時差通勤とは?推奨される背景と取り組みのメリットについて解説

制度

人が密集しやすい都市部で注目される時差通勤は、満員電車による混雑を避けて通勤する働き方改革の施策の一つです。

今回は時差通勤が注目される背景や理由、制度を導入することで得られるメリット、会社・個人それぞれの取り組み方法などについて解説します。

時差通勤とは

時差通勤とは、混雑しやすい時間帯を避けて通勤する施策を指します。

ただ単に時間をずらして出勤すれば良いわけではなく、満員電車になる通勤ラッシュを避けて行動することが目的になります。

時差通勤におすすめの時間帯は?

通勤ラッシュの時間帯は地域や路線によって異なりますが、特に混雑がひどい都市部の路線は、7〜9時台が混雑のピークになります。

7時30分頃から徐々に人が増え、8時台にピークへ突入。そのまま9時頃まで混雑が続き、徐々に人の流れが緩やかになっていくという特性があります。8時台のピーク時はもちろん避けるべきですが、7〜9時の時間帯は、多少時間をずらしてもそれほど混雑率は変わりません。

時差通勤の効果を実感したいなら、通常の通勤よりも3〜4時間はずらしたいもの。もちろん、このような施策を個人でやるには限界があるので、会社全体の制度改革も必要になります。

参考:ゼンリンデータコム|通勤混雑を避けるには、時差出勤は何時がベスト?

時差通勤が推奨される背景

シフト制の仕事の種類

時差通勤が推奨される大きな理由は、人の密集によって起こるさまざまなリスクを回避することにあります。

疫病の感染リスク、災害時の対応、働き方改革…などなど、時差通勤が推奨される背景を見ていきましょう。

ジョブくん
時差通勤が強く推奨されるのは、人が密集しやすい大都市エリアが多いです。

大都市の交通混雑を緩和

一部の地域に大量の人が密集している都市部の交通混雑は、深刻な社会問題となっています。

通勤・帰宅といったピーク時間帯の乗車率は150%以上とも言われており、混雑による事故・トラブル、遅延、ストレス障害などの社会的損害は計り知れません。

こういった社会問題を解決するためには、通勤ラッシュによる人の密集・混雑を解決するのが一番。時差通勤をはじめとした取り組みは、地味ながら確実な効果が期待できる施策なのです。

災害時のスムーズな事業継続

一度に多くの人が密集するということは、同時に災害に見舞われる人も多くなるということ。

近年猛威を振るうコロナウィルスなどの疫病はもちろん、大雪・洪水・台風・地震といった自然災害が発生した場合、都市部の交通機関はほぼ全面的にストップします。

予定通りに動けなくなる人が増えれば、緊急時の事業継続はより困難になってしまいます。

このような事態を避けるためにも、日頃から時差通勤やリモートワークなどの働き方に慣れておくことが大切。スムーズな働き方の切り替えができれば、非常時でも安心して仕事を継続することができます。

時差通勤の取り組み事例

パラレルキャリアのまとめ

時差通勤への取り組みは、「会社全体として行う施策」「個人で自主的に行う行動」の二つに分類できます。今回は一例として、時差通勤をどのように取り入れれば良いかを、会社・個人両方の視点から解説していきます。

時差通勤で出勤ラッシュを避ける

時差通勤に関して最も基本となる施策は、文字通り出勤ラッシュを避けて通勤することです。

前述の通り、首都圏の出勤ピークとなる時間帯は朝7〜9時までの2時間。意図的にこの時間帯から前後にずらして出勤することで、混雑の少ない時間に電車に乗ることができます。

会社としてすぐにでも取り組める施策は、就業時間の一時的な変更処置です。

2020年の冬から世界的に猛威を振るっているコロナウィルスをはじめ、突発的な事故・災害はいつ起こるか予測ができないもの。

これら不測の事態が起こった場合、一定期間内だけ就業ルールを変更して対応します。

一度に全従業員の就業ルールを変えると営業活動に支障が出る可能性もあるため、一部の部署から試験的に時差通勤を実施していくなど、営業活動に合わせた工夫が必要になります。

ジョブくん
コロナウィルスの蔓延により、実際に多くの会社が時差通勤や営業時間の変更を行っています。

フレックスタイム制度を導入する

就業時間をある程度自由にコントロールできる「フレックスタイム制度」を導入するというのも、時差通勤においては有効な手段の一つ。

フレックスタイム制度とは、コアタイム(会社にいなければいけない時間)を決めて、それ以外の時間は決められた労働時間の中で好きにスケジュールを組める制度のこと。

例えばコアタイムが(11:00〜15:00)の会社であれば、始発出勤(6:00〜15:00)や、昼出勤(11:00〜20:00)などの勤務スケジュールも組みやすくなります。

