ケイパビリティとは?企業の事例やコアコンピタンスとの違いなどを紹介

ケイパビリティの記事 経営戦略

ビジネスにおける「ケイパビリティ」とはどういった意味があるのでしょうか?

人事担当者が知っておくべき自社のケイパビリティの意味を確認しておきましょう。

今回は、ケイパビリティの定義と重要性、ケイパビリティを見いだすVRIO分析の進め方と企業の事例を解説していきます。

ケイパビリティとは

ケイパビリティとは
「ケイパビリティ」とは、企業成長の原動力となる組織的な強み、人の結束といった内的環境から利益
を生み出す考え方です。

ケイパビリティは「能力」を表す言葉ですが、ビジネス用語においては、企業が得意とする組織的な能力を指します。

組織の強みであるケイパビリティは、高品質な製品・サービス、迅速なスピードなどが挙げられます。

企業の内部環境を向上させるためには、他社よりも優位な能力であるケイパビリティを伸ばすことが重要です。

ケイパビリティの意味

「ケイパビリティ(capability)」とは「能力」「才能」「特性」「素質」「手腕」「可能性」といった意味があります。

ビジネス用語として使われる「ケイパビリティ」は
事業を成し遂げる「組織としての能力」やその組織が持つ独特の強みを指します。   

近年は、競争戦略による差別化が困難な時代にあるため、ケイパビリティを高めることで、持続的な競争優位に立つことができるのです。

例えば、スピーディな業務遂行能力、効率性の高い商品生産能力、高品質の保持能力などが挙げられます。

人材や組織の結束・連携など内的環境を重視して、組織全体で優位性を創出することが重要です。

ここからは、アップル社とデル社におけるケイパビリティの例を見ていきましょう。

アップルの例

アップル社のケイパビリティは洗練されたデザインを重要とした戦略を打ち出すために、デザイン性を優位にする組織を構築してきました。

アップル製品のiPhoneやiPadなど、デザイン性に魅了されて選んでいる方も多いでしょう。

洗練されたデザイン、オシャレな見た目こそがアップル社のケイパビリティであり、優位性を保っているのです。

新しい生活スタイルの創造、徹底的な革新、人とテクノロジーの関係性の深い理解が大きな勝因と言えます。

デルの例

デル社は、アップル社とはいずれも異なったケイパビリティで成功を収めています。

デルのケイパビリティは、商品の低価格化、質の高いカスタマーサービス、スピーディーな納品により成功へ導きました。

アップル社と同じマーケット市場でありながら、強みとなるケイパビリティが全く違います。

自社が持っている強みを考えて、他の企業に負けないものを徹底することで成功できるのです。

ケイパビリティが重要な理由

 

現代は、事業の外的環境が著しく変化しており、競争戦略だけで他社に打ち勝つのは困難な時代になってきています。

今後は、価格競争はさらに激化して、技術面の革新も差がなくなると考えられます。

このような事業環境において、競争に勝ち抜く大きな原動力となるのがケイパビリティを元にした組織づくり戦略です。

具体的には、人材の効果的な配置、部署の連携、リードタイムの短縮、確実な品質保証といった総合的な組織づくりを強化することです。

人事担当者は、自社のケイパビリティを把握して従来の慣習や考え方にとらわれず、時代のニーズに合わせた組織づくりを実施しましょう。

外的環境がどう変化しても、ビジネスで優位性のある組織的な能力があれば、持続的事業が可能になります。

VRIO分析とケイパビリティ

VRIO分析とケイパビリティ
「VRIO」とは、「ケイパビリティ」の特徴を明らかにするためのフレームワークです。

VRIOは「ケイパビリティ」の4つの要素から成り立っており、以下の4つの頭文字を取ったものです。

▼VRIOの4つの要素

価値(Value)

希少度(Rarity)

模倣可能度(Imitability)

組織編成(Organization)

VRIO分析とは

VRIO分析とは、経営資源を活用することで競争優位性を生み出し、ビジネス戦略を有利に展開させるためにフレームワーク化したものです。

VRIO分析は、一覧表やフローチャート、分析ツールを用いて4つの評価項目を正しい順序で評価します。

VRIO分析をすることで、組織のブランド力も高まり、市場シェアの拡大や顧客満足度の向上にも繋がります。 

VRIO分析する際の4つの観点

経営資源(リソース)を価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣可能性(Imitability)、組織(Organization)の4つの観点から評価します。

