稟議とは?決裁との違いや書類を通すためのポイントについて

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日本企業で働いていると必ず目にする稟議。会社に申請したい事案があった時に稟議書に書いて回覧し、意思決定者に承認の可否を判断してもらいます。稟議の使い方や、稟議と決裁の違い、そして稟議書を作成するメリット・デメリット、そして稟議を通すためのポイントについて、稟議書を書く方の目線に立って紹介していきたいと思います。

稟議とは

稟議とは
稟議とは、従業員が事案を申請するために、意思決定者に対して稟議書を作成・回覧して承認の可否を決定してもらうことを言います。稟議の承認の可否を決める権限のある意思決定者に、「申請したい事案」について承認の可否をもらう流れです。ボトムアップのピラミッド型組織である日本企業では、意思決定のフローにおいて、稟議が重要な要素を持っています。

稟議の使い方や例文

稟議は会社に申請したい事案がある時に、意思決定者に承認の可否を決定してもらう時に使われます。例えば高額の備品を購入する際、稟議を申請する者が勝手に購入していったらコストがかさみ経営に支障が出る可能性がありますよね。本当に必要な備品なのかどうかを稟議の中で意思決定者が判断する訳です。意思決定者は管理職が務めることが多く、下位の管理職から順に上位の者に向けて稟議内容を認めてもらうか否か、決めてもらいます。

稟議の例文としては、「備品の金額が50万円を超える場合は稟議にかける」「人材を採用する時は社長決裁の稟議にかける」等のものがあります。

稟議と決裁の違い

稟議と似た意思決定の仕組みに決裁があります。決裁は申請された事案について意思決定者が承認の可否を決定することを言います。それに対して稟議は申請された事案が稟議書として意思決定者に回覧され、意思決定者承認の可否をことを言います。つまり、決裁は1人の意思決定者が事案の承認の可否を決定するのに対して、稟議の場合は複数の意思決定者が事案の承認の可否を決定します。また、稟議の場合は稟議書という書類に書いて意思決定者に回覧する点も、決裁との違いです。ただし稟議の内容によっては稟議でも意思決定者が1人のこともあります。

稟議書とは?どんな時に作成される?

稟議では申請したい事案を稟議書という文書に書きます。稟議書は意思決定者に回覧され、意思決定者は順を追って承認の可否を判断する訳です。

稟議書を作成するメリット・デメリット

稟議書を作成するメリット・デメリット
稟議書を作成するメリットとデメリットはどんなものがあるか解説していきます。

稟議書を作成するメリット

稟議書を作成するメリットには次の3点が挙げられます。

・会議を開く手間が省ける
・複数の意思決定者の見解に基づき承認の可否が判断される
・文書に残しておける

「会議を開く手間が省ける」については、稟議では稟議書に記述された事項や添付書類を元に判断するため、会議を開いて意思決定をしてもらう必要がありません。「複数の意思決定者の見解に基づき承認の可否が判断される」については、役割やキャリアが異なる複数の意思決定者が事案を見ることで、多様な視点から事案が判断されます。「文書に残しておける」は、参照性が高いメリットがあるということです。

稟議書を作成するデメリット

稟議書を作成するデメリットとしては、「意思決定のスピードが遅いこと」に尽きます。稟議書を回覧している時、なかなか稟議の承認の可否がおりないことがあります。意思決定者の机に行ってみたら長期出張のため不在で、稟議書の存在も知らなかったということが起こり得ます。意思決定のスピードが遅いことは、経済環境の変化に対応することを難しくしてしまいます。

稟議書を作成する際に必要なポイント

稟議書を作成する際に必要なポイント
稟議書を作成する際に必要な5つのポイントをまとめました。ポイントをしっかり押さえることで、稟議書のデメリットである「意思決定のスピードの遅さ」をカバーすることができますし、稟議を承認してもらいやすくなります。

申請する具体的な内容

稟議書は文書です。従って、稟議書を意思決定者が読んですんなりと分かる内容にしなければなりません。そのためには、申請したい事案については網羅して、具体的に書く必要があります。抽象的な内容だと承認は得られませんし、そもそも差し戻しにあうこともあり、意思決定のスピードが遅い原因を作ることになります。

申請する目的

稟議書を作成し申請する目的は何なのかについて、稟議書で記述しておく必要があります。目的が明記されていないと、承認の可否を判断しようがありません。

実行する際にかかる費用

稟議書を通じて申請した事案を実行すると、どのくらいの費用がかかるのかについても明記したいところです。また、費用を記述することで申請者も「この費用で承認してもらえるのか」と内省するきっかけにも繋がります。例えば、申請した事案を実行することでメリットがあるのは分かったが、実際の費用を見たら費用対効果に見合わなかったので承認が見送られるケースがあります。そういうことにならないよう、費用対効果を考えて稟議書をまとめるべきです。

