残業時間の定義とは?計算方法や法律はどうなっているの?

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正しい残業代を計算するには、まず残業代の定義についてきちんと学んでおくことが大切です。休日労働や深夜労働など、残業の種類に合わせて適切に計算しなければなりません。今回は残業時間の定義や法律のことに加え、残業代の計算方法について詳しくご紹介します。
目次

残業時間の定義とは?

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残業時間とは、法定労働時間を超えて働いた時間のことを指します。そのため「時間外労働時間」とも呼ばれるのです。

法定労働時間は、国が定めた労働時間のことで、「1日8時間及び週40時間」となります。つまり、1日のうち8時間以上を超えて働いた分が残業時間となるのです。

なお、週に1回の休みがあり、週40時間を超えていなければ、6時間労働で週6日勤務でも問題ありません。

残業代の算出方法は?

残業代を計算する前に、まず割増賃金の単価を算出する必要があります。割増賃金の単価は、基本給及び諸手当を1ヵ月の所定労働時間で割り、割増率をかけて算出します。

「基本給及び諸手当」には、通勤手当や住宅手当、家族手当、ボーナス、慶弔金などは含まれません。

1ヵ月の所定労働時間は、(月全体の日数-会社規定に基づく休日の数)×1日あたりの労働時間で算出します。

そして、時間外労働の種類に基づく割増率は次のようになっています。

  • 時間外労働・・・25%割増
  • 時間外労働(月60時間以上を超えた分)・・・50%割増
  • 深夜労働(午後10時~午前5時までの労働)・・・25%割増
  • 休日労働(法定休日の労働)・・・35%割増
  • 時間外労働+深夜労働・・・50%割増
  • 時間外労働(月60時間以上を超えた分)+深夜労働 ・・・75%割増
  • 休日労働+深夜労働・・・60%割増

ジョブくん
上記のように、複数の種類の残業が重なった場合、割増率が大きくなります。

残業代の目安は?

どの程度の残業時間で、どれだけの残業代になるのか知っておくことが大切です。

残業時間は会社によって異なりますが、45時間程度のケースもあれば、80時間を超えるケースもあります。それぞれ、どの程度の残業代がかかるのかみていきましょう。

残業時間が45時間の場合の残業代の例

残業時間が45時間の場合で、1ヵ月の所定労働時間が168時間、基本給及び諸手当が20万円の場合、割増賃金の単価は次のとおりです。

20万円÷168時間×1.25(時間外労働の割増率)=1,488円

そして、残業時間が45時間の場合は、45時間×1,488円=66,960円が残業代となります。

残業時間が80時間の場合の残業代の例

残業時間が80時間の場合で、1ヵ月の所定労働時間が168時間、基本給及び諸手当が20万円の場合、割増賃金の単価は次のとおりです。

20万円÷168時間×1.25(時間外労働の割増率)=1,488円

ここまでは、残業時間が45時間の場合と同じ計算です。ここで注意したいのは、残業時間が60時間を超えた分は割増率は50%になるということです。割増賃金の単価は、次のようになります。

20万円÷168時間×1.5(月残業の割増率)=1,786円

上記を踏まえ、残業時間が80時間の場合は次のように算出します。

  • 60時間までの分の残業代・・・60時間×1,488円=89,280円
  • 残りの20時間分の残業代・・・20時間×1,786円=35,714円
  • 80時間の残業代・・・89,280円+35,714円=124,994円

休日労働の割増賃金

休日労働が20時間の場合で、1ヵ月の所定労働時間が168時間、基本給及び諸手当が20万円の場合、割増賃金の単価は次のとおりです。

20万円÷168時間×1.35=1,607円

上記を踏まえ、20時間の休日労働をした場合の割増賃金は、「1,607円×20時間=32,142円」となります。

深夜労働の割増賃金

深夜労働が7時間の場合で、1ヵ月の所定労働時間が168時間、基本給及び諸手当が20万円の場合、割増賃金の単価は次のとおりです。

20万円÷168時間×1.25=1,488円

これは、時間外労働の場合の計算と同じです。深夜労働であると同時に時間外労働でもある場合は、割増率が50%となります。その場合は、20万円÷168時間×1.5=1,786円が割増賃金の単価です。

上記を踏まえ、深夜労働が7時間の場合は次のように算出します。

  • 時間外労働ではない・・・1,488円×7時間=10,416円
  • 時間外労働・・・1,786円×7時間=12,502円

残業時間の上限は?法律で定められているのはどこまで?

