インクルージョンとは?日本で重要視される理由とそのメリットを解説

インクルージョンはダイバーシティとセットで語られることが多いビジネス用語です。日本で重要視される理由、メリットについて丁寧に解説していきます。

目次

インクルージョンとは?

インクルージョンとは?
インクルージョンは、英語でinclusionで表記されます。日本語では包含とか包容という意味になります。ビジネスではダイバーシティとセットで語られ、ダイバーシティ&インクルージョンというように使われることが多いですね。社会福祉分野、ビジネスなどで使われるインクルージョンについてそれぞれ見ていきたいと思います。

社会福祉分野で使われるインクルージョンの意味

インクルージョンは包含・包容という意味で使われます。社会福祉分野では、ソーシャルインクルージョンと呼ばれ、障害者・貧困者・ホームレスなどを社会から排除するのではなく、共生できる社会を目指すための用語として使われているんですね。

ビジネスで使われるインクルージョンの意味

ビジネスで使われるインクルージョンもソーシャルインクルージョンから発生した用語だと言われています。ビジネスでは、全ての労働者が仕事に参画できるようにするという意味で使われています。また、後に触れるダイバーシティ(多様性)とインクルージョンがセットで語られるように、性別・年齢・国籍・民族・宗教・障害の有無などの違いを受け入れて、全ての労働者が働ける機会を設けることでもあります。

ダイバーシティはインクルージョンの前提

ダイバーシティは多様性と訳されます。多様性とはすなわち、性別・年齢・国籍・民族・宗教・障害の有無など、様々な違いを持っている人材が活躍する機会を設けることです。そして、その機会を設けた上で会社の成長やイノベーションがあるという考えに行きつきます。

インクルージョンとダイバーシティとの関係でいえば、そもそも多様性を持った人材に活躍してもらうには、彼ら彼女らを受け入れなければなりません。つまりインクルージョンが前提となっている訳ですね。インクルージョンなしでダイバーシティは考えられません。両者は不可分の関係だということを理解する必要があります。

インクルージョンが重要視される理由

インクルージョンが重要視される理由
次に、インクルージョンが日本で重要視される4つの理由について紹介していきます。

人材不足

日本でインクルージョンが重要視される理由として、「人材不足」が挙げられます。日本では少子高齢化に伴い労働力人口が減少しています。以下、厚労省のデータに基づき労働力人口の推移を見てみましょう。

・1990年と2030年の予測【総数】
1990年における労働力人口は6,384万人でしたが、2030年には6,180万人まで減少すると予測されています。あと10年ほどで、1990年に比べて200万人ほど労働力人口が減少するんですね。

・1990年と2030年の予測【15~59歳以下】
では、15~59歳以下の年齢層に絞ってみるとどうでしょうか?なんと1990年に比べて796万人も減少するんですね!働き盛りと言われる年齢層で労働力人口が減少するとなると、人材不足が本格化するのは目に見えています。

合計特殊出生率も1.4程度で止まっていますので、これから日本の労働力人口が増加する見込みはなく、減少する予測が立ちます。だからこそ多様なバックグラウンドを持つ人材を労働力として受け入れ、活躍してもらう必要があるんです。そのために、日本ではインクルージョンが重要視される理由の筆頭にくるといえます。

早期離職率

日本でインクルージョンが重要視される理由として、早期離職率も挙げられます。日本では新卒一括採用が主流ですが、新卒者の早期離職率は変わらず高いままなんですね。

先日、元号が変わりましたけれど、平成元年に大卒の新卒者の離職率は27%でしたが、25年後の平成25年(2013年)でも31.9%でした。高卒者も平成元年の離職率は47.2%でしたが、25年後の平成25年(2013年)では40.9%でした。多少の増減はあるものの、一貫して高い状態で推移していることが分かると思います。

新卒者はいきなり即戦力にならないので、教育投資が必要です。でも、せっかく投資したのに退職されてはムダになってしまいます。そこで新卒採用は続けつつも、会社は多様な人材を労働市場から採用し活躍してもらうことも考えている訳ですね。そういう意味で、早期離職率の高止まりがもとで、インクルージョンが重要視されることになります。

女性の社会進出

インクルージョンには労働者の個々の違いに関わらず多様な人材を受け入れ活躍してもらう考えがあります。その中でも性別の違いは大きいです。日本では総合職というキャリアが一般的で、長時間残業や国内外を問わず転勤を強いることで成り立ってきました。しかし、女性は出産・育児といったライフイベントがある女性にとって、長時間残業や転勤などを即座に受け入れることは難しいものがあります。

しかしこれを放置しておくと一向に女性の活躍は進みません。そこで、会社は、女性に活躍してもらえるよう働き方を変えたり、昇進・昇格や人事評価を変えたりする必要に迫られます。生産性向上を考えても、長時間残業や転勤を是とする日本企業の考えを改めインクルージョンを推進する必要があります。

