ドミナント戦略とは?意味・メリット・デメリット・活用法を紹介

ドミナント戦略の記事
ドミナント戦略とは、チェーン店が特定の地域に集中して出店してシェアを高め、その地域で優位に立つ戦略を言います。コンビニエンスストアで見られるマーケティング戦略の1つです。ドミナント戦略によって出店すると顧客の目に触れやすくなり、地域での競争力が増していきます。ドミナント戦略のメリット・デメリット・活用法を紹介します。
目次

ドミナント戦略の意味とは?

ドミナント戦略とは、チェーン店が特定の地域に集中して出店してシェアを高め、その地域で優位に立つマーケティング戦略を言います。ドミナントは英語でdominantと言い、「支配的な・優勢な」を意味します。

ドミナント戦略の代表例セブンイレブン

ドミナント戦略の代表例は、コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンです。セブンイレブンが全ての都道府県に進出し、全国を制覇したのは2019年。大手コンビニと比べると全国制覇に至るのが遅かったのですが、これはドミナント戦略によるものです。

セブンイレブンの出店数は全国一ですが、各都道府県への出店数が100店以上と多く、市区町村単位で多くの店舗を展開し、地域でのシェアを高めて競争力を高めてきたのでした。

ドミナント戦略のメリット

ドミナント戦略を行うとどんなメリットがあるか、説明します。

知名度が上がり買ってもらいやすくなる

ドミナント戦略を行うと特定の地域での知名度が上がります。特定の地域で多くの出店を行うため、消費者は小さな圏内で多くの店舗を目にします。消費者が店舗をたくさん見かけること自体が宣伝になり、消費者の来店を促し売上に貢献するのです。セブンイレブンのように名の知れたチェーン店でなくても、地域で多店舗展開すれば知名度を上げられます。

顧客ロイヤリティが高まる

顧客ロイヤリティとは、顧客が会社や店舗に対する愛着のこと。顧客ロイヤリティを高めると、会社や店舗、製品・サービスに対して顧客が愛着を持ってくれます。顧客は繰り返し来店し、また、何度も消費してくれます。

ドミナント戦略を行うと顧客ロイヤリティが高まります。特定の地域で多店舗展開しているため知名度が上がり消費者が来店します。そこで消費者の心を掴む商品、サービス、接客応対に注力すれば消費者は「良いお店だ。また来たい」と思うようになりますよね。しかも、ドミナント戦略を行っていますから、店舗は色々な場所で目につきます。顧客ロイヤリティが高い状態で多店舗展開しているため、売上の向上にも貢献していきます。

計画通りに出店できる

ドミナント戦略は地域の立地条件やターゲット層、消費者のニーズ等を調査して出店していきます。ドミナント戦略では調査結果を元に出店していきます。地域が限定されているゆえに調査がしやすいため、出店計画が立てやすく、計画通りに出店することができます。

他社を地域に参入させなくさせる

ドミナント戦略により特定の地域で競争力を保てば、他社を地域に参入させなくできます。他の企業が地域を調査した結果、自社の優位性が圧倒的であれば参入する意欲を失ってしまうでしょう。仮に参入したところで、自社が顧客に受け入れられ、顧客ロイヤリティを高めている状態なら、いずれ他社は撤退に追い込まれてしまいます。ドミナント戦略は他社の参入を阻むほどの優位性を持つことができるのです。

本部からのアドバイスを受けやすい

ドミナント戦略をしている企業がフランチャイズを行っている場合、本部からのアドバイスを受けやすくなるメリットがあります。ドミナント戦略では特定の地域に集中的に出店していますから、本部のアドバイザーが店舗を移動しやすいのです。そのため、アドバイスを受けやすくなり、店舗改善や経営効率化等を早期に行うことができる訳ですね。

ドミナント戦略のデメリット

ドミナント戦略のデメリットを紹介します。

店舗同士の競争が激化する

ドミナント戦略では特定の地域に集中的に出店しているため、店舗同士の競争が激化するリスクがあります。同じ店舗で同じ商品を扱っているのに、店舗や駐車場の広さの違い、車の停めやすさの違い等によって1つの店舗に消費者が集中し、他の店舗に消費者が行かなくなることもあります。

