カニバリゼーションとは?意味・原因・失敗・成功事例を紹介

カニバリゼーションの記事 マーケティング
カニバリゼーションは、市場で自社ブランド同士が競合してしまう現象であり問題のことです。カニバリゼーションの元にマーケティングを考えないと、自社製品や自社店舗同士で顧客の取り合いになることがあります。記事では、カニバリゼーションの原因や成功・失敗事例を紹介していきます。

カニバリゼーションとは?

カニバリゼーションの意味、原因について紹介します。

カニバリゼーションの意味

カニバリゼーションとは共食いを意味し、マーケティングで使われる言葉です。市場において自社ブランド同士が競合してしまう問題を指します。同じ会社のブランドなのに競合するということは、顧客を食い合ってしまうことを意味します。カニバリゼーションは同じ地域や類似の商品を出す前に、マーケティング上において考えなくてはならない問題です。

カニバリゼーションの原因

カニバリゼーションの原因は、企業が同じ地域に出店したり、類似の商品を出したりしていることで発生しやすくなります。例えばコンビニエンスストアで、車で何分も走らない距離に複数の店舗が乱立している光景を見たことがないでしょうか?そして、何年か経つとどちらかの店舗が潰れている状況です。

あるいは、見た目も製品の質も価格も似たような製品を同じ企業が市場に販売している状況ですね。同じ地域への出店や類似の商品を出すことで、消費者がどちらかに流れたり、あるいは店舗や製品を行ったり来たりすることで、自社ブランド内で顧客の奪い合い、即ちカニバリゼーションが起きてしまうのです。

ドミナント戦略の失敗

カニバリゼーションはドミナント戦略の関係でも考える必要があります。ドミナント戦略とは、チェーン店が特定の地域に経営資源を集中して投入し、市場占有率を高めるために出店する戦略を言います。ドミナント戦略が奏功すれば、地域での認知度があがるので地域を限定したマーケティングができ、また、消費者はそのブランドを信頼するので業績に貢献します。

しかし、ドミナント戦略によって、近い距離に自社ブランドの店舗が乱立していると、認知度が向上しても顧客の奪い合い、カニバリゼーションに陥るリスクが出てくるのです。カニバリゼーションが起こってしまうとドミナント戦略は失敗。従って、ドミナント戦略を実行する際にはカニバリゼーションを想定した上で、マーケティングを行わなくてはなりません。

カニバリゼーション対策に失敗した企業事例

カニバリゼーションに陥らないようにするために、企業は施策を講じていますが、残念ながら失敗してしまった事例もあります。AOKIホールディングスといきなりステーキの2社の事例を紹介します。

AOKIホールディングス

大手アパレルメーカーのAOKIホールディングスは、サブスクリプションとしてsuitsboxを展開していました。しかしわずか半年でサービスは終了してしまうことになったのです。suitsboxは、月額7,800円からの利用料金でスーツをレンタルできるサブスクリプションサービスでした。利用者は増えていたにもかかわらず、なぜ失敗したのでしょうか?

理由の1つにカニバリゼーションがあります。suitsboxは20代・30代の比較的若い世代にターゲットを絞り、気軽にスーツを使ってもらおうと考えたサービス。しかし、実際には既存事業の顧客層の40代の利用が中心となり、結果的にはAOKIでスーツを買っていた40代の顧客がサブスクリプションに流れただけなので、AOKI内で顧客の奪い合いが起こってしまいました。他にも撤退の理由はあるものの、カニバリゼーション対策失敗の恐ろしさを感じられる事例と言えます。

いきなりステーキ

いきなりステーキを展開するペッパーフードサービスは、破竹の勢いで国内の市場に展開しましたが、2019年の年末年始にかけて44店舗を閉店、新規出店も210店を出店する予定が115店への規模縮小を余儀なくされました。ペッパーフードサービスの業績低迷の原因はカニバリゼーションにあります。同一地域内に多店舗展開したことによって、店同士で顧客の奪い合いが起こり、店舗の閉鎖や新規出店の縮小へと追い込まれたのです。

カニバリゼーション対策

カニバリゼーション対策に失敗した事例を紹介しました。うまく対策を講じるにはどうしたら良いか、2つのポイントで解説していきます。

ターゲットの設定

カニバリゼーション対策を講じるには、経営資源を投入したい市場のターゲットを設定することが重要です。20代~60代の男女に広くあてはまる製品・サービスを投入すれば対象の範囲は広くなりますが、ターゲットが広くなり過ぎうまく訴求できません。広いターゲットにアプローチしても全員が消費してくれる訳ではありません。結果的に20代~30代の女性が多く消費するという結果になるかもしれません。

しかし、自社の製品・サービスで、既に20代~30代の女性が消費する類似の製品・サービスが存在していたらどうなるでしょうか?自社ブランド内でカニバリゼーションが起こってしまいますよね。ターゲットをしっかり設定することがカニバリゼーション対策に有効なゆえんです。世代や性別、職業等の属性によってニーズは異なりますから、ターゲットを絞り込む必要があるのです。

製品・サービスの差別化

製品・サービスの差別化もカニバリゼーション対策には有効な手立てです。類似の製品であってもシリーズ内で消費者のニーズに応じて差別化すれば、カニバリゼーション対策になります。例えば、iPadはたくさんの種類が出ています。タブレット端末ということで言えば、どれも同じ用途であり、共食いが起こってもおかしくありません。

しかし、iPadはたくさんの種類があっても、互いに差別化されているのでカニバリゼーションにならない訳です。iPadをパソコンのように使いたい消費者にとってはiPad Pro、気軽に使いたい消費者にとってはiPad Air等と、ニーズが異なる消費者にしっかり訴求できているのですね。

カニバリゼーション対策の事例・オリエンタルランド

最後に、カニバリゼーション対策の企業事例を紹介しましょう。ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの例です。

大人向けのテーマパーク

ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2001年に東京ディズニーシーを開園しました。同社は既に東京ディズニーランドを運営し成功を収めていましたが、近接する敷地内で、同じディズニーキャラクターを使うことになるので、カニバリゼーションリスクがありました。しかし開園以来、ディズニーシーのコンセプトは大人向けのテーマパーク。ファミリー層向けのディズニーランドと差別化した戦略でカニバリゼーション対策になっています。

キャラクター登場数の抑制

現在でこそ、ディズニーシーにはディズニーキャラクターが出演しますが、開園当初、オリエンタルランドはキャラクターの登場数を抑制していました。ディズニーキャラクターが全く出演しないショーもある程にディズニーランドとの差別化を図ったのです。結果的に、そのショーはディズニーキャラクターが出演するショーに変わられましたが、大人向けのテーマパークを意識して、ランドとの差別化が奏功したことでカニバリゼーション対策に繋がったのでした。

水上でしか楽しめない演出

東京ディズニーシーは「水」を活用したテーマパークです。ですから、水を活かしたアトラクションや、ファンタズミックのような水上でしか楽しめない演出のショー等を導入することでディズニーシーらしさを確立しています。消費者は、どっちでも良いのではなく、「今回はディズニーランドに行こう」「次回はシーにしよう」としっかり選択できるようになっているのです。

まとめ

カニバリゼーションは、同じ地域、類似の製品・サービスに経営資源を投入した時に、顧客の奪い合いが起こる現象です。せっかく経営資源を投入しても、結果的に業績に悪影響を及ぼすようではいけないので、カニバリゼーション対策を講じたマーケティングが必要となります。