リーダーシップとは何か?定義や必要な能力について詳しく解説

リーダーシップと聞くと、リーダーのカリスマ性によって強く組織を引っ張っていく「統率力」のことをイメージされがちですが、そればかりではありません。穏やかで、率先してフォロワーを束ねるような力強さがなくても、リーダーシップを兼ね備えた人材も多くいるものです。今回はリーダーシップの定義やマネジメントとの違い、必要な能力など、リーダーシップについて詳しく解説していきます。
目次

リーダーシップとは何か

リーダーシップとは何か

リーダーシップとは、明確なビジョンや目標に向かってチームのパフォーマンスを最大化させることを指します。

リーダーシップは広辞苑でどのように定義されているか

広辞苑では、リーダーシップとは「指導者としての資質・能力・力量・統率力」と定義されており、その他の国語辞典でもこれと同様の定義づけがされています。

リーダーシップ性が重要視される理由

「リーダーシップは後天的に習得できるものだ」という認識が広まった現代では、多くの企業でリーダーだけでなく、スタッフすべてにリーダーシップを身につけさせる取り組みが盛んに行われています。

リーダーシップを養うことで、下記のような効果を得ることができます。

  • より自主的で責任感が強くなる
  • リーダー目線で見るため、全体最適思考ができる
  • 自分に求められている役割を再認識し、適切な仕事ができる
  • 組織やチームがより活性化し、高い成果を上げることができる

また、グローバル化によって競争が激化している社会において、多様なバックグラウンドを持つスタッフをまとめて最高のパフォーマンスで目標達成に導くには、高いリーダーシップが必要です。

ジョブくん
変化が激しい現代社会にこそ必要なのが、チーム引っ張る強いリーダーなのです。

ドラッカーによるリーダーシップの定義

ドラッカーによるリーダーシップの定義

リーダーシップの定義・本質について知るには、ドラッガーなしには語れません。

ピーター・ドラッガーは、現代経営学・マネジメントの発明者としても有名な、オーストリアの経営学者です。

リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である

ドラッガーは著書の中で以下のように語っています。

「リーダーシップは資質ではなく仕事である」

つまり、リーダーシップは人を惹きつけたり、強い影響力を持ったりするようなカリスマ性や資質・才能ではなく、後から誰でも学習や経験によって身につけることができるスキルであると語っているのです。

リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である

「リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、
地位や特権ではなく責任と見ることである。優れたリーダーは、常に厳しい。
ことがうまくいかないとき、そして何事もだいたいにおいてうまくいかないものだが、
その失敗を人のせいにしない。」

とも述べています。

アメリカではあまり人気のないハリー・トルーマン大統領の言葉「最終責任は私にある」こそがリーダーの本質を示しているとして引用もしています。

トルーマン大統領はトップダウン型リーダーではなく、適切な人材に議論を交わさせて決定した事項を自分の責任とする姿勢でリーダーシップを発揮していました。

リーダーシップは「信頼」である

「リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである」

という発言も有名。フォロワーが強制的ではなく主体的・能動的につき従いたいと思えるほどの信頼感があることが重要です。

看護業界におけるリーダーシップとは

看護業界においてもリーダーシップの定義や本質は他のビジネス業界とほとんど変わらないと言えます。

十分な知識・経験・スキル・判断力・決断力・コミュニケーションスキルを持ち、チームのまとめ役として導かなければいけません。また、緊急の場合やトラブル時などは率先して看護業務を行う姿勢も大切です。

リーダーシップとPM理論

リーダーシップとPM理論

優れたリーダーの行動に注目し、リーダーでない者の行動との違いを研究することでリーダーシップの行動をパターン化しようとしたのがリーダーシップ行動理論です。

代表的なPM理論は日本の社会心理学者三隅二不二(みすみ じゅうじ)が1966年に提唱したもので、リーダーシップは「目標達成行動P(Performance) 」「集団維持行動M(Maintenance) 」のふたつの能力要素によって構成されるとしています。

目標達成行動について

目標達成行動「P」は目標を達成するための行動を指していて、具体的には目標設定・計画立案・メンバーへの的確な指示・業績の良くないスタッフへの叱咤激励・規則の順守・問題指摘・業務改善などがあります。

