時短ハラスメント(ジタハラ)とは?意味・事例や企業が行うべき対策を紹介

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時短ハラスメント(ジタハラ)は、相手の事情を考慮せず何が何でも労働時間を削減せよと迫ることを言います。働き方改革の一環で企業は労働時間を削減する方向に進んでいます。しかし仕事が終わっていないなら必ずしも労働時間を削減できませんよね。それにもかかわらず労働時間を削減せよと強要されてしまうと労働者は困ってしまいます。時短ハラスメントへの対策が必要となる背景、事例、そして企業の対策を紹介します。

時短ハラスメントとは

時短ハラスメントとは
ハラスメントにはセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等の種類があります。その中でも時短ハラスメントは労働時間削減に関するハラスメントを言います。つまり時短ハラスメントは、労働者がどんな事情でも労働時間を削減せよと強要されることを指しています。

時短ハラスメントの意味

時短ハラスメントはどんな事情があっても労働時間を削減せよと労働者が強要されることです。例えば毎月30時間の時間外労働をしていた労働者がいるとします。その人が抱える業務量が変わらないにもかかわらず、上司から「今月から時間外労働を10時間以内に抑えるようにして下さい」と指示されたら労働者はどう感じるでしょうか?

業務量が変化しないのですから10時間以内の時間外労働では仕事が終わるはずがありませんよね。仕事が終わらないのだから持ち帰り残業をするか、タイムカードだけ押して時間外労働をしていない振りをすることになります。結果として、労働者に心身の疲弊を強いることになる訳です。

時短ハラスメントへの対策が叫ばれる背景

時短ハラスメントへの対策が叫ばれる背景
時短ハラスメントに対して企業は対策を講じなくてはなりません。対策が叫ばれる背景には大きく分けて3つのポイントがありますので、解説していきます。

働き方改革への取り組み

2019年4月より働き方改革関連法が施行されました。これにより、大企業は月45時間・年360時間を超える時間外労働ができなくなります。中小企業でも2020年より同じ規制を受けます。従って企業は少ない労働時間によって付加価値をあげること、つまり労働生産性の向上を求められることになりました。

しかし、いくら労働時間を削減するといっても仕事が終わらなければ削減しようがありません。労働者の適切な業務量の把握をしないままに、働き方改革を推進すると時短ハラスメントが発生する可能性が高まります。働き方改革は法律で定められていますから、時短ハラスメントのリスクを早めに摘むために時短ハラスメント対策が急務です。

部下に残業禁止というだけで対策がない

労働生産性を高めるためには、時間外労働の削減は必要であり進めるべきでしょう。働き方改革もあり企業は労働時間削減に努めざるを得ません。しかし、「業務量が変わらない」「仕事の難易度が高い」「緊急事態が発生した」等の事由があるのに何らの対策を講じていないようでは、時短ハラスメントが発生する原因となり得ます。

対策なく上司が部下に対して残業禁止と言うだけでは時短ハラスメントを免れません。労働時間を削減するための対策を講じることが、時短ハラスメントの対策に通じます。

人手不足を解消していない

人手不足を解消せずに労働者に労働時間削減を求めると、労働者はキャパオーバーとなります。既に人手不足なのですから、時短ハラスメントは発生しやすいと言えます。人手不足を解消することが時短ハラスメントの対策に通じます。

時短ハラスメントの事例

時短ハラスメントの事例
これまで時短ハラスメント対策が叫ばれる背景を紹介しましたので、時短ハラスメントのイメージがついたと思います。さらにイメージを膨らませて頂くために事例を紹介します。

仕事があるのに「定時で帰れ」と言われた

まだ仕事があるのに「定時で帰れ」と言われても、仕事を免除される訳ではないので何らかの形で遂行せざるを得ず労働者にとっては時短ハラスメントとなります。

仕事があるのに「残業は月10時間まで」と言われた

上記と同様の状況で「残業は月10時間まで」と言われるケース。たとえ持ち帰り残業をして仕事を遂行したとしても、その分の残業代は出ない訳ですから時短ハラスメントとなります。

