「ミッションステートメント」には企業や個人の使命を声明として発信する意味があります。この記事では、ミッションステートメントを設定する意味、例文、作り方についてご紹介します。
ミッション・ステートメントとは?
ミッションステートメントとは、従業員が共有する価値観・社会的使命であるミッションを行動指針として具体化することです。
現在は、従業員が共有するだけでなく、顧客や社外へ積極的に発信していく戦略的なツールとなっています。
ミッション・ステートメントとビジョンステートメントの違い
「ミッションステートメント」からは、企業の重要な戦略や経営方針、事業の方向性を知ることができます。
自社が掲げるミッションステートメントは企業の存在意義、存在価値を文書化したものです。
顧客、製品・サービスといった経済活動に関連する要素を知ることができ、どんな状況にあっても重要な決断を決定できます。
一方で、「ビジョン・ステートメント」とは、ミッションよりもさらに先にある未来の目標や将来の方向性を文章化したものです。
ミッション・ステートメントが重要な理由
ミッションステートメントを定めると、社員全員は共通の目的を共有することができ、モチベーションを維持することができます。
早期退職を防いで優秀な人材を確保することにも繋がります。
最近では、企業がどのような想いや信念を持って活動しているのか宣伝ツールとしても活用されています。
ミッション・ステートメントを作成するメリット
上場企業にとって、事業を行っていく上では、株主に対して、納得の行く事業計画や目標を提示する必要があります。
ミッション・ステートメントは株主に対して、年度の経済活動結果や事業計画、目標を知らせるツールにもなります。
ミッション・ステートメントの例文・サンプル
ここからは、企業のミッション・ステートメントを参考に見ていきましょう。
企業のミッション・ステートメントを紹介
①ファーストリテイリンググループ
『本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します。
独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します。』
ファストファッションブランド「ユニクロ」はまさち機能性と着心地の良さなど万人に好かれるブランドとして成長しています。
②Microsoft
『Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする。)』
Windowsを中心に世界中で利用されているソフトウェアの開発・販売を手がけています。
③カカクコム
『ユーザー本位の価値あるサービスを創出しつづける(生活者視点の新しい価値を提供して、日々の生活を豊かに)』
価格を比べるサイト「価格.com」やレストラン検索・予約サイト「食べログ」といった生活者目線のサービス提供がミッションです。
④オリエンタルランド
『自由でみずみずしい発想を原動力に、すばらしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します。』
「東京ディズニーリゾート」はまさに非日常な体験ができる空間です。
ミッション・ステートメントは個人にも適用できる
個人のミッション・ステートメントの例文
・助け合いの精神を忘れない
・言葉だけでなく、態度で示すことを心がける
・すべての人に平等に接して、敬意を払うこと
・個人の意思は常に尊重する
・到達できる目標を定める
・小さなことでも当たり前だと思わず感謝する
・困っている人や辛い思いをしている人を助ける時間を作る
・家族の問題は全員で話し合い、全員が納得するまで向き合う
ミッション・ステートメントと7つの習慣について
スティーブン・R・コヴィー博士による有名な書籍
「7つの習慣 人格主義の回復」には以下のように書かれています。
『ミッション・ステートメントとは、信条あるいは理念を表明したものである。』
『個人のミッション・ステートメントには、どのような人間になりたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献、功績)、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書く。』
『終わりを思い描くことから始める習慣を身につけるには、個人のミッション・ステートメントを書くのがもっとも効果的だ。』
ミッションステートメントを作成する際に必要な9つの要素
ミッションステートメントに必要な9つの要素を詳しく見ていきましょう。
1.顧客
自社が対象とする顧客、ターゲットを明確にして、どのような価値を与えることができるのか。
2.市場(マーケット)
自社の事業領域はどこにあるのか、他の市場との違いを明確にすること。
3.製品・サービス
自社の商品・サービスの特徴と強みを明確にすること。
4.技術(テクノロジー)
自社の技術・テクノロジーを利用して、事業を展開する理由。
5.企業理念
企業理念、自社が重視する価値観や信念を理解して
顧客に与える価値を考える。
6.企業の強み(競争優位性)
自社の強み、同業他社に比べて優れているところを挙げてみる。
7.成長性や財務の健全性
自社の今後の成長性、財務面での健全性を考える。
8.社会的責任・自然環境への配慮(パブリックメッセージ)
企業の社会的責任や環境への配慮、パブリックメッセージはどうか。
9.社員に対する姿勢
従業員の扱い、待遇面、キャリアに関する考え方はどうか。
ミッションステートメントの作り方
ミッションステートメントの作り方は、企業の過去・現在・未来についてイメージしながら、最後に統合して作り上げていきます。
9つの要素について意見を出し合い整理する
企業の歴史、現在の状況、未来の予想図を多くの人が様々な項目を出し合っていきます。
整理した意見を文章化する
多くの項目が出揃ったら、役割ごとにミッションを文章化していきます。
企業の理想の未来を想像しながら、文章をWhat + Why + Howのフレームワークで考えます。
ミッション・ステートメントの書き方や書く際のポイント
「What」は目的、何をやりたいか、「Why」は価値観、なぜやりたいか、「How」は手法、どうやってやりたいのかを表します。
このフレームワークを使うと、正しい方向性を厳密に見極めることができ、ブレないミッションステートメントが出来上がります。
まとめ
ミッション・ステートメントは企業が設定するだけでなく、個人が設定するメリットもあります。
人事担当者は、従業員のモチベーションを高めて、企業の存在価値を理解してもらうためにも、心に響くミッション・ステートメントはを検討しましょう。