場です。
資格手当て
資格手当とは、会社が仕事に役立つ資格を持った従業員に支給することです。
従業員に資格取得者が多くなると、社会的な信用を得られるのがメリット。
資格手当は不動産業、建設業、IT業、金融業、医療業界に多く見られます。
給料に加算されて毎月支給される資格手当のほか、資格取得した時に支給される「合格報奨金」もあります。
資格手当の相場は、月額の資格手当は1,000円〜5万円、合格報奨金の場合は5,000円~20万円です。
残業手当て
残業手当(時間外手当)とは、労働時間が法定労働時間を超えた場合に発生する割増賃金のことです。
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働した場合は、原則として残業手当が発生します。
▽残業代の計算式
時間外労働時間 × 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率
みなし残業制(固定残業制)、変形労働時間制(シフト制)、裁量労働制、深夜残業、休日労働によっても変わってきます。
営業手当て
営業手当とは、営業職の社員に対して支払われる手当てのことです。
営業活動では、接待費や経費などが発生するため営業手当が支給されています。
企業によって支給の条件や金額は異なりますが、月1万円〜5万円程度です。
皆勤手当て
皆勤手当(精勤手当)とは、欠勤せずに会社に勤務した場合のいわゆる皆勤賞の手当です。
皆勤手当を出す目的は従業員の皆勤を促進してモチベーションを高めるためです。
遅刻や早退があった場合は皆勤にはならない場合もありますが、回数によっては皆勤とする職場もあります。
皆勤手当は就業規則で書かれていますので確認しておきましょう。
家族手当て
家族手当とは、社員が扶養している家族に対して、会社が生活を支援するために、基本給とは別に支給する手当をいいます。
家族手当は扶養配偶者の人数によって決定され、扶養の基準は、税法上の扶養配偶者(年収103万円以下)となります。
配偶者への家族手当としては1万円、子供1人あたりは3千円から4千円程度の支給となります。
食事手当て
食事手当ては、全従業員に対して食事代の補助として支払われるもので、1日300~500円くらいです。
未払いの手当てがある場合
未払いの手当てがあるとわかった場合はどう対象すれば良いでしょうか?
過去2年分は請求できる可能性がある
未払いの手当、残業代、未払い給料の請求は過去2年分は請求できる可能性があります。
手当が支払われていない、少ない場合には弁護士に相談して、不当な賃金計算がないか、確認してもらうことをおすすめします。
まずは証拠の資料を用意する
会社に未払い分を請求するには、まずは、給料未払い請求に必要な証拠を集める必要があります。
必要な書類は、給与明細書、給与計算・労働時間が測定できる資料となるタイムカードです。
そして、就業規則・退職金規定、会社から配布されている勤怠表も必要となるので準備しましょう。
業務日誌の控えや雇用契約書も揃えておくと良いでしょう。
弁護士に相談するのもひとつ
自分で会社に未払い分の給料を請求すると交渉が難航したり、はぐらかされる可能性もあります。
労働問題に詳しい弁護士に相談すると、給料未払い分があるかどうか明確になり、今後の対処法もわかります。
どうしようもない場合は、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
まとめ
今回は、職務手当の特徴、その他の手当についてご紹介しました。
手当は多くの種類がありますが、残業代の一部として「みなし残業」になっているケースもあるので細かくチェックしてみてください。
明らかに減額されていたり、残業代が支払われていないと気づいた場合は、労働に詳しい弁護士に相談しましょう。