有給取得率の平均は?ランキング上位の会社の取り組みなども紹介

有給取得率の記事

皆さんの働いている企業では有給休暇は取得しやすいでしょうか?働いている人であれば、活用したい有給休暇ですが、企業によってはなかなか取得しにくいケースもあるようです。今回はそんな有給休暇に関連する有給取得率の平均について解説します。

目次

有給取得率について

有給取得率について
まずは、有給休暇がなんなのか、そして有給取得率がどのようなものなのか、その概要を確認していきましょう。

そもそも有給とは

有給休暇とは、簡単にいうと、給料が支払わらわれる休暇のことを指します。有給休暇であれば、休んでいても働いているのと同じ賃金が発生するというわけです。
この有給休暇は、労働基準法で一定の要件を満たした従業員に対して使用者(会社など)が付与することを義務付けています

もし会社が雇用している従業員が1名だとしても、要件を満たしていれば、その1名に対して所定の有給を与えなければいけません。

有給はパートやアルバイトにも付与される

ちなみに、有給休暇が付与されるのは正社員だけではありません。パートやアルバイトといった雇用形態であっても以下の要件を満たしていれば付与されます。


・雇用から起算して6ヶ月継続勤務していること
・6ヶ月間の全労働日数の8割以上出勤していること

なお、有給休暇の付与日数に関しては異なる場合もあります。

有給取得率とは

有給取得率とは、その名の通りその企業において従業員がどのくらい有給を取得しているかを示す値です。
従業員は有給が付与されていれば申請することはできますが、実際には業務の忙しさや会社の雰囲気、上司からのプレッシャーなどで取得しない人も少なくありません。そのような状況もあり、有給取得率は実際に有給がどのくらい消化されているのかを把握するために活用されます。

有給取得率の平均は?

厚生労働省の調査によると、平成29年の1年間に企業が従業員に付与した有給休暇の日数は18.2日でした。そのうち、実際に従業員が取得しているのは9.3日であり、取得率は51.1%となっています。取得率は企業の規模が大きいほど高い傾向にあります。また、産業別には電気屋ガス、水道といったインフラ系の産業が高い一方で、宿泊業や飲食業、サービス業などは取得率が低くなっています。

有給休暇を取得するメリット・しないデメリット

有給休暇を取得するメリット・しないデメリット
ここで、改めて有給休暇を取得するメリットとデメリットについて考えたいと思います。

有給休暇を取得するメリット

有給を取得する理由は従業員によって様々だと思いますが、有給を活用することで、心身を休めることができます。また、有給当日に遊んだり、旅行に行ったり、友達と会ったりすることで気持ちの面でのリフレッシュもできるでしょう。
そういったことができれば、次の出勤日からまた頑張ることができるはずです。

有給休暇を取得しないデメリット

一方で、有給休暇を取得しないと、仕事ばかりになってしまうため、リフレッシュすることができず、仕事に対するモチベーションが下がってしまう恐れがあります。
さらに、有給取得を妨害されるようなことがあると、パワハラを受けていると判断することもあり、最悪の場合、裁判などになる可能性もゼロではありません。

日本の有給取得率は?

日本の有給取得率は?
有給は日本だけではなく、世界各国に存在するものです。日本と海外とでは有給取得率にどのくらいの違いがあるのでしょうか。確認していきましょう。

世界と比較して圧倒的に低い

2018年に発表されたエクスペディアの調査によると、日本は世界各国の中でも3年連続で有給取得率が最下位という記録を残しています。対象となっている19カ国のうち、日本の取得率は50%という結果になっており、ワースト2のオーストラリアが70%ということを考えると、圧倒的に低い数値であることがわかります。

有給取得日数も低い

また、有給取得率だけでなく、有給の取得日数も少ないのが日本の特徴です。1年間で日本人が取得している有給休暇は10日で、過去数年間横ばいの結果となっています。他にも有給取得日数が10日の国はありますが、そういった国は、取得率自体は高い数値を残しているため、日本が極端に取得率も取得日数も低いという結果になっています。

