アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントの意味とは、そもそも怒りとは何かについて確認していきましょう。
アンガーマネジメントの意味
アンガーマネジメントとは怒りをコントロールすることです。人間である以上、怒りの感情が湧くのは自然です。怒ること自体が悪いのではなく、怒りに振り回され、周囲に迷惑をかけ、仕事の質が低下することが問題なのです。アンガーマネジメントは、怒りの感情が湧きつつも、怒りに振り回されずコントロールし、仕事や生活に活かすためのスキルをいいます。
仕事において手当たり次第に怒りを発散させてしまうと、人間関係が破綻し、仕事をうまく続けることができなくなります。一方でイライラした感情を我慢してためこんでしまうと、体調悪化に繋がったり、ふいに怒りが爆発したりすることも。アンガーマネジメントを活用し怒りと上手につきあっていくと良いでしょう。

人が「怒る」のはなぜ?
そもそも、人はなぜ怒るのでしょうか?怒りは二次感情だといわれています。すなわち、怒りの感情の元となる悲しみ・イライラ・寂しさなどの一次感情が起こって、二次感情の「怒り」へと繋がるという仕組みがあります。一次感情が起こったらすぐに怒るのではなく、心の中に一次感情をためておけます。しかし、一次感情をためるにも限度があり、限度を超えると怒りに繋がるのです。
「怒り」にも種類がある
怒りには以下の通り4つの種類があります。怒りの種類を知ることで、どのようにコントロールしたら良いかが見えてきます。
2.強度が高い怒り
3.頻度が高い怒り
4.攻撃性がある怒り
頻度が高い怒りは、ささいなことに感情を乱され頻度が高くなる怒りです。
強度が高い怒りは、とめどなく激情が噴出するような怒りです。自分でも怒りを抑えることができないため、怒りの表現が激しくなります。強度が高い怒りは、相手が反省していても怒り続けます。
持続性がある怒りは、過去に起こったことを引きずり、何度も想起する怒りです。過去から逃れることができず、怒りが続いてしまっています。
攻撃性がある怒りは、他人にモノを投げつけたり暴力を振るったりする怒りです。
アンガーマネジメントが必要な理由
怒りの感情自体は自然なものですから、怒りが悪いわけではありません。怒りが悪いと考えると、怒りを抑圧したり、怒る自分を責めたりしてしまいます。とはいえ、怒りに振り回されると仕事上で問題が起きてしまうのも確か。なぜアンガーマネジメントが必要なのか、理由を確認していきます。
良好な人間関係を構築するため
怒りを爆発させたり、ささいなことで怒ったりすると人間関係を構築するのが難しくなります。誰とも関わらずに仕事を自己完結することはできないので、アンガーマネジメントを活用して良好な人間関係を構築する必要があります。

問題を悪化せずに済むため
怒りに振り回されていると、冷静な判断ができなくなり問題への対処が遅くなります。アンガーマネジメントを活用して問題を悪化させずに済ませる必要が出てきます。
パワーハラスメント対策として
会社のパワーハラスメント(パワハラ)対策としても、アンガーマネジメントが求められてきます。パワハラは職場の人間関係に悪影響をもたらし、人材の離職やコンプライアンス違反、労働者からの損害賠償請求などと様々なリスクが起きてしまいます。管理者だけでなく部下からのパワハラも問題視されるので、全社員のパワハラ対策としてアンガーマネジメントが求められているのです。

アンガーマネジメントがもたらす効果
アンガーマネジメントが必要な理由が分かってきました。アンガーマネジメントを社員が身につけると、どんなメリットがあるでしょうか?3つの点でアンガーマネジメントの効果を確認していきます。
ストレスが減少する
アンガーマネジメントを社員が身につけるとストレスが減少します。怒ることによって自分自身にもストレスがかかりますが、怒る頻度が減ればストレスが減っていく効果を得られるのです。
組織の生産性が向上する
常に怒っている上司の下では、部下はビクビクしていわれたことしかやろうとしません。そうなった組織は効率化やイノベーティブな発想を考えることがなくなります。アンガーマネジメントを身につけた上司の下では、人間関係が良好になりチームワークが高まるので組織としての生産性が向上していくのです。
また、組織のメンバーも怒りをコントロールすることで仕事に集中し、少ない労働時間で高い付加価値を生み出そうと努力していけます。

多様な価値観を理解できる
職場には多様な価値観を持つ人材がいます。2019年4月1日より働き方改革関連法案が施行されました。働き方改革が目指すものは「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」です。
怒りをコントロールすれば多様な価値観を理解できるようになり、より良い人間関係を構築することができ他者への寛容性を醸成できます。会社は多様な価値観を持つ人材がお互いに能力を高め合い、違いを認め合える組織をつくることができます。
アンガーマネジメントの実践方法
アンガーマネジメントをどのようにして実践していくのか方法を紹介します。
怒りの衝動を6秒我慢する
怒りの衝動を制御するには、アドレナリンが体内を巡る時間を知ることが有益です。人間は怒るとアドレナリンが分泌され、攻撃的になっていきます。
しかしアドレナリンが体内を巡る時間は6秒間。つまり怒ったら6秒間を我慢して乗り切ることで、怒りをコントロールすることができるのです。具体的には、怒りの衝動を感じたら6カウントするという方法があります。
「~するべき」の境界線を広げる
6秒我慢して怒りの衝動を制御できるようになったら、「~するべき」の境界線を広げていきましょう。
あなたはどんな場面で怒るでしょうか?怒りの場面を思い起こしてみると、「部下なら報連相すべきだ」「問題が起こったら自分なり考えるべきだ」などと、「~するべき」という境界線を持っていることに気づくでしょう。自分の境界線が破れたとき、人間は怒りを覚えるのです。
ですから「~するべき」の境界線を広げることで、怒りをコントロールできるようになるのです。境界線を広げて相手を許容していけば怒りに支配されなくなります。ただし、やたらと境界線を広げていては仕事が進まないですし、ましてやマネジメントはできません。押さえておきたい「~するべき」の境界線は自分の中で確立しておきましょう。
割り切って考える
アンガーマネジメントの実践方法の最後は、割り切って考えることです。
怒りの一次感情である悲しみ・イライラ・寂しさは、人間が現象に直面したときに起こる感情です。現象には、自分に何とかできる現象もあればどうにもならない現象もあります。後者の「どうにもならない現象」に対して感情を害したとき、割り切って考えることで怒りをコントロールできます。
例えば、天候や電車遅延に対してイライラすることもありますが、自分にはどうにもならない現象だと割り切って考えるわけです。
アンガーマネジメントを理解するためのおすすめ本
最後に、アンガーマネジメントを理解するためのおすすめ本を2冊紹介します。
アンガーマネジメント入門
アンガーマネジメント入門は、日本アンガーマネジメント協会代表理事である安藤俊介氏の著作。安藤氏はアンガーマネジメントを米国で学び日本に導入した人物です。本書はアンガーマネジメントを分かりやすく伝え、実践すれば身につくというように書かれています。
アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術
アンガー・マネジメントは、アンガーマネジメント入門と同じ安藤俊介氏の著作です。分かりやすい内容で書かれていて、怒りをセルフマネジメントするための手法としてのアンガーマネジメントを理解できます。マネジメントや経営層にもおすすめの一冊。
アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術
まとめ
怒りは人間の自然な感情です。しかし、怒り過ぎたり怒りの頻度が高くなったりし過ぎると問題です。問題が悪化し、良好な人間関係を築けなくなります。アンガーマネジメントを使って怒りをコントロールして、仕事に活用していきましょう。