ルーティン作業が業務効率化されない

労働時間を削減するにはルーティン作業等の無駄を排除しなくてはならないが、業務効率化されないケース。労働時間を削減する対策が練られていないので時短ハラスメントとなり得ます。

定時で勤怠を打刻するもサービス残業を強制された

定時で勤怠を打刻するが仕事があるためサービス残業を強制されたケース。このケースでは労働時間削減はポーズだけで実態が伴っていません。サービス残業を強いられ残業代も出ないので時短ハラスメントとなり得ます。

定時で帰る部下の大量の仕事を引き受けた管理職

管理職は、深夜労働以外は残業代が支給されません。従って企業が人件費削減の観点から、一般労働者を定時で帰らせ、代わりに管理職に仕事を遂行してもらうという施策を取ることがあります。例えば管理職に大量の仕事を任せるということになると、管理職は見返りもなく疲弊することになりかねないので時短ハラスメントとなり得ます。

時短ハラスメントに労働者はどう対応すべきか

時短ハラスメントに労働者はどう対応すべきか
事例で紹介したような時短ハラスメントに遭遇したら、労働者はどう対応すべきかを確認します。

人事部への相談

職場で時短ハラスメントを受けたら、職場の同僚に相談しても埒が明かないことがあります。人事部にどうしたら良いかを相談して下さい。人事部は労働者を守る役割があるのと、労働問題を解決する役割を担っているので問題解決に力を貸してくれると思います。

労働基準監督署への相談

人事部に相談しても解決しない場合は、労働基準監督署に相談して下さい。

企業が取り組む時短ハラスメントへの対策

企業が取り組む時短ハラスメントへの対策
時短ハラスメントに対して、企業がどう取り組むべきか?そのための4つの対策を紹介していきます。

業務量の把握

部署や個々の労働者の業務量がどのくらいあるかが分からないと、「労働時間を削減せよ」と労働者に命じても対応しきれません。結果、時短ハラスメントを引き起こします。そうならないように企業は職場・労働者の業務量を把握する必要があります。労働時間削減ありきではなく、業務量を適切に把握することで、その仕事を遂行するにはどのくらいの労働時間が必要なのかが分かり時短ハラスメントを防止できます。

労働時間の把握

現在、部署ごとに労働者はどのくらいの労働時間で働いているのか、企業は把握していく必要があります。特に時間外労働の把握が求められます。もし部署Aの時間外労働が80時間でBが30時間の場合、一律に残業30時間以内としてしまうと、部署Aは仕事が終わらないのに無理に労働時間を削減されて時短ハラスメントを発生させてしまいます。そうならないように労働時間の把握が必要です。

管理職のマネジメント能力の育成

労働時間を削減する仕組みを作るよう職場に求めたとしても、管理職にマネジメント能力が欠けていれば仕組みを作ることはできません。結果として部下に対して「定時で帰れ」と指導する事態を誘発します。そうならないように、管理職のマネジメント能力の育成を行い、時短ハラスメント対策を講じます。

人事評価制度の見直し

時間外労働をすれば残業代がもらえます。従って、仕事がないのに会社に残って「残業代を稼ぐ」というインセンティブが生まれます。非効率な働き方をしても人事評価で悪い評価がつかなければ尚更ですね。ですので、人事評価制度を見直して効率的な働き方をした人材を評価する仕組みにします。「効率的な働き方をする人材を評価する」ということが会社からの労働者に対するメッセージとなります。

まとめ

時短ハラスメントのまとめ
無駄に労働時間を増やすことは企業にとって人件費の圧迫になるため、労働時間削減に向けて舵を切るべきです。しかし、企業が労働時間削減の対策を講じておかないと、時短ハラスメントを引き起こすことになります。労働時間削減をしたのに、時短ハラスメントのために労働者のパフォーマンスが下がっては元も子もありません。しっかりと対策を講じたいところです。