ちなみに、ヨーロッパや南米では1年で30日付与される有給を全て消化しているそうで、取得率も非常に高い傾向にあります。

有給に対する日本人の考えや傾向

日本人は、自分は有給をもらう権利があると考えている人はあまり多くないようです。有給休暇は従業員が利用できるものなのに、それを取得せず、しかも取得できない環境に対しても特に意見を述べていないのは日本人の特徴ともいえるでしょう。

また、人によっては特に休みが足りないと感じていない可能性もあります。特に休みを必要としていないため、有給取得率が低いのかもしれません。

その他にも、有給を取得する=仕事に対する意欲がないと捉えられてしまう職場があったり、急用や急病の際に取っておきたいという人がいたりするケースもあるでしょう。

有給休暇の義務化について

有給休暇の義務化について
日本ではあまり取得が進んでいない有給休暇ですが、取得の義務化がスタートしています。どのようなものなのか確認していきましょう。

有給休暇義務化の概要

労働基準法が改正されたことに伴い、2019年4月から年間10日以上の有給が付与されている従業員に対して、企業は年5日に関しては、使用者(会社)が時季を指定して取得させることが義務になりました。これは全企業が対象です。違反した場合は罰金もしくは懲役の罰則を受けることになります。
なお、時季を指定するとは行っても、基本的には従業員の意向を聞いた上で有給取得日を指定することになります。

義務化によって何がかわるのか

義務化による大きな変化は、従業員は必ず有給を取得することができる点にあります。また、有給を取得しやすくもなるでしょう。一方で、企業側は従業員の有給取得日数に対してよりシビアにならなければいけません。

新制度のポイント

この新しい制度のポイントをまとめると以下の通りです。


・対象者は有給が10日以上の従業員
・1年に5日は使用者が時季を指定して有給を取得させる必要がある
・罰則あり
・5日以上取得している従業員に対しては時季指定は不要

有給取得率ランキングで上位の会社

有給取得率ランキングで上位の会社
有給取得率が低い日本において、高い取得率を誇る企業もあります。最後に、有給取得ランキングで上位に名を連ねる企業について紹介します。

1.ホンダ系企業

ホンダ系の企業は、毎年のように有給取得率トップをキープし続けています。その取得率は99.5%に及ぶそうで、ほぼ全員が有給を取得していることになります。
ホンダでは、有給の繰越消滅をなくすための「有給休暇カットゼロ運動」を実施しており、実際に有給休暇カットゼロを達成しています。長年にわたって有給取得をしやすい環境作りに努めてきた結果がしっかりと現れているのです。

2.NTT

NTTは有給取得率が2017年度に98.4%になるなど近年になって上昇しています。NTTでは、失効した有給休暇の積立を行なっていることに加えて、勤続5年ごとに5日の有給休暇が付与されるほか、管理者に月1回以上金曜日に半日以上の休暇を取るように推奨する取り組みを行なっているのが特徴です。

3.東亞合成

東亞合成は、2015年より有給休暇の取得率100%を目標に掲げており、ここ数年で一気に有給取得ランキングの順位をアップさせてきました。同社では、事前に取得日を設定して、計画的に有給を付与させているほか、勤怠管理システムを整えるなどの取り組みを行なったことで、取得率は95%以上になったそうです。

4.クボタ

クボタはもともと上位にいたわけではありませんが、近年になって大きく順位を上げている企業です。クボタは、半日単位の有給を年間20回、時間単位の有給を年間5日分導入しています。細かく有給が取得できるのは大きな特徴だと言えるでしょう。また、間接部門に対しても、ワークライフバランスの向上に努めているのも特徴です。

5.DMG森精機

DMG森精機では、行動計画作り具体的な数値目標を設定して有給取得率向上に努めています。その結果、約2年で取得率は15%近く上昇しました。また、現在は2020年までに有給取得日数を20日にする計画を作り、取り組んでいます。

まとめ

有給取得率のまとめ
今回は、有給取得率の概要とその平均、日本で取得率の高い会社の取り組みなどについて解説しました。有給が取りにくいと感じている人もいるかもしれませんが、2019年からは5日間の有給を取得させることが企業の義務になったので、これから少しずつそういった社風や雰囲気も変わっていくことが予想されます。有給を取得することで仕事への活力を養うことができるため、積極的に有給を取得するようにしましょう。

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