フレックスタイム制度をあらかじめ導入していれば、緊急時にわざわざ時差通勤制度を作る必要はありません。時差通勤に関する呼びかけや注意喚起を行うだけで、個人間でも容易に通勤ラッシュを避けることができるのです。

フレックスタイムの記事

フレックスタイム制とは?制度の仕組みと抑えておきたいポイントを解説

テレワークで通勤自体をなくす

テレワーク制度(在宅勤務・リモート勤務)を導入すれば、通勤ラッシュの発生頻度を減らすことが可能になります。

一番の問題点である朝の通勤ラッシュ自体を減らせば自然と混雑緩和につながるため、社会・会社・個人の負担は大幅に減ります。

テレワークの問題点として、「対面でのコミュニケーションを犠牲にしてしまう」という側面もあるので、どれくらいの日数と自由度でテレワーク勤務を可能にするかどうかは、会社の判断次第。

通勤を省くことで個人やチームのパフォーマンスが上がるのであれば、試験的に導入する価値は大いにあるといえます。

ジョブくん
一見、時差通勤とは意味合いが異なる制度のように思えますが、時差通勤の推奨に積極的に取り組む東京都の定義によると、テレワーク制度も「時差ビズ」の取り組みの一つに入っています。
テレワークの記事

テレワークとは?政府の取り組みや企業の導入例などを紹介

時差通勤を導入するメリット

SWOT分析のまとめ

時差通勤には多彩な取り組み方がありますが、実際に導入するとどんなことが起こるのでしょうか。特に実感しやすいメリットを三つご紹介します。

疫病の感染リスクを低下

コロナウィルスやインフルエンザといった感染力の高いウィルスは、空気感染・飛沫感染によって爆発的に広がっていくことが確認されています。

多くの人が密着するピーク時の満員電車は、まさにウィルス感染の温床。マスクをしていても感染を防げるわけではないので、そもそも通勤をやめることがリスク回避に繋がります。

また、時差通勤に取り組んでもオフィスで活動する人が多ければあまり意味がないので、時差通勤ではなくリモート勤務に切り替えるのも一つの手です。

社内で爆発的なパンデミックが一度でも起こってしまえば、会社経営に致命的なダメージを与えかねません。

仕事のパフォーマンスが向上

「満員電車に乗っているときのストレスは、戦場にいる兵士とほぼ同じレベルである」という科学者の研究は、日本ではかなり有名な一説です。

もちろんやや大袈裟な表現ではありますが、見ず知らずの他人と至近距離で同じ空間に居続けることは、肉体的・精神的に多大なストレスを受けていることになります。

時差通勤に取り組むことで、通勤ラッシュ時の殺伐とした空間からは解放されます。

混雑や遅れも少なくなり、一日に受けるストレスの総量が少なくなるため、自然と仕事のパフォーマンスが向上していきます。

通勤時間を有効活用できる

パフォーマンスの向上と少し似ていますが、身動きの取れない満員電車から解放されることで、通勤時間を有効活用できるようになります。

今の時代スマートフォン一つあれば、仕事・勉強・娯楽とどんなことでも取り組めるので、結果的に一日で使える時間が増えていることになります。

資格の勉強やタスク整理の学習時間に使うも良し。趣味の調べ物をするも良し。日頃疲れている人は体力回復に努めるも良し…と、時間を自由に使えるようになるのがポイントです。

時差通勤は意味がないという声も

プロジェクト管理とは

一見メリットが多いように見える時差通勤ですが、一部の人からは不満の声が漏れています。

一番多い不満の声は「時差通勤をしてもさほど混雑が変わらない」というもの。

すでに説明した通り、時差通勤とは通勤ピークとなる7〜9時の時間帯を避けて通勤する取り組みのこと。会社の都合などで30分〜1時間程度しかずらせない場合、時差通勤の効果を実感することは難しいはずです。

都市部を通る電車の運行ダイヤは、通勤ラッシュに合わせて本数を増設している場合が多いため、むやみに時差通勤をすると少ない本数の車両に人が密集することになり、「時差通勤をしたら普段よりも電車が混んでいた」…という残念な結果になってしまった人もいるようです。

ジョブくん
通勤路線が羽田空港方面とかぶっている自分の場合は、始発で通勤しても満員電車でした。路線が常に混雑している場合は、いくら通勤をずらしたところでさほど意味がなさそうです。

時差通勤で新しい働き方を模索しよう

年末調整をする際に必要な書類

この記事では、近年注目されている「時差通勤」について詳しく解説しました。

時差通勤は働き方の自由度を上げる施策の一つです。制度を浸透させるには、会社が積極的に時差通勤制度を取り入れていくのはもちろん、個人が意識的に時差通勤に取り組む必要があります。

ジョブくん
多様化するリスクを分散し、仕事のパフォーマンスの向上にもつながる時差通勤を積極的に取り入れる努力をしましょう。