VRIO分析する際の流れ

▼VRIO分析をする流れは

⑴見極めに使用するツールの決定

⑵経営資源の評価
価値(Value)の評価
希少性(Rarity)の評価
模倣可能性(Imitability)の評価
組織(Organization)の評価

⑶強みの質と競争優位性の見極め

⑷戦略や施策の検討

ケイパビリティとコアコンピタンス

ケイパビリティとコアコンピタンス
ここからは混合しがちな「ケイパビリティ」と「コアコンピタンス」の違いを見ていきましょう。

コアコンピタンスとは?

︎「competence(コンピタンス)」は、「能力」「適正」などの意味があります。

ビジネス用語における「コアコンピタンス」とは、組織が持つ能力の中でも競争優位性が高く、中核的な能力のことを指します。

ケイパビリティとコアコンピタンスの違い

ケイパビリティは企業の「組織力」、コアコンピタンスは「技術力」を指しています。

▼ケイパビリティ

組織としての総合的な能力

製品開発→製造→品質管理→流通といった組織の連携プレーの能力

▼コアコンピタンス

組織がある事業を成し遂げるために必要な能力の核となる部分

新製品の開発における新技術

コアコンピタンスを見極めるための5つのポイント

 

コアコンピタンスの見極めは以下の視点から評価しましょう。

①模倣可能性(Imitability)

技術や特性が競合他社に簡単に真似できるか

模倣可能性が低いほど競争優位性があります

②移動可能性(Transferability)

多くの製品や分野に応用できる 

移動可能性が高いほど継続して優れた商品やサービスを提供できる

③代替可能性(Substitutability)

簡単に他の方法で置き換えできない

代替可能性が高いほど高いシェア率を獲得できる

④希少性(Scarcity)

希少価値が存在するか

技術や特性が優位になる

⑤耐久性(Durability)

長期的に競争優位性を維持する事が出来るか

耐久度が高いほど価値が補償される

ダイナミックケイパビリティとは

ダイナミックケイパビリティとは
「ダイナミック・ケイパビリティ」とは、自社の競争優位性を環境変化に合わせて変革する能力のことをいいます。

目まぐるしく変わる環境に対し、企業内外のコンピタンスを統合して再構成する企業の能力です。

コダックの例と失敗した理由

コダック社は、デジタルカメラに利用されているコア技術を世界で初めて発明した会社ですが、市場の変化に対応できずに倒産することに…。

その原因は、株主価値や利益を優先させるため既存のルーティンやケイパビリティに固執したからだと言われています。

コダック社は、豊富な資金で大量の自社株を購入、株価対策を講じるといった硬直的な戦略を一貫しました。

時代の変化の中で、既存の高度の技術や知識資産を再構成、持続的競争優位を確立する戦略思考がなく失敗した事例です。

富士フィルムの例と成功した理由

  
コダック社と同じ写真フィルム業界の富士フィルムは、本業を捨てて生き延びたダイナミック・ケイパビリティ戦略の成功例です。

富士フィルムは生き残りをかけて、既存の高度な技術や知識資産を徹底的に再利用、新しい知識や技術を開発しました。

ダイナミック・ケイパビリティを積極的に利用するために、株主価値や利益重視ではなく、保有していた資金投入に力を入れたのです。

例えば、高度の写真フィルム技術を利用して、液晶を保護する特殊な保護フィルム技術を開発し、今では独占的なシェアを誇っています。

その他、写真フィルムのコラーゲン技術を活かした化粧品・医薬品の開発にも進出して成功しています。

富士フィルムは環境の変化に合わせて既存の技術や知識を再構築して持続性競争優位を形成したダイナミック・ケイパビリティの成功例です。

まとめ

ケイパビリティのまとめ
事業の外的環境が激動する中で、他社との差別化を図り持続的に競争に勝つためには、ケイパビリティを高めることが大切です。

マーケティング担当者は、ビジネス戦略を打ち出す際に、自社のケイパビリティを把握することから始めましょう。