7sとは?フレームワークの使い方や活用するメリット・デメリットなど

7sの記事
7Sとは、7つの経営資源を通じて企業の現状を分析し、問題点をあぶりだして理想とのギャップを埋め、組織のあるべき姿へと動かしていく組織マネジメントの手法です。7Sはフレームワークであり、ソフトの4S・ハードの3Sの2種類に分かれます。7Sをどのように使っていけば良いか、メリットは何か、具体的な事例を元に考えていきたいと思います。
目次

7sについて

7sについて
7Sは、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱するフレームワークです。7Sとはどんなフレームワークか、詳しく見ていきましょう。

7s分析とは

7Sは、7つの経営資源を通じて企業の現状を分析し、組織のあるべき姿へと繋げる組織マネジメントツールです。7Sは企業戦略上の7つの経営資源の相互関係を表し、Shared value(共通の価値観)、Style(経営スタイル)、Staff(人材)、Skill(能力)、Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム)の頭文字を取って7Sとしています。優れた企業では7つの経営資源のそれぞれがお互いに高め合っているとされます。7Sはソフトの4Sと、ハードの3Sに分かれています。7つの経営資源のバランスが取れた経営を目指すことが7S分析の要点です。

7s(フレームワーク)の使い方や活用するメリット

7Sを使って企業の現状を分析すれば、問題点や改善点が明らかになるメリットがあります。7S(フレームワーク)にはソフトの4Sとハードの3Sがあります。ソフトの4Sとは、「共通の価値観」「経営スタイル」「人材」「能力」のことで目に見えない経営資源です。また、ハードの3Sとは、「戦略」「組織構造」「システム」をいい可視化された経営資源です。7Sで分析した後、問題点を克服するためどちらから着手しなければならないことはありませんが、ソフトの4Sの方が改善するのに時間がかかります。そして、ハードの3Sのベースになるのがソフトの4Sです。従って、改善するのに時間がかかるとしてもソフトの4Sから着手する方がベターです。

7sを活用するデメリットや注意点

7Sで問題点が洗い出された後は、問題を克服するために活動します。その際、改善しやすいからといってハードの3Sばかりに重点を置かないように注意しましょう。ソフトの4Sには「共通の価値観」や「人材」などがあり、問題点が明らかになっても改善するのに苦心します。例えば「共通の価値観」を作るには、経営層、管理職、さらには一般社員を巻き込む全社的な取り組みが必要です。人材が働くモチベーションを高め、さらにエンゲージメントを向上させて会社の発展に貢献してもらうためには、「共通の価値観」の構築には時間がかかります。しかしこれの改革をおざなりにしてしまってはハードの3Sもうまく改革しきれません。従って、ハードの3Sが改善しやすいからといってソフトの4Sの改善にも注力するようにしましょう。

ソフトの4S

ソフトの4S
ソフトの4Sの詳細を解説します。

Shared value

Shared valueとは共通の価値観のことです。企業における共通の価値観とは、経営理念、会社方針などです。共通の価値観そのものを分析します。また、経営層が考える共通の価値観と、従業員の考える共通の価値観との間でギャップがあるかないかを分析したり、従業員に共通の価値観に対する理解が及んでいるかを分析したりします。

Style

Styleとは経営スタイルのことです。企業の組織風土、文化、行動規範などの経営スタイルをいいます。自律的な組織なのか、ボトムアップ型の組織なのか、あるいはトップダウン型の組織か。経営スタイルを分析することで、企業の持っている独自の色合いが見えてきます。

Staff

Staffは人材のことです。人事制度、採用、人材開発など人材マネジメントに関わるもの全てを分析します。

Skill

Skillは能力を指します。能力といっても個々の能力全てを分析するのではなく、企業が有する競争優位的な能力を分析します。それにより、企業にとって不足する能力は何かについても分かります。

ハードの3S

ハードの3S
ハードの3Sの詳細を解説します。

Strategy

Strategyは戦略のことです。戦略は他社に優る競争優位的な事業の方向性であり、戦略を分析することで企業の強みが明らかになります。競争優位となるために戦略が不十分であり変更する可能性もあるので、単に戦略を分析するだけでなく、企業にとってふさわしい戦略とは何かという視点で分析していきます。

Structure

Structureは組織構造のことです。企業の組織がどうなっているか、どんな事業所があって部門があるのかについて分析します。構造ですので、指揮命令系統についても組織構造において分析していきます。

System

Systemは、システムをいいます。会社の制度、規程、ルールなど組織を運営するための重要なシステムを分析します。

7sでメルカリの特徴を整理してみる

7sでメルカリの特徴を整理してみる
7Sのメリット・デメリット、使い方が分かったところで、具体的な企業をケーススタディとして7Sを用いて整理してみましょう。今回はフリマアプリで全国的に知られるメルカリ社を整理したいと思います。