障害者雇用の促進

インクルージョンには障害の有無で区別せず、就業の機会を広げる考えがあります。「障害者だから」と決めつけずに雇用し、就業の機会を広げて活躍の場を与えることも急務となっているんですね。

インクルージョン導入のメリット

インクルージョン導入のメリット
インクルージョン導入の4つのメリットを解説していきます。

個人の能力を最大限に発揮できる

個人の能力は、性別・年齢・国籍・障害の有無などで計られるものではありません。会社がインクルージョンの考えを持って人材を活用していけば、既存の思考では生まれなかったアイディア、サービス、製品、あるいはイノベーションなどが生まれることもあり得ます。世界的にはグローバル化が進み、日本も観光産業を重視していますから、日本と世界との垣根も小さくなってきています。

そんな状態にある時に、これまでの既存の思考だけでは会社が生き残っていけません。多様な人材から多様な意見やアイディアをもらうことによって、会社が生き残る術を見出すこともできます。

優秀な人材を確保できる

インクルージョンなら、健常者の男性中心のキャリアでは考えられなかった人材を採用し、しかも活躍してもらうことができます。性別・年齢・国籍・民族・障害の有無などに固執せず、個人の経歴や能力に基づいて採用するように、採用方針を変えれば予想外に優秀な人材を確保することができます。そのためには、長時間残業や転勤が社内でのキャリア形成の絶対条件にしないように、変えていく必要があります。

あらゆる視点から考察ができ革新性が向上する

インクルージョンなら、多様な人材を確保していきますから、あらゆる視点から考察ができますし、革新性も向上します。例えば飲食店の企画職に外国人女性を採用したとしましょう。彼女は留学していたので日本の長所が分かっていました。

飲食店は外国人観光客向けのサービスをしたいので、料理やドリンクに力を入れる方針を立てていたとします。しかし彼女は留学の経験から外国人は何よりも自国にはない「日本のおもてなし」に感銘を受けているのでそれをもっと活用すべきだと言いました。日本にいるとおもてなしの文化は当たり前過ぎますが、外国人からしたら画期的な魅力かもしれませんね。このことがきっかけで外国人観光客に大人気の飲食店に変貌を遂げたとしたら、革新的ですよね。

また、日本は会社がこうだと言うと従順になりがちな傾向にあるので、会社に依存せずさっぱりと物事を考えられる外国人の思考も組織運営には効果的な場合もあります。そうなると、インクルージョンを活用してあらゆる視点から考察ができると共に、革新性が向上することにもなり得る訳ですね。

多様な顧客ニーズに対応できる

インクルージョンなら多様な顧客ニーズにも対応することができます。顧客ニーズは、SNSやインスタグラム、Twitterなど顧客と会社がやり取りできるネットサービスの登場で、多様化していきます。そんな多様化した顧客ニーズには、既存の思考だけでは太刀打ちできません。様々なバックグラウンドを持つ人材が関わり、ニーズを拾っていくことが必要になります。こうした場面でもインクルージョンは重要視されます。

インクルージョンの活用事例

インクルージョンの活用事例
最後に、日本企業におけるインクルージョンの活用事例を見ていきましょう。

ANAホールディングス株式会社

ANAホールディングスでは、2015年にダイバーシティ&インクルージョン宣言を発表したことからも明らかなように、インクルージョンに積極的な会社です。ANAホールディングスの取り組みは以下の4つに表れています。

・グローバル化(人事制度のグローバル化、国内・海外人材の交流)
・シニアの活躍(ベテラン・シニア研修の充実化、シニアの戦力化)
・女性の活躍(女性管理職ネットワークの充実)
・障害者雇用(障害の有無に関わらず活躍できる職場づくり)

野村證券株式会社

野村証券では、多様な人材を財産と考えてインクルージョンに取り組んでいます。例えば、社員に対して多様性を理解するための研修を行っています。また、野村証券は女性活躍リーディングカンパニー認証を受けています。

三井住友銀行

三井住友銀行では、多様な人材に活躍してもらうためにインクルージョンに取り組んでいます。

2008年にSMBCグリーンサービスを設立し、障害者雇用を推進。ちなみに2018年3月の障害者雇用率は2.38%で法定雇用率の2%を上回る実績を挙げているんですね。また、グローバル人材では、三井住友銀行にはグローバル人事室があり、海外で採用された人材を国内の事業所にて研修する仕組みも実行しています。

まとめ

インクルージョンのまとめ
日本でインクルージョンが重要視される理由やメリットについて、ご理解頂けたと思います。多様な人材を雇用し活躍して頂くことは、経済や文化、インターネットの発達等によって不可欠なものとなっています。

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