同じ店舗同士で顧客の奪い合いが起こることをカニバリゼーションと言います。ドミナント戦略のデメリットの代表例は、店舗同士の競争に伴うカニバリゼーションなのです。

店舗が近いことによるリスクの集中

ドミナント戦略では、店舗が近いことによるリスクが集中します。例えば大規模な地震が発生すると、多店舗展開している地域の店が全て壊滅してしまいます。全国的に幅広く出店しリスクを分散していれば、一気に壊滅状態になることはありません。また、地域限定品が人気を得られない場合、地域限定品に力を入れてきた同一店舗は軒並み苦戦を強いられます。

他の地域への進出で他社に追い抜かされる

ドミナント戦略の実践は時間がかかります。特定の地域での優位性を保つため、ドミナント戦略を実践する企業は経営資源を集中的に投入します。その間、他の地域への進出が遅れ、他社に追い抜かされるリスクがあるのです。

特定の地域に進出する時に、一気に多店舗展開できる訳ではありません。ターゲット層、消費者のニーズ等の調査結果を元に展開した店舗が実際に受け入れられるかどうか。少しずつ見極めた上で多店舗展開します。そのためにはどうしても時間がかかります。その間に他の地域への進出は遅くなり、他社に優位性を奪われてしまうことになりかねないのです。

強力な競合のために共倒れになるリスク

特定の地域に集中的に出店しているドミナント戦略では、強力な競合が出てくると共倒れになるリスクがあります。特定の地域に強力な競合が出てきて、消費者を奪われた場合、影響は1店舗では済みません。ドミナント戦略の店舗は同一地域に集中しているため、複数店舗で消費者を奪われてしまい、共倒れになるリスクをはらんでいるのです。

ドミナント戦略を活用する方法

ドミナント戦略をどのように活用したら良いか、方法を解説します。

出店地域の綿密な調査

ドミナント戦略では、計画通りの出店を行うためにも地域の綿密な調査が必須です。地域の政治・経済情勢、立地条件やターゲット層、消費者のニーズ、既存店舗での売れ筋商品等を調査します。調査結果を元に出店計画を立てられます。

災害への対応力の強化

災害への対応力の強化は、店舗が近いことによるリスクを防ぐために必要です。災害は発生するとの想定の下に、災害発生時のリスクを最小化するためにできることを考えます。これをリスクマネジメントと言います。店舗同士が近いドミナント戦略には災害というリスクがあり得ますから、災害を未然にどれだけ防げるかを把握し、リスクを評価し、対策を練ってリスクに対処する必要があります。

商品開発の強化

ドミナント戦略では強力な競合に消費者を奪われ共倒れになったり、他の地域への進出で他社に追い抜かされたりします。ドミナント戦略のデメリットに対処するためには、商品開発の強化が欠かせません。

例えば、自社独自のスペシャリティコーヒー、添加物の使用を控えた総菜等、他社が真似できない生産工程で作られた商品を開発します。他社が真似できない商品があれば、消費者は商品を求めて来店します。商品開発を強化し、イノベーションを求めていくことはドミナント戦略をうまく行うために重要なポイントなのです。

人材育成の強化

商品開発の強化と近いですが、人材を育成することも他社が真似できないポイントとなります。人材育成のためには教育への投資が必要になるため他社は容易に真似できません。「あの店舗はいつも店員の感じが良く、知識が豊富だ」と思ってもらうことが消費者の印象としてスタンダードになれば、競合に負けず集客力を持つことができるでしょう。

まとめ

ドミナント戦略は特定の地域に集中的に多店舗展開することで、地域のシェアを拡大し、地域での優位性を持つことができるマーケティング戦略のことです。ドミナント戦略にはメリット・デメリットがあります。デメリットには「ドミナント戦略を活用する方法」を実践することで乗り越えることができます。

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