集団維持行動について

そして、集団維持行動「M」は人間関係を良好に保ち集団のまとまりを維持する行動を指しています。具体的にはスタッフの意見を尊重する・飲み会などで労をねぎらう・スタッフの相談に乗る・褒める・信頼する・公平に扱うなどです。

  • PM理論ではこのふたつの能力の大小によって4つの型(PM型、Pm型、pM型、pm型)に分類しています。
  • PM型‐目標達成能力も集団維持能力も高く理想のリーダー像
  • Pm型‐目標達成能力は高いが人望はなく、一匹狼タイプのリーダー像
  • pM型‐集団をまとめる能力はあり慕われているが、成果が上がりにくい友人タイプのリーダー像
  • pm型‐目標達成能力も集団維持能力も低いリーダーには向いていないタイプ

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップとよく混同されるものにマネジメントがありますが、両者は全く違います。

リーダーシップの具体例

リーダーシップは未来にビジョンを描き、目標設定をしていくことから未来的、中長期的な視点が特徴です。常に次に何をするかを考え、メンバーを鼓舞し、スタッフの模範となる振る舞いが求められます。また、先見性や信頼に値するだけの人間的魅力も必要となるでしょう。

マネジメントの具体例

マネジメントは目標や目的の達成に必要な手段の模索や管理が主な仕事になることから、現実的、短期的な視点が特徴です。目標達成のための戦術策定、人・もの・お金のやり繰りやメンバーの管理調整、リスクの予想・回避などを行います。高度な管理調整能力が必要となるでしょう。

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リーダーシップの種類

リーダーシップの種類

リーダーシップの種類にはカリスマ型や変革型、「あなたならどうしますか?」といった問いかけからメンバーの主体性を引き出すことによって導いていくファシリテーション型、感情やモチベーションに働きかけ忠誠心を煽っていくEQ型など様々なものがありますが、近年よく注目されているのは次の2種類のリーダーシップです。

サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップは、リーダーが召し使い(サーバント)のようにスタッフに奉仕し、スタッフそれぞれの能力を最大限に伸ばすための環境づくりに徹することで、チームの最大パフォーマンスを成し遂げる支援型リーダーシップのことです。

スタッフのモチベーションが向上し、より現場の声を尊重することにもなるので、結果的に消費者の満足向上にもつながるといいます。採用している企業には、資生堂・ダイソー・無印良品などがあります。

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シェアードリーダーシップ

シェアードリーダーシップはメンバー全員がリーダーシップを共有して、掲げられたビジョンに向かって独自の影響力を発揮しあい、目標達成を目指していくスタイルです。

仕事が多様化・細分化・専門化して、リーダーが細かな事柄に対応しきれない企業で注目されており、創造性や素早さが求められる職場でも有効と言われています。

リーダーシップに必要な能力やスキルの例

リーダーシップに必要な能力やスキルの例

最後にリーダーシップに必要不可欠な能力やスキルについて触れておきます。もちろん、学習や経験、意識によって身につけられるものです。

決断力

リーダーの決断一つでチームの方向性や企業の成長スピードを左右してしまうので、決断力は非常に大切です。決断事項が複数ある場合は一貫性が必要で、スタッフが悩むような場面においては明確な根拠を持った意思決定も必要です。

先見性

リーダーシップには先見性も必要です。これもやはり持って生まれたものではなく、「これ以上心配しようがない」と思えるまで考え抜き、先手先手を打つ結果だとブリヂストン元CEO荒川氏は語っています。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは対人関係能力とも言われる能力で、コミュニケーション力・ヒアリング力・交渉力・プレゼンテーション力・他人の意欲を引き出す能力・協調性・指導力・マネージメント力などを言います。優れたリーダーにはヒューマンスキルも必須です。

まとめ

リーダーシップのまとめ

リーダーシップとは明確なビジョンや目標を定め、パフォーマンスを最大化させることで目標を達成する能力のことを言い、誰でも後天的に身につけることのできるものです。

スタッフ全員がリーダーシップを身につければチーム全体が活性化し、より高い成果を出せるようになるでしょう。

ジョブくん
リーダーシップについてはかなりの種類があるので、派生形も含めどんどん解説記事を作っていきます。
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