実行によって得られるリターン

申請した事案を実行するとどんなリターンが得られるか、意思決定者は気にします。ですから、稟議書には実行によって得られるリターンを網羅して、数字や言葉を具体的に用いてアピールする必要があります。事案を実行してもリターンが見込めなかったり、リターンの程度が小さかったりすると申請は却下されてしまうでしょう。

実行するリスク

意思決定者は管理職が多いですので、稟議書にリスクへの配慮がなされているかを判断材料としています。リターンばかりでリスクの記述がなく、あったとしてもリスク対策が明記されていない稟議書の申請は却下されがちとなります。

稟議書の具体的な書き方やテンプレート例を紹介

稟議書の具体的な書き方やテンプレート例を紹介
稟議書の具体的な書き方としては、申請する具体的な内容・申請の目的・実行にかかる費用・実行によって得られるリターン・実行するリスクについて漏らさず書いていきます。テンプレート例を2つのパターンに分けて紹介しますのでどのように書いていくのかの参考にして下さい。

パターン1

パターン1では「備品の購入」についての稟議書のテンプレートです。

・複合機のリース契約について

標記について以下の通りリース契約を締結したくお伺い致します。リース会社については従来のY社ではなくX社を選定しております。

・対象製品:A社
・リース会社:X社
・本体価格:***円
・リース金額:***円/月
・見積書比較:添付資料の通り、A社・B社の2つのメーカーにて比較検討

リース契約理由:5年前にリース契約したB社の複合機が「紙詰まり」を起こすようになり、頻繁にメーカーの点検を受けるようになってきました。加えて、コスト削減を目的として複合機のカウンター料金の見直しを検討しました。複合機メーカーA社の製品は、コストメリットとしてB社の同程度の製品よりも***万円安くなります。また、B社の製品よりも印刷のスピードが30%早いことが確認されています(別紙参照)。また、リース会社もA社のグループ全体であるX社にすることで、カウンター料金はモノクロ**円→**円、カラー**円→**円と、現状より大きく下げることができます。A社のデメリットとしては当社にとって初めてのメーカーであり社員が使い慣れていないことが挙げられます。デメリットを解消するため、申請者はA社の展示会に赴き実際に機械を操作することで、現状のB社と比べて使い方に変わりがないことを確認しています。以上、何卒、リース契約のご承認頂きたくお願い致します。

パターン2

パターン2では「中途採用」についての稟議書のテンプレートです。人事役員による最終面接が終わり、社長や他の役員に対して採用の是非を伺うパターンです。

・中途採用について

標記について以下の通り採用の決裁をお伺い致します。

・氏名:山田太郎様
・年齢:34歳
・前職:A社(在職中)にて富裕層向け自動車販売の営業を担当
・当社配属先:営業部
・入社後の等級:3等級
・月額賃金:***万円、家族手当:***万円

採用理由:業績拡大により、既存の営業部メンバーでは業務に対応しきれなくなり、添付書類の通り直近6か月間の残業時間が大きく増加してきています。そのため、リクルートページにて応募をかけたところ山田様にご応募頂き、6月6日に人事担当役員の最終面接にて山田様の内定の決定を頂きました。山田様は前職にて5年にわたる富裕層向けの自動車販売の経験を有していますので、即戦力としての活躍が見込まれます。ご本人も是非とも入社したいとのことで、内定承諾書を添付しております。また、職務経歴書等の応募書類についても添付しております。以上、何卒採用のご決裁を頂きたくお願い致します。

稟議を通すために特に重要なポイント

稟議を通すために特に重要なポイント
稟議を効率良く通すには、単に書類を回覧するだけでは申請者の意図した通りに通らなかったり、差し戻しにあったりします。稟議を通すためのポイントを絞って紹介します。

根回しをすること

まずは意思決定者に対する根回しです。稟議書を決裁する意思決定者は多忙です。申請者が書いた稟議書以外にもたくさんの書類を確認しなければなりません。従って、予め根回しをしておいて、「こういう申請をしています」ということを訴えておきます。そうすれば、相手も理解が早くなりますので効率的に承認してくれるでしょう。

普段の行動や実績

申請者個人の普段の行動や実績も、稟議を早く通すためには重要ポイントです。意思決定者も人間なので普段から自分と関わり、そして実績が目立っている人の稟議はよく見ておこうという気になります。仕事を一所懸命に取り組んでいる人の書類はよく見てくれるということであり、稟議を通すためのポイントになります。

まとめ

稟議のまとめ
稟議はピラミッド型組織である日本企業に特有の意思決定のシステムです。意思決定のスピードが遅いというデメリットもありますが、複数の意思決定者が事案を見る・文書に残る等にメリットがあります。稟議書は申請した事案の承認を得る(通す)ための書類ですので、記事にある書き方やパターン例を参考に、稟議を通すためのヒントにして頂ければと思います。