経費削減の重要性
経費を削減することの重要性を解説します。
経費削減は売上高向上よりも利益を高める
経費削減は利益向上に繋がります。具体的に見ていきましょう。
売上高1億円の会社X社があります。X社では経費が9千万円かかりました。営業利益は1千万円なので営業利益率は10%ですね。X社が経費削減を10%行うと、経費は8千100万円に減り営業利益は1千900万円となります。10%の経費削減で営業利益率は19%に上昇します。
もしX社が売上高を向上させることで1千900万円の営業利益を得ようとすると、どの程度、売上高を増やす必要があるでしょうか?答えは9千万円です。売上高を90%も増やして1億9千万円を稼がなければ1千900万円の営業利益は確保できないのです。経費削減が業績に影響する効果がいかに大きいか分かりますよね。
適切な経費削減は経営合理化に繋がる
経費削減には適切さが求められます。事項の失敗例で見ていくように、何でも削減すれば良いという訳ではなく、適切な経費削減をすることで経営合理化に繋がるのです。
こんな経費削減では失敗する!
経費削減をすれば何をやっても良いという訳ではありません。失敗する例を紹介します。
経営のために必要な経費まで削減してしまう
経営のために必要な経費まで削減すると失敗します。都心の顧客が多い会社が経費削減だからと郊外に移転してしまうと、営業がやりにくくなるためうまくいきません。結果的に売上高を下げることに繋がり、事業が立ち行かなくなることもあるでしょう。
従業員のエンゲージメントを下げる経費削減をしてしまう
経費削減の中には従業員のエンゲージメントを下げる経費削減もあります。光熱費・事務用品・通信費・賃料等を削減せずに、賞与削減をしてしまうと従業員のエンゲージメントは下がります。従業員に「賞与を減らす前にやることがあるのに!」と思われるからですね。エンゲージメントが下がると従業員が離職することもあるので、経費削減を設定する時には注意して下さい。
目標のない経費削減をしてしまう
目標のない経費削減は、従業員の共感を得られないので失敗します。「何のために経費削減をやっているのか?」と従業員に思われると、会社が経費削減の指示を社内に出しても思うように従ってくれません。経費削減の目指すところは会社によって違うと思いますが、経費削減は従業員の協力を得ながら行うものです。経費削減の目標は全社的に示すようにしましょう。
経費削減案10選
効果的な経費削減ができる案として10選を紹介します。
事務用品削減
経費削減として真っ先に候補に挙がるのが事務用品削減でしょう。事務用品には文房具や領収書、消耗品、複合機のコピー用紙等があります。文房具については使用頻度を確認して下さい。使用頻度の低い文房具は補充を止めて社員に持参してもらいましょう。また、事務用品全体に言えることとして、料金の安い事務用品に変えることで経費削減となります。
領収書については電子化することで紙の領収書が不要になります。また、複合機のコピー用紙については、次のような取り組み例が挙げられます。
・カラーコピーの使用頻度を下げ、白黒印刷を標準にする
・2枚を1枚で印刷する
また、コピー用紙はカウンター料金がかさむので、カウンター料金が低い業者に乗り換えることも長期的には大きな経費削減となり得ます。
人件費削減
経費削減の中でも最も着手しづらいのが人件費削減で、その理由は社員から反発されるからです。人件費の中で特に社員から反発を受けるのが人員削減、賞与・賃金の削減です。人員削減は最終手段ですが、賃金についても社員の不利益変更になるため容易にはできません。賃金に比べれば賞与は必ず支給するものではないため削減しやすいですが、一方で賞与を生活設計に入れている社員もいますから、社員の理解は得にくいのです。
人件費削減の例としては、教育費の削減があります。教育費とは社外研修や外部講師を呼んでの研修等があります。社外研修を中止し、研修を内製化することで教育費を浮かせることができます。研修への受講者の参加も、事業所に集合するのではなくリモート参加を可能にすることで費用を削減することができます。また、人件費削減の例として業務のアウトソーシングを行うこともできます。
