CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは、顧客1人ひとりの情報を様々なデータから活用して販売促進を行うためのプラットフォームのことを言います。CDPは自社で用意するのは難しいので、業者のCDPを活用することになります。
顧客1人の情報を収集・統合・連携を目指す
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)はあらゆるデータを駆使して、顧客1人ひとりに対し販売促進に繋げていくプラットフォームです。自社が運営するホームページや通販サイトだけでなく、他社サイトの顧客の行動履歴、SNSやアプリのログ等、あらゆるデータを連携・統合することで顧客1人の販売促進に繋げるのです。
顧客の顔が見えるマーケティング
CDPは、顧客1人の情報を収集・統合・連携を目指すマーケティングに活用できます。「東京都に住む20代独身女性」というような匿名ではなく、Xさん・Yさんといった、顧客1人ひとりの個人名を特定して情報を収集・統合・連携し、販売促進に繋げるデータプラットフォームなのです。
CDPとDMPの違いとは?
CDPと類似したプラットフォームにDMPというものもあります。両者の違いを説明します。
キーになるデータの違いがある
DMPはデータマネジメントプラットフォームの略です。DMPはインターネット上の多くの情報データを管理しマーケティングに活用するためのプラットフォームを言います。DMPは、自社ホームページの問い合わせから得た情報、あるいは他社サイトにおける顧客の行動履歴から顧客の販売促進に繋げることが可能です。DMPにはパブリックDMPとプライベートDMPの2種類があります。パブリックDMPは自社以外の情報、プライベートDMPは自社・他社を問わず、幅広い情報を管理するプラットフォームです。
プライベートDMPとCDP は同じではないかと思ってしまうかもしれません。しかし、DMPとCDPにはキーになるデータの違いがあります。プライベートDMPはCookieというキーを扱うのに対して、CDPが扱うのは個人プロファイルというキーです。つまり、CDPは「顧客の顔が見えるマーケティング」という通り、SNSやアプリの情報といった顧客のあらゆる情報をマネジメントして販売促進に繋げることができるのです。DMPよりもCDPの方がより顧客のニーズを丁寧に把握することができ、ニーズに沿った打ち手を講じることができるでしょう。
DMPでは差別化しづらい
CDPは顧客の個人特性を深く知ることができます。従って、Xさん・Yさんといった個人名を特定し、それを元にマーケティングに活用していけます。しかしDMPは「東京都に住む20代独身女性」「沖縄県に住む50代既婚女性」というように、顧客のセグメントの設定はおおまかなものです。
幅広い世代にアプローチするマーケティングをしたければDMPのやり方で良いのですが、個人を特定し、その人のために適切なマーケティングを行う場合にはDMPでは物足りません。CDPのように特定された個人に対して深く掘り下げたアプローチが適します。CDPなら顧客1人ひとりに適したアプローチができますから、アプローチも差別化することができます。それにより、顧客は「自分1人に届いたマーケティングをしてもらえた」と感じ、他社との差別化を感じるでしょう。
CDPを導入するメリットとは?
CDPを導入すると得られるメリットを紹介します。
顧客1人1人のニーズを的確に掴める
CDPを導入すると顧客1人ひとりのニーズを的確に掴むことができます。CDP を使い、Xさんという顧客の情報を自社の通販サイト、他社ホームページ、SNSやアプリ等から収集します。CDPなら情報を個別に収集することなく一元管理できますので、顧客1人ひとりが何を求めているかスピーディに把握することができます。そうなれば、個々の顧客のニーズに沿ったマーケティング施策を打てるので顧客の消費を促しやすくなります。
具体例を用いて説明すると、子どもの学習塾を探している消費者Yさんがいました。Yさんは40代のシングルマザーで、小学校6年生の男児がいます。フルタイムの正社員であるためなかなか時間が取れませんが、子どもが中学校に上がったら学習塾に通わせたいと思っていました。DMPなら、Yさんのような消費者をざっくりと「40代で学習塾を探している女性」というセグメントでしか捉えられないのですが、CDPを使えば個人情報をしっかりと捉えることが可能。消費者のニーズとタイミングに合わせて情報を提供することができるので、販売促進に繋げやすくなる訳です。
施策が失敗するリスクが低い
顧客1人ひとりのニーズを的確に掴めるというメリットから、CDPが講じる打ち手は失敗するリスクが低くなります。顧客の属性や求めているニーズを把握し、その上で顧客にぴったり合った施策を提示できます。学習塾の事例で考えます。親が子どもに、小学校までは独学で学んでいた勉強を中学入学と共に学習塾を併用して学力を向上させるにはどうしたら良いかと悩んでいる場合に、CDPなら的確な広告を提示できる訳です。ニーズがぴったり合っているので、顧客の決断を後押しすることもできるでしょう。
新たなマーケティング施策を講じることができる
CDPを使えば顧客ニーズの分析をすることもできます。分析した結果、20~30代女性の嗜好を丁寧に把握することができれば、新たなマーケティング施策を講じることができます。これまで中高年の女性にしか売れないと思っていた製品・サービスが20~30代女性のニーズが強いことが判明すれば、それらのターゲット層に向けてマーケティング施策を講じることもできます。これまで考えもしなかったターゲットを顧客にすることもできますし、ニッチな分野に攻めていくことも考えられます。
時間とお金のコストを減らせる
CDPによって顧客1人ひとりのニーズを的確に掴めれば、リサーチやニーズが合わないことによるリサーチに時間をかける必要がなくなります。顧客が求める情報を適切なタイミングで送れるのですから、時間とお金のコストを減らすことができます。
CDPの注意点とは?
CDPを導入することのメリットはあるものの、注意点もあります。
個人情報漏えいのリスク
CDPは顧客1人ひとりの情報を扱います。自社サイト、他社サイト、アプリやSNSのログから得られた顧客の情報を管理します。個人情報漏えいのリスクがあるのです。CDPのセキュリティを過信せず、個人情報漏えいにならないよう配慮しなくてはなりません。CDPを取り扱う従業員全てに個人情報保護の観点で教育を行う必要があります。
自社に合ったCDPを選定することの難しさ
CDPは自社で構築することは現実的ではありませんので、専門業者を利用します。CDPは多機能で、企業の業界やマーケティングによって使い方は様々です。自社に合ったCDPを選定することの難しさがあります。機能性を重視し過ぎて使いにくければ意味がありませんから、入念な導入前シミュレーションが不可欠と言えます。
まとめ
CDPを使えば、顧客1人ひとりの情報を管理してニーズに合致したマーケティングを行うことができます。DMPとの違いも説明しましたが、プライベートDMPとCDPは似ています。ただしプライベートDMPが「20代独身女性」のようにおおまかな顧客セグメントであるのに対し、CDPは個人特性をしっかり捉えられます。そのため、顧客ニーズに合わせた的確なマーケティングを行うことができます。CDPをうまく活用することで、新しいマーケティング施策にも繋げられます。