マーケットインとは?メリット・デメリット、事例、活用する方法を解説

マーケットインは、顧客のニーズに焦点を当てて製品開発・販売を行う、マーケティングの考えです。会社が「これを作りたい!」「売りたい!」と思っても、消費者のニーズに合っていなければ売れません。マーケットインを活用すれば、顧客のニーズに合った製品を開発して売ることができます。記事ではマーケットインの事例・活用方法やメリット・デメリット、マーケットインとプロダクトアウトの違い等を解説します。
目次

マーケットインとは?

マーケットインとは?

マーケットインとは、顧客のニーズに焦点を当てて製品開発・販売を行うマーケティングの考え方です。マーケットインの概念が生まれた背景として、企業が売りたいものを売れば売れていた時代とは異なり、顧客のニーズを掴んで製品開発する必要が出てきたという流れがあります。

マーケットインとプロダクトアウトとの違い

マーケットインとプロダクトアウトとの違い

マーケットインと反対の概念としてプロダクトアウトがあります。両者の違いについて説明します。

マーケットインは顧客のニーズを掴んで開発すること

マーケットインは顧客のニーズを掴んで開発するマーケティングの概念です。マーケットインのやり方は、消費者の市場調査を行って、消費者のニーズを把握することから始まります。例えばビールメーカーが市場調査を行い、チューハイへの需要が高まっていることを知りました。消費者ニーズの把握ですね。メーカーはチューハイを作って売上高を高めていきます。これがマーケットインによる製品開発・販売の手法です。

プロダクトアウトは開発者が作りたいものを開発すること

マーケットインに対してプロダクトアウトは開発者が作りたいものを開発するマーケティングの概念です。プロダクトアウトやり方は、企業が作りたいものは何か?を考えます。例えば、かつてソニーはウォークマンで一世を風靡しましたが、ウォークマンもプロダクトアウトの事例です。

1970年代、音楽は自宅やオーケストラホール等、室内で楽しむ時代でした。1979年、ソニーが音楽を外でも聞けるよう、カセットテープによるポータブルオーディオ機器を開発して、できたのがウォークマンでした。室内で音楽を楽しむのが当たり前だった時代に市場調査(マーケットイン)しても、なかなかウォークマンのような発想は出てきません。プロダクトアウトの考えによってこそ、イノベーティブな製品が生み出されたのです。プロダクトアウトの事例をもう少し紹介しましょう。

プロダクトアウトの事例【iPhone】

プロダクトアウトの事例としてiPhoneを紹介します。iPhoneはアップル製のスマートフォン。スマートフォン自体はiPhone以前にも存在していましたが、iPhone程の成功を収めることはできませんでした。ガラケーと変わりないようなボタンが多いスマホだったり、マニュアルをしっかり読まないと分からなかったりしたのです。ガラケー全盛の時代でしたから顧客も「スマホはこういうもの」くらいの認識止まりでした。

しかしiPhoneは、ホームボタン1つというシンプルさや、タッチスクリーンのような直観性が受けて、大ヒット。スマートフォン業界の雄となりました。顧客のニーズを超え、作りたいものを作るプロダクトアウトの考えがあったからこそiPhoneは画期的な製品となったのです。発売から10年以上が経過しましたが、未だにiPhoneは、新製品が出るとネットニュースを駆け巡る程のイノベーティブな製品となりました。

プロダクトアウトの事例【メルセデスベンツ】

次に紹介するプロダクトアウトの事例はメルセデスベンツ。日本のメルセデスベンツは高級車のイメージが強く、顧客も高齢化していて、若い顧客向けの製品ではありませんでした。しかし、高齢化した顧客は若者よりは早く亡くなってしまうので顧客の数もいずれは減ってしまうことが予想されます。そこでメルセデスベンツは、若い顧客にも関心を持ってもらうため、300万円台のベンツを開発して日本で売ることにしました。

「そんなものが売れる訳がない」と、社内や顧客からも反発がありましたが、メルセデスの日本法人社長はスーパーでの試乗会や『エヴァンゲリオン』で有名な貞本義行氏を起用してアニメ広告を打つ等の大胆な戦略を起こし、市場を開拓しました。メルセデスのマーケティング戦略は、顧客のニーズを聞いているだけでは決して生まれることがない、プロダクトアウトの好事例です。

マーケットインの事例

マーケットインの事例

マーケットインの事例を2つ、紹介します。

市場調査を元に来場者を増やしたテーマパーク

ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、2001年オープン以来、ハリウッド映画のテーマパークとして人気を博していました。初年度の入場者数は1,000万人を突破する等、人気の程が伺えます。しかし2年目は700万人に落ち込み、その後は一度も入場者数1,000万人を突破することなく800万人程度の横ばい状態で推移していました。