通信費削減
通信費削減としては以下の取り組みが挙げられます。
・固定電話料金の見直し
・インターネット回線の料金プランの見直し
例えば携帯電話料金の見直しの事例として、ソフトバンク同士なら定額制なので電話がかけ放題になります。インターネット回線の料金プランの見直しでは、利用頻度に応じて余計なプランを使わないことが挙げられます。
光熱費削減
光熱費削減としては以下の取り組みが挙げられます。
・エアコンの風量調整を自動運転にする
・エアコンをメンテナンスする
・LED照明に交換する
エアコンは温度設定を調整することで電気代を下げられます。例えば冷房なら、設定温度を1度上げると電気代を10%カットできるのです。環境省が推奨する冷房の設定温度は28度なので、扇風機を併用して経費削減に努めましょう。
エアコンの風量調整を自動運転にすることは、エアコンの仕組みを考えると経費削減になる理由が理解できると思います。エアコンの自動運転機能は、設定温度に到達すると温度を維持するために風量の強弱を自動的に行ってくれます。そのため、エアコンの風量を「弱」にするよりも自動運転の方が経費削減に繋がるのです。
賃料削減
賃料は固定費であり賃料がかさむことで経営を圧迫します。賃料削減も経費削減の候補として検討しましょう。賃料削減の事例としては、安い賃料のオフィスに引っ越したり、オフィスを縮小して貸し会議室の利用や在宅勤務を推奨したりすることが挙げられます。
採用費用削減
毎年採用している会社なら、採用にかかる費用も削減の対象になります。以下の通り取り組み事例を紹介します。
・採用数が少ない場合は求人広告を止めてエージェントを活用する
・求人広告を止めて自社サイトで募集する
・リファラル採用を行う
この中で採用数が少ない場合は求人広告を止めてエージェントを活用するとは、求人広告とエージェントとの費用対効果を検討した上で、エージェントを活用するということです。エージェントは成功報酬なので、内定が決まらなければ費用は不要です。一方、広告は内定が出ようが出まいが一律的に費用がかかってしまいます。少ない採用数ならエージェントの方が安上がりです。
販促費削減
販促費とは売上を促進するためにかかる費用のこと。販促費削減をするには、販促費の合理化が必要です。何も考えずに販促費を下げてしまうと売上が伸ばせないことになります。従来の販促費効果を分析しながら、効果の高い販促費に集中して経営資源を投入するようにして下さい。効果の低い販促費を削減するようにします。
在庫管理による経費削減
顧客に円滑に製品を届けるためには在庫を持っておくことが必要です。しかし、在庫管理には維持費がかかります。現在の在庫量が適切か否かを分析して、不要な在庫を持たないようにすることで在庫管理による経費削減ができるようになります。
IT活用による経費削減
IT活用による経費削減は、採用や人件費、事務用品等、幅広い領域の経費削減に使えます。採用を例に考えてみましょう。クラウドソーシングを活用すれば、採用数が多い場合に採用担当者の負担を軽くすることができます。スカウトメールや日程調整等の事務的な業務は意外と時間と手間がかかります。クラウドソーシングを使えば、安価な費用で事務的な業務を代行してもらうことが可能になります。
また、IT活用でペーパーレス化すれば、書類を保管する費用の削減に繋がります。ペーパーレス化すれば、書類がデータ化されるため情報を取り出しやすくなるメリットもあります。探し出す手間も省けることができるのです。
税金対策を通じた経費削減
経費削減を行えば営業利益を確保できることを説明しました。節税は経費削減と同じではありませんが、節税すれば利益を増やすことができるため、経費削減と節税の効果は同じなのです。税理士に依頼するとコストが発生しますが、節税で戻ってくる税金が多ければコストメリットがあります。税金を多く払っている会社は税金対策を通じた経費削減も検討してみましょう。
まとめ
経費削減の効果は、売上高を増やすよりもたくさんの効果をもたらす場合があります。「こんな経費削減では失敗する!」にならないような経費削減策を講じて、業績向上に繋がるアイディアを展開していきましょう。