育児休業給付金とは?支給期間・支給条件・計算方法を解説

育児休業給付金の記事

育児休業中、労働者は無収入となります。無収入の労働者の家計を補填し、職場復帰を促進するために育児休業給付金という制度があります。育児休業給付金は、養育する子どもが1歳になるまで、賃金の5~6割をもらえる制度です。育児休業給付金の概要、支給期間、支給条件や計算方法について解説します。

目次

育児休業給付金とは?

育児休業中は働いていませんから賃金が支払われません。育児休業給付金とは、育児休業中において、一定以上の賃金が支払われない労働者に対して給付金が支払われる制度のことです。賃金の5~6割が育児休業給付金から支給されます。

育児休業給付金の目的

労働基準法第24条にはノーワークノーペイの原則があります。労働者が働いていない場合において、企業は賃金の支払いを免除されています。しかし、育児休業中の労働者が無収入になると家計に支障をきたす可能性があります。

そこで育児休業給付金をもうけ、育休中の収入の補填や職場復帰を促進するのです。また、育休中でも給付金があれば労働者は育児に専念することができるでしょう。

育児休業給付金の支給期間

育児休業給付金はいつからいつまで支給されるのか、支給期間を確認します。

支給期間はいつからいつまで?

育児休業給付金が支給されるのは、育児休業を開始した日から起算して、子どもの1歳の誕生日を迎える日の前日までです。

女性が育児休業を開始できるのは出産日から58日目ですから、「出産後58日目以降~子どもの1歳の誕生日の前日まで」が最も長く支給される期間となります。

育児休業が出産後58日から開始できる理由は、労働基準法第65条で産後8週間を経過しない女性を就業させることができないと定められているからです。

条件により支給期間を延長できる

育児休業給付金は、子どもの1歳の誕生日を迎える日の前日まで支給されます。

ただし、待機児童などの特定の条件がある場合、支給期間を1歳6か月または2歳まで延長することができます。

育児休業給付金の支給期間を延長することができる条件は、次のいずれかに該当する場合です。

1歳となった子どもの認可保育施設の受け入れ先が見つからない
1歳となった子どもがいる時、以下の状況になった場合
  • 配偶者が死亡・負傷、疾病、身体・精神上の障害によって子どもの養育が困難になった
  • 離婚により配偶者が子どもと別居した
  • 妊娠により6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、あるいは産後8週間を経過していない
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上記のいずれかに該当した場合は、育児給付金の支給期間を延長することが可能です。

育児休業給付金の支給時期

育児休業給付金が支給されるのは、育児休業給付金の支給が決定してから2か月程度で支給されます。すぐに給付金をもらえる訳ではないので、支給時期を計算に入れておく必要があります。

育児休業給付金の支給条件

育児休業給付金は、育児休業をしているだけでは受給されません。育児休業給付金が支給されるにはどんな条件があるかを説明します。

受給するための条件

育児休業給付金が支給されるには、雇用保険被保険者であることが必要です。雇用保険の被保険者は誰でもなれるのではなく、例えば、自営業者や労働時間が週20時間未満のパート社員も雇用保険被保険者になることはできません。

また、雇用保険被保険者期間にも条件があり、育児休業を開始した日から遡って、2年間の就業日が11日以上である月が12か月以上あることが求められます。 以上2つの条件を満たした場合、育児休業給付金が支給されます。

受給期間中の条件

育児休業給付金を受給している間にも条件があります。以下の2つの条件をご覧下さい。

  • 育児休業開始前に支払われた賃金の8割以上を受け取っていないこと
  • 育児休業中に働いた場合、労働日数が月10日以下であること

育児休業給付金を支給されるには、働いてはいけない訳ではありません。ただし、働いた場合には、賃金や労働日数に制限がかかるということになります。制限を超えて賃金を得たり働いたりすると、育児休業給付金を受給できなくなります。

育児休業給付金を受給し続けるために受給期間中の条件も押さえておきましょう。

育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金は、会社の人事担当者が労働者の代わりに申請します。

ハローワークに必要書類を提出して申請する流れです。

申請方法

育児休業給付金は、法律では休業開始予定日の1か月前までに育児休業を申し出ることになっていますから、産休前か、遅くとも産休中には育児休業する旨を会社に伝えて下さい。

育児休業給付金を申請するには、「育児休業給付金支給申請書」と「育児休業給付受給資格確認票」を人事担当者から受け取り、記入・提出を行います。

用意する書類

育児休業給付金に必要な書類をまとめると次の通りです。初回のみ、育児休業給付金支給申請書が必要になります。

  1. (初回)育児休業給付金支給申請書、育児休業給付受給資格確認票
  2. 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  3. 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など、支給申請書の内容を確認できる書類
  4. 母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金は、育児休業開始から180日まで、そして181日以降とでは計算方法が異なります。具体的な計算例の他、支給額の上限と下限についても解説します。

計算方法

育児休業給付金の計算方法について、育児休業開始から180日まで、および181日以降での計算方法は以下の通りです。

  • 【180日まで】休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)×67%
  • 【181日以降】休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)×50%

休業開始時賃金日額の「賃金日額」とは、原則、休業開始前の6か月の賃金を180で割って算出した金額となります。育児休業開始から180日までは賃金日額の67%が支給されますが、181日以降は賃金日額の50%に減額されます。

支給額の上限・下限

育児休業給付金の支給額には上限と下限があります。まず、育児休業開始から180日までの上限は304,314円、181日以降の上限は227,100 円となります。そして育児休業開始から180日までの下限は 50,250円、181日以降の下限は37,500 円です。

具体的な計算例

育児休業した場合、育児休業給付金がどのくらいもらえるのか計算例を元に考えてみましょう。賃金日額5千円と1万円の場合で考えます。まずは賃金日額5千円から。

  • 【育児休業開始から180日まで】5,000×30×67%=100,500円
  • 【育児休業開始から180日まで】5,000×30×50%=75,000円

次に賃金日額1万円の計算例です。

  • 【育児休業開始から180日まで】10,000×30×67%=201,000円
  • 【育児休業開始から180日まで】10,000×30×50%=150,000円

育児休業給付金が支給されない場合とは?

育児休業給付金が支給されない場合にはどんなケースがあるでしょうか?支給対象とならない3ケースを紹介します。

育児休業を取得しなかった

育児休業給付金は、育児休業を取得したことをもって受給できます。ですから、そもそも育児休業を取得せず職場復帰した場合は育児休業給付金を受給することはできません。

月額賃金が8割以上支払われている

育児休業中にも働くことは可能ですが、月額賃金が8割以上支払われている場合は育児休業給付金が支給されません。

労働者でない者には支給されない

育児休業給付金は、経営者や自営業者など、労働者でない者には支給されません。経営者や自営業者は雇用保険被保険者ではないため育児休業給付金を受給できないのです。 その他、契約社員やパート社員などの有期契約労働者の場合、以下の基準を満たさなければ育児休業給付金は支給されません。

  • 勤続1年以上であること
  • 養育している子どもが1歳6か月になる日までに、労働契約終了にならないこと

まとめ

育児休業中は無収入となりますが、収入を補填し、職場復帰を促進するために育児休業給付金という制度があります。育児休業を開始してから養育する子どもが1歳を迎えるまで育児休業給付金が支給されます。

子どもが保育園に入れないなどの事情があれば、子どもの年齢が最大2歳になるまで給付金の支給が延長されます。育児休業給付金は会社が手続きするので、育休したい場合は早めに人事担当者に連絡しておきましょう。

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