1. Shared value

メルカリのミッションは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というものです。フリマアプリはCtoCビジネスともいわれ、消費者同士がメルカリの仲介のもとに売買を行うためのプラットフォームです。フリマアプリを利用した手軽な出品方法が奏功して、高額な品物から「こんなモノが売れるの?」というものまであらゆる品物がメルカリの市場に出品されています。まさに、メルカリでは、新たな価値を生み出すマーケットプレイスが構築されています。7Sでは、メルカリで働く従業員が企業理念をしっかりと理解しているか、経営者との認識のギャップがないかを分析していきます。

2. Style

メルカリのバリューには、「Go Bold:大胆にやろう。」「All for One:全ては成功のために。」「Be Professional:プロフェッショナルであれ。」の3つがあります。
これら3つのバリューがメルカリの組織風土を形作っています。また、メルカリの従業員に「悪いこと」をする人はいないとのスタンスから、組織を設計しています。これは悪いことをする人がいないから従業員に何でも任せて放っておくのではなく、メルカリの従業員には物事の善悪を判断できる力があるとの考えから導かれる考えです。それにより、メルカリの従業員には権限移譲が行われており、裁量を持って仕事をすることができます。

3. Staff

メルカリはミッションを実現するために、人材に投資を行っています。採用、人材開発など人材マネジメントの根幹がミッション実現に繋がるものです。

4. Skill

メルカリではミッション、バリューに共感する人材がベンチャー企業で力を発揮できる能力を重要視しています。メルカリのフリマアプリは日本でのダウンロード数は7,000万、米国でも4,000万近いダウンロード数を叩き出しています。海外展開にも積極的な企業です。メルカリは日本での成功に安住することなくチャレンジしていきます。メルカリで従業員が力を発揮するためには、既存の手法を打破する力・クリエイティブな能力などが必要です。

5. Strategy

メルカリの戦略は米国で成功しグローバルブランドとしての強化を図ることです。メルカリのミッションは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」であり、“世界的な”という点が重要なんですね。メルカリが米国にこだわりを持つ理由は、メルカリの事業には「決済」「物流」の2つの要素が必要で、かつ、人口が多い国で成功したいためです。米国で成功した暁には、他国にもその成功のノウハウを活かしたいというねらいがあります。メルカリが日本での成功に安住せず、しかも米国にねらいを定めたグローバル戦略には説得力があります。

6. Structure

メルカリでは部門や上司・部下関係が存在しながらも、組織メンバーには権限が移譲されています。メルカリでは多様性を重視していますから、自分の価値観と異なる考えを持つ人を受け入れます。上司は多様な部下の思考を受け入れて、組織運営を行っています。

7. System

メルカリのシステム(人事制度)は、従業員のダウンサイドのリスクを支える制度です。従業員が病気や怪我、出産・育児などで働けなくなった時のことをダウンサイドと呼び、その際にメルカリが従業員の面倒を見るシステムになっています。

分析結果を整理

7Sによるメルカリの分析結果を見ると、「ミッションとバリューに基づいて人材が自律的に行動し、人材の多様な価値観を重視する組織風土を持つ、世界的な市場の構築を目指すベンチャー企業」と表現できるでしょう。今回はあくまでも7Sを使った事例ですので、実際に7S分析を行うためには資料を詳細に確認したり、役員や従業員にインタビューしたりといった調査・コンサルティングが必要となります。

7s以外のビジネスのフレームワーク

7s以外のビジネスのフレームワーク
7S以外のビジネスのフレームワークを紹介します。

SWOT分析

SWOT分析は、マーケティングの戦略を立てるための環境分析のためのフレームワークです。強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)のそれぞれを組み合わせて分析し、マーケティング戦略に繋げます。

3C分析

3C分析は、マーケティング戦略を立てるための3つのCを使ったフレームワークです。 Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの「C」について分析します。

4P分析

4P分析は、マーケティング戦略を立てるための4つのPを使ったフレームワークです。4つのPとは、製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、プロモーション(Promotion)です。

PPM

PPMとは、事業管理のためのフレームワークです。ボストンコンサルティングが開発しました。自社の事業や製品を、スター・金のなる木・問題児・負け犬などに分け、今後その事業・製品をどうすべきかを分析するものです。ちなみにPPMは、Product Portfolio Managementの頭文字を取ったものです。

PEST分析

PEST分析は、マクロ環境のマーケティング戦略を立てるためのフレームワークです。ちなみにPEST分析は、P:Politics(政治面)、E:Economy(経済面)、S:Society(社会面)、T:Technology(技術面)の頭文字を取っています。

まとめ

7sのまとめ
企業にとって重要な7つの経営資源。それらを分析していくことで企業の現状、そしてあるべき姿とのギャップが見えてきます。

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