そんな中、2010年にマーケターとして入社した森岡毅氏は市場調査を駆使して、ハリウッド映画のテーマパークから、エンターテインメント全般のテーマパークへと舵を切り、USJを成功に導きました。市場調査によって顧客のニーズを図るやり方がマーケットインとなります。2013年にはオープン以来の入場者数1,000万人を突破。USJは映画に限らず『進撃の巨人』『エヴァンゲリオン』等のアニメも取り入れて、映画ファン以外の顧客を取り込むことに成功したのです。

缶コーヒー

アサヒ飲料は市場調査行い、ビジネスパーソンが朝に気軽に飲める缶コーヒーを欲していることを掴みました。そこでアサヒ飲料は、朝に飲める缶コーヒーを作って売り出したところヒットしたのでした。アサヒは調査にあたって、朝の時間帯を狙って調査したことで缶コーヒーのヒットに繋げています。

マーケットインのメリット

マーケットインのメリット

マーケットインのメリットを紹介します。

失敗のリスクが小さい

マーケットインでは顧客のニーズを図るためにアンケートや市場調査を行います。そして顧客のニーズに合った製品開発・販売を行うので、失敗のリスクは小さいと言えます。ニーズを見誤って製品を開発して費用を回収できないと事業は成り立ちませんので、マーケットインのやり方ならリスクを抑えて開発・販売することができます。

売上の予測を立てやすい

マーケットインのやり方なら、市場調査を駆使しますから売上の予測を立てやすくなります。顧客のニーズに合った、売れやすい製品を開発・販売する訳ですから「だいたいこのくらいは売れるだろう」と予測できるようになりますね。

マーケットインのデメリット

マーケットインのデメリット

マーケットインのデメリットを紹介します。

大ヒットを生み出しにくい

顧客のニーズに合った製品を作るということは、顧客が既存の製品を見て「こんなものが欲しかったんだ」というニーズに合った製品を作ることでもあります。従って、マーケットインのやり方では、既存の製品の追随的な製品開発に留まり、大ヒットを生み出しにくいというデメリットがあります。

既に市場があるところに、ニーズのある製品を開発すればリスクは小さいのですが、それゆえに二番煎じ的な製品に留まり、大ヒットには繋がりにくい可能性があるのです。

イノベーティブな商品を生み出しにくい

顧客のニーズを調査して、それに合った製品を開発・販売している限り、画期的な製品は生み出されにくいです。従って、マーケットインではイノベーティブな商品が生み出されにくいというデメリットがあります。

顧客が思ってもみなかったようなイノベーティブな製品を生み出すには、顧客のニーズを掘り起こす必要がありますが、マーケットインでは顕在化されたニーズ以上のニーズは出にくいのです。ニーズを超えた製品を生み出すことで、イノベーションが起こり、市場を形成するほどの商品が生まれるのですが、顧客のニーズを図っている限りにおいては、イノベーションは起こりにくいのです。

マーケットインは時代遅れか?

マーケットインは時代遅れか?

マーケットインにはメリットもデメリットもあります。しかしマーケットインのデメリットを確認してみると、大ヒットが生まれにくいとかイノベーティブな製品が生まれにくいといったものがあり、もはやマーケットインが時代遅れのような印象さえあります。しかし、本当にマーケットインは時代遅れなのでしょうか?

マーケットイン単独では通用しない

マーケットインのデメリットを見れば分かるように、マーケットイン単独では通用しないということが言えます。製品開発において、顧客のニーズを超えることができないのですから何かを組み合わせなくてはならないのです。それがプロダクトアウトです。

プロダクトアウトと組み合わせてこそマーケティングは成功する

マーケットインはプロダクトアウトと組み合わせてこそうまくいきます。マーケットインの考え方を使って、顧客のニーズを図るだけでは大きなヒットは見込めません。とはいえ、プロダクトアウトの考え方で企業が作りたいものを作っているだけでは、リスクが大きいと言えます。マーケットインで考えるとどうだろう?プロダクトアウトで考えるとどうだろう?というように、マーケティング戦略ではどちらか一方ではなく組み合わせて考えることが重要なのです。

プロダクトアウトで成功したiPhoneも、顧客のニーズを無視した訳ではありません。iPhoneのようにシンプルな作りでスクリーンタッチの製品なら、顧客のニーズを掘り起こせるだろうという仮説があったのです。マーケットインとプロダクトアウトを組み合わせてマーケティング戦略に活かすことで、顧客が欲しいと思えるようなイノベーティブな製品を作り大ヒットに持ち込むことができます。

まとめ

マーケットインのまとめ

マーケットインは、顧客のニーズを図るマーケティングの考え方です。メリット・デメリットがあり、成功事例もあります。マーケットインに対する概念としてプロダクトアウトがありますが、こちらにもメリット・デメリットがあり成功事例があります。どちらも一長一短ですが、組み合わせることでマーケティング上、大きな成果を生むことができます。

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