どれだけ残業してもいいわけではなく、残業時間の上限が法律で定められています。

時間外労働を求めるには、事前に36協定を結ばなければなりません。詳しくみていきましょう。

36協定とは?

36協定とは、労働基準法第36条に基づき、雇用主と労働者の間で結ばれる協定のことです。

労働基準法では、労働時間と休日の数に関して、1日8時間、週40時間、週1回の休日を原則としています。しかし、36協定を結ぶことで、労働時間の延長及び休日労働を求めることが可能となります。

36協定における残業時間の上限は?

36協定において、残業時間の上限は次のように定められています。()内の時間は、対象期間3ヶ月以上で1年単位の変形労働時間制の該当者の場合です。

  • 1週間・・・15時間(14時間)
  • 2週間・・・27時間(25時間)
  • 4週間・・・43時間(40時間)
  • 1ヵ月・・・45時間(42時間)
  • 2ヶ月・・・81時間(75時間)
  • 3ヶ月・・・120時間(110時間)
  • 1年間・・・360時間(320時間)

36協定が適用する方法

36協定を適用するためには、労働基準監督署に届け出なければなりません。

また、常に10人以上の労働者がいる場合は、就業規則の作成及び届け出も必要です。

過半数の労働者で構成される労働組合の代表が36協定の同意書にサインしなければなりません。労働組合がない場合には、労働者の過半数のうち、代表の署名が必要です。つまり、会社の独断で残業させることはできないのです。

36協定の時間外上限が適用されないケースは?

36協定の時間外上限は、「工作物の建設などの事業」、「自動車運転の業務」、「新商品や新技術などを研究開発する業務」、「季節などの要因で業務量の変動が大きく、短期間にて集中的な作業が必要とされ、さらに厚生労働省労働基準局長が指定する業務」には適用されません。

ただし、働き方改革により、「工作物の建設などの事業」と「自動車運転の業務」は、平成36年4月1日から通常通り、時間外上限が適用されます。

そして、「季節などの要因で業務量の変動が大きく、短期間にて集中的な作業が必要とされ、さらに厚生労働省労働基準局長が指定する業務」は、平成36年3月31日までは1ヵ月45時間、1年間360時間のルールが適用となりますが、1ヵ月100時間未満かつ2~6ヶ月の平均残業時間が80時間未満のルールは適用されません。

平成36年4月1日からは、上限が適用されます。

労災保険法上の死亡と残業時間の関連性

労災保険法は、業務に関する事由において病気や死亡などが起きたときに保険給付することを定める法律です。

残業時間と労災保険法上での死亡は密接に関係していると考えられています。労働時間ごとに詳しくみていきましょう。

残業時間が45時間以上

残業時間45時間の月が6ヶ月以上続くと、過労死との関連性が強まっていくと考えられています。そのため、月残業が45時間を超える場合は、産業医が事業場にて健康管理に関するアドバイスを行うことが推奨されています。

残業時間が60時間以上

60時間を超えると、さらに過労死との関連性が高まります。また、睡眠時間が削られてしまうことで、業務中に不慮の事故にあう危険性も高まるでしょう。

残業時間が80時間以上

残業時間80時間以上では、「過労死ラインを超えた」と表現されることがあります。それほどまでに、過労死との関連性が高いと考えられます。ただし、過労死は単なる労働時間だけではなく、環境や人間関係、持病など様々な要因が重なるため、残業時間が80時間を超えたから過労死のリスクが非常に高くなるとは限りません。

まとめ

SWOT分析のまとめ

残業時間は、法定労働時間を超えた分の労働時間を指します。残業代は、割増賃金の単価に残業時間をかけて算出する必要があります。時間外労働に加え、休日労働や深夜労働をした場合には、割増率が変わるため注意しましょう。

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