うつ病の平均休職期間はどのくらい?休職期間の延長・設定方法を解説

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労働者は、心の病であるうつ病にかかった時に休職することがあります。休職は任意規定であり会社が必ず定めなくてはならないルールではありません。ですから、休職や休職期間については会社ごとにルールが異なるのです。うつ病の平均休職期間はどのくらいか、休職期間の延長は認められるのか、設定方法はどうするのかについて解説します。

うつ病の平均休職期間は?

うつ病は、気分の落ち込みや喜びの喪失が長期間に亘って続くこと。一時的な落ち込みではなく、2週間以上もの長い期間に亘って続くことがうつ病の症状です。うつ病は心の病ですが、身体の痛みを伴うことがあり、睡眠障害・動悸・息苦しさに襲われます。うつ病は心の病なので、どれだけの時間をかければ治るというものではありません。そのため、うつ病にかかった労働者は会社を休職せざるを得ないこともあります。休職するとどれくらいで復職できるでしょうか?

休職期間の設定期間は様々

労働者が業務外の病気・ケガで働けなくなった時に休むことができる休職制度。休職制度は任意規定であることをご存知でしょうか?任意規定なので休職無しにすることも可能ですが、労働者に働きやすい環境を用意する意味では、休職有りにした方が良いでしょう。休職を認めるにしても休職期間の設定期間は様々と言えます。

休職する事態が起こった時にルールを作るのは遅いので、休職期間を含め、会社は休職についての定めを就業規則に規定しておくことがベターです。休職を就業規則に定めるにあたっては、休職期間中の給与の有無や休職期間、正社員・非正規社員の休職取得の可否等を定めることになります。

休職期間の上限は2年までが多い

休職が任意規定とすると休職期間をいつまでに設定したら良いかが悩ましいところです。短過ぎると労働者が不安がりますし、長過ぎても会社が休職を管理することが難しくなってしまいます。本記事のテーマであるうつ病はいつ治るか分かりませんから、尚更休職期間の設定が難しく感じられます。

そこで、労働政策研究・研修機構の調査メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査を参考にしてみることにします。同調査によると休職の上限を2年にしている会社が全体の75%を占め、休職期間の上限は2年までが多いことが明らかになっています。

企業規模に応じて休職期間は長くなる

「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」によると、企業規模によって休職期間に変化があるようです。大企業では休職期間が「1年半~3年未満」の会社が6割に上ることが分かっています。

うつ病の平均休職期間は半年間

うつ病の平均休職期間は半年間程度と考えておけば、妥当性があると思われます。ただ、うつ病は心の病ですから半年間で必ず治るという保証はありません。1か月程度の短い休職期間で済む場合もあれば、半年間を超えて休職しないと復職できない場合もあり、人によって様々です。

うつ病の休職期間が延長される理由

うつ病の平均休職期間は半年間ですが、半年間で必ず治る保証はないという説明をしました。必ず治る保証がないということは、うつ病は当初の休職期間を延長することがあります。その理由について説明します。

就業規則に応じて休職期間を延長できる

就業規則に応じて休職期間を延長することができます。就業規則に記載の期限まで休職可能です。就業規則に延長ルールがなければ、休職期間を満了したら休職は終了。復職するか退職するかは会社と労働者との間で相談することになります。うつ病で当初の休職期間を延長する場合、延長ルールがあれば延長可能です。

うつ病は治りにくい病気である

うつ病の休職期間が延長される理由として挙げられるのは、うつ病は治りにくい病気であるということです。全てのうつ病が治りにくい訳ではなく、再発を繰り返してしまう難治性うつ病にかかると治りにくくなります。

職場復帰しても再発の可能性が高い

「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」によると、メンタルヘルスの再発に関するデータがあります。「半分以上が再発」(「ほとんど(9 割)が再発を繰り返している」「7~8 割程度が再発を繰り返している」「半分程度が再発を繰り返している」の合計)は、メンタルヘルスの場合は32.4%と高い数値を示しています。メンタルヘルス=うつ病ではありませんが、職場復帰しても再発の可能性が高いことはデータから説明できると思います。再発を繰り返す難治性うつ病にかかると、職場復帰しても再発の可能性が高くなります。

