会社都合退職とは?自己都合退職との違い・助成金・メリット・デメリットを紹介

会社都合退職の記事
退職には会社都合退職と自己都合退職の2種類があります。会社都合退職か、自己都合退職かによって失業保険の受給条件が違ったり、給付日数や給付スタート時期が違ったりします。記事では、会社都合退職と自己都合退職の違い、会社都合退職のメリット・デメリット、そして会社から会社都合退職ではなく自己都合退職にして欲しいと言われた場合の対処法について解説します。
目次

会社都合退職と自己都合退職との違い

会社都合退職とは、倒産や解雇、大量のリストラ等会社の都合によって退職することを言います。一方、自己都合退職は自分の意思で退職することを言います。

会社都合退職は特定受給資格者に該当して退職すること

会社都合退職は、法律的には特定受給資格者に該当する場合の退職です。
特定受給資格者は離職する準備が少ないことから、失業保険の受給条件や給付日数が優遇されます。

自己都合退職は自らの意思で退職すること

会社都合退職と違い、自己都合退職は自らの意思で退職することです。転職や結婚、出産、育児、介護等、自らの意思で退職することを自己都合退職と呼びます。

どんな場合で会社都合退職となるのか

会社都合退職とされるには、倒産や解雇、大量のリストラが該当しますが、会社都合退職に該当する場合(特定受給資格者の範囲)は以下の通りです。


・倒産、大量のリストラ
・事業所の廃止
・事業所移転に伴い通勤が困難になったこと
・解雇(自己の責めに帰すべき重要な理由による解雇は自己都合退職となる)
・退職勧奨
・職場の人から嫌がらせを受けて退職したこと
・賃金の未払いが続いたことにより退職したこと
・事業所の業務が法令に違反したことにより退職したこと

失業保険の受給条件による違い

会社都合退職と自己都合退職には、失業保険の受給条件の違いがあります。失業保険の支給日は、会社都合退職の場合は待機期間7日後であるのに対して、自己都合退職の場合は待機期間7日を経て、3か月となります。また、失業保険の給付日数も会社都合退職の方が長いですね。

会社が会社都合退職にしたくない助成金問題とは?

助成金とは、会社が社員の健康や雇用の安定のために施策を講じることで、費用に対してお金を助成するものです。会社が社員を会社都合退職ではなく、自己都合退職にしたいと考えることの1つに、この助成金に係る問題があります。

会社都合退職と助成金問題

助成金は厚生労働省からもらえます。会社が助成金をもらうには、6か月以内に会社都合退職にしていないことが要件となっています。助成金をもらいたい会社は、社員を退職させる際に会社都合退職では都合が悪いのです。会社が社員に対して「自己都合退職にしてもらえないか」と打診するのは、そういう背景がある訳です。

助成金の種類

助成金の種類には次のような種類があります。これらの助成金をもらうには、会社が6か月以内に会社都合退職をしていないことが要件です。


・トライアル雇用助成金
・中途採用等支援助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・地域雇用開発助成金

会社都合退職のメリット

会社都合退職のメリットを説明します。社員側のメリットです。

解雇予告手当を受けられることがある

社員を解雇する際、会社は30日前に解雇しなくてはなりません。これを解雇の予告と言いますが、解雇の予告なしに解雇する場合、社員は解雇予告手当を受けられます。解雇は会社都合退職です。自己都合退職では解雇予告手当はもらえないので、解雇予告手当の支給は会社都合退職のメリットと言えます。

失業保険の受給期間が長くなる

会社都合退職のメリットとして、失業保険の受給期間が長くなることも挙げられます。自己都合退職の受給期間は90~150日ですが、会社都合退職は90~330日となり大きく増えます。

失業保険をすぐに受給できる

待機期間さえ満了すれば、失業保険をすぐに受給できるのも会社都合退職のメリット。待機期間は7日間で、それを過ぎれば失業保険を受給可能です。自己都合退職の場合は待機期間の後、さらに3か月間を待たなければ受給できません。その間は無収入になってしまうので、収入源の有無の違いは大きいですね。

雇用期間が短くても失業保険を受給できる

会社都合退職のメリットとして、雇用された期間が短くても失業保険を受給できることがあります。会社都合退職では、雇用保険の被保険者期間が半年あれば失業保険を受給することができます。一方、自己都合退職の場合は1年以上の被保険者期間がなくては、受給できないことになっています。

会社都合退職のデメリット

会社都合退職にもデメリットがあります。

転職で不利になる

会社都合退職の項目を見て頂くと分かるのですが、解雇や倒産、リストラ等といったものが並んでいます。転職の際に、面接で「会社都合退職で解雇された」と言うと、なぜ解雇されたのか?と詮索されがちとなり、結果的に転職に不利になることが会社都合退職のデメリットです。

面接で言わなかったとしても、応募先に離職票を提出するように言われた時にバレてしまうことがあります。内定した後、会社から離職票の提出を求められることがあるので、隠せないのですね。また、失業保険の受給日数でバレることもあります。メリットで説明した通り、会社都合退職の方が受給日数が長いですから、会社都合退職で前職を辞めたことが露見することがあるのです。その際に、応募先に対して納得できる説明(なぜ会社都合退職となっているのか)ができるようにしておかなくてはなりません。

会社から自己都合退職にして欲しいと言われた場合はどうするか

会社から自己都合退職にして欲しいと言われることがあります。助成金問題の項目でも書きましたが、会社は様々な理由で社員を自己都合退職にしたいと考えるものです。会社都合退職では、失業保険の支給開始日が早かったり、受給日数が長かったりといったメリットがありますが、自己都合退職に同意すればそれらのメリットを享受することはできなくなります。自己都合退職にして欲しいと言われた時、どう対処したら良いかを説明します。

対処法

手っ取り早い対処法は、会社に対して「自己都合退職を受け入れられない」として、会社の要求を拒否することです。そのためには、会社都合退職に該当する場合を自分で把握しておきます。その上で自己都合退職では納得できないことを会社に告げるのです。退職届を書いて下さいと要求されても、書かないことです。ルール上、退職届を書く必要がある時は、会社都合退職であることを証明する文書を会社に書いてもらいましょう。

もし、会社が応じてくれない場合は、ハローワークに異議を申し立てることもできます。そのために会社都合退職であることを証明できる資料は、しっかりと準備しておきたいところです。資料の例として、会社側とのやり取りを行ったメール、文書類、会話の録音等があります。

自己都合退職でも会社都合退職にできる場合

自己都合退職でも会社都合退職にできる場合があります。雇用保険の特定理由離職者に該当した時です。特定理由離職者は、退職理由が「妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた場合」「配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合」等が該当します。該当すると思った時はハローワークに相談して下さい。

まとめ

会社都合退職は、自分の意思ではなく会社都合で退職すること。解雇・倒産・リストラ等といった理由で退職する場合が該当します。会社都合退職にはメリットがありますが、助成金問題があるために会社が自己都合退職にしたいと考えることもあります。その時の対処法については記事に説明してありますので、参考にして頂ければと思います。

よかったらシェアしてね!
目次