うつ病の労働者が休職期間中の企業負担について

うつ病の労働者が休職していると、その期間中、企業にはどのような負担があるのでしょうか?説明します。

人手不足で職場が混乱する

企業は人材を切り詰めて経営をしています。そのような中で、社員がうつ病となって休職すると職場が混乱します。属人的な職場で、休職者しか業務を遂行できない状態だと混乱が生じます。属人的な職場でなくても、エース級の社員が急にうつ病になって休職することになる場合でも職場に混乱を招きます。

組織において混乱を招くというのは、組織の生産性が低下するということです。属人的な職場では、他の社員が分からないなりに業務遂行を担います。そうなると質が低くなりスピードが遅くなります。エース級の社員が組織を牽引している職場では、他の社員では組織の目標達成をカバーしきれません。つまり人手が足りていない職場では、1人の社員の休職が組織としての生産性の低下を招いてしまうのです。

社会保険料を企業が立て替えることも

うつ病で休職中の場合であっても、社員は社会保険料を支払わなくてはなりません。ただ、休職中の間、給与を有給・無給にするのは会社の裁量に任されており、無給にする企業が多いです。無給で社員が社会保険料を支払うのは負担が大きいので企業が社会保険料を立て替えることもあり、このことは企業の負担となります。

社会保険料を企業が立て替える場合、立て替える頻度を決めておいた方が良いです。毎月立て替え続けて、社員が復職した後に一括して払ってもらうのか。それとも、毎月立て替える毎に社員に社会保険料を請求して払ってもらうのか。予め就業規則にルール化しておけば、休職者が出た時に人事労務担当者が困らなくて済みます。

人事労務担当者の負担が増す

うつ病の労働者が休職中は、人事労務担当者の負担が増します。休職前の事務手続き、休職中の労働者に対するコミュニケーションが発生するからです。難治性うつ病にかかってしまうと治りにくく、再発の可能性もあります。復職したと思ったら再び休職することもあります。その都度、人事労務担当者の負担が増すのです。

うつ病の休職期間の設定方法

うつ病の休職期間はどのように設定したら良いか説明します。

休職無しは労働者のエンゲージメントを下げる

休職は企業の任意規定であり、必ずしも休職を定めなくても違法性はありません。しかし、業務外の病気・ケガはいつ起こるか分かりません。休職の制度があった方が社員にとっては安心感があります。むしろ休職がないと、企業に対して帰属意識を持たれないことになりかねません。いつ発生するか分からない病気・ケガというリスクに備えて、企業が休職を設定していないことは、労働者のエンゲージメントを下げる原因となり得ます。

社員一律ではなく勤続年数に応じて設定

休職期間を社員一律ではなく勤続年数に応じて設定する方法があります。この方法は、勤続年数が長い社員に報いるという発想に基づいています。年功的ではありますが、休職は人事評価ではありません。ですから勤続年数が長い社員に、より長い休職期間を当てることには社員からの反発は少ないと言えます。

企業の実態や負担感を考えて設定

休職期間を設定する際は、企業の実態や負担感を考えて設定することも大切。企業規模が小さく、1人の社員が休職することで大きなダメージを受けてしまうと考えられる場合は、休職期間を短めに設定しても良いでしょう。

うつ病になった労働者の離職や採用を想定して設定

うつ病になった社員が必ず復職するとは限りません。特に難治性うつ病の場合は再発を繰り返しますから、離職や採用を想定して設定することが重要です。休職期間の上限を2年程度と置いている企業が多いのですが、これは、2年の間に社員が復職できる場合、あるいは復職できなかった時に採用や人事異動等で人材を補充することを見越した期間と言えるでしょう。

まとめ

うつ病の平均休職期間は半年程度です。うつ病には程度があり、もっと早い休職期間で復職できる人もいれば、半年では治らない人もいます。休職は企業にとっての任意規定ですから、設定の有無は企業の裁量に任されます。しかし、休職の設定がない企業には社員のエンゲージメントが下がってしまいます。従って、休職は必ず就業規則に設けておき、企業の事情に応じて休職期間を設定していくことが重要となります。