経営戦略とは?定義・経営戦略に使えるフレームワーク・初心者向けの本を紹介!

経営戦略の記事
企業を取り巻く経営環境が不確実性を増す中、経営戦略の重要性が高まってきています。企業が生き残り、持続的成長を遂げるために経営戦略をどのように打ち立てたら良いのか。経営戦略の立案方法やフレームワーク、経営戦略の種類や初心者でも分かる本について紹介していきます。
目次

経営戦略とは?

経営戦略とは?
経営戦略とは、不確実性に満ちた経営環境にあって企業がいかにして生き残っていけるのか、そして持続的に成長し続けることができるのかについての戦略を言います。経営戦略が求められる背景や、経営戦略と似た用語である経営戦術についても解説します。

経営戦略が求められる背景

経営戦略が求められる背景として、新興国の経済成長により日本企業の強みである低価格で高品質な製品を他国も模倣できるようになったことが挙げられます。そうなると従来うまくいった方法では他国に太刀打ちできなくなります。どのようにすればグローバル化の中で日本企業が存在感を示していけるのか、経営戦略が求められてくる訳です。

経営戦略が求められる背景として、情報技術やAIを始めとするテクノロジーの発展によりマーケティング手法を変革する必要性が挙げられます。大手企業が従来のマーケティング手法により市場を獲得していける時代ではなくなり、テクノロジーを駆使して市場に打って出なければいけなくなりました。既存に留まらず新規の市場に挑戦する必要もあります。そのためにこそ企業は経営戦略を着実に打ち出さなくてはなりません。

経営戦略と経営戦術との違い

経営戦略と似た用語として経営戦術があります。経営戦略と経営戦術の違いにはどんなものがあるか解説します。経営戦術とは、経営戦略の実践方法のことを指します。従って、初めに経営戦略があり、その元に経営戦術を遂行する訳です。

経営戦略に正解はない

経営戦略が求められる背景として、「従来の方法ではグローバル化に抗えないこと」「従来のマーケティング手法を変革すること」の2点にフォーカスして紹介しました。ということは、これまで「正しい」とされてきた経営戦略を軌道修正する必要があるということ。経営戦略には唯一の正解はなく不確実性に満ちた経営環境の中にあっていかに正解を「作っていけるか」が鍵となります。

経営戦略の立案方法

経営戦略の立案方法
経営戦略には正解はありませんが、立案方法については一定のパターンがあります。経営戦略をどう立案していったら良いのか、立案方法を4つのステップで確認していきましょう。

内部環境への理解

経営戦略を立案する上で最初に行うべきことは、企業の内部環境への理解です。経営資源であるヒト・モノ・カネ、企業の強み・弱み・脅威・機会(SWOT分析については後述)、人事制度や組織のルール、組織風土等について把握していくこと。内部環境への理解は経営戦略立案にあたってのスタート地点ということができるでしょう。

外部環境への理解

内部環境への理解が済んだら、外部環境への理解を進めていきます。外部環境とは、政治、経済、他社の状況、テクノロジーの状況等について把握することが外部環境への理解です。企業の内部環境と企業を取り巻く外部環境を把握することは、企業が生き残り持続的成長を遂げるための基盤となり得ます。

分析

内部環境と外部環境を把握した後、それらの情報を元に、企業が生き残っていくため、そして持続的成長を遂げるための術を考察しますが、それが分析です。他社にはない自社の魅力はどこにあるか、優位となる点はどこか、あるいは自社の弱点や脅威に感じるべき点はどこか等について綿密に分析を重ねます。

このような分析を着実に重ねてこそ、経営戦略がロジカルに立案されます。思いつきや感覚による経営戦略ではなく、分析という下地ができてこそ経営戦略は地に足のついた指針となって企業を優位なポジションへと導くことでしょう。

経営戦略の立案

経営戦略の立案は分析結果に基づいたロジカルなものである必要があります。そして、それは確実に遂行されることを見越したシステムである必要があります。いかに精緻な戦略ができても現実化不可能であったら無意味です。そうならないために戦略遂行後の具体的なイメージをつけておきます。また、システムを実行する人材の確保も同時に行います。

経営戦略の種類

経営戦略の種類
経営戦略の代表的な種類を3つ説明します。

全社戦略

全社戦略とは、経営層が決定する企業の方向性・指針としての戦略です。企業としての方向性・指針がビジョンを掲げられることで、従業員はビジョン実現のために行動していくことになります。

事業戦略

事業戦略とは、全社戦略が立案された後、全社戦略の下に事業としてどのような方向性・指針を決め、進んでいくかということの戦略です。

多角化戦略

多角化戦略とは、企業が既存事業とは別の事業を立ち上げて推進する戦略のこと。破壊的イノベーションによって既存企業が他社に市場を奪われてしまわないためにも、イノベーティブな新事業に挑戦する必要があります。オライリー、タッシュマンらの「両利きの経営」(既存事業で成功しつつ、新規事業でも成功する組織能力=ケイパビリティ)もその1つの手法と言えるでしょう。

経営戦略立案に役立つフレームワーク4選

経営戦略立案に役立つフレームワーク4選
経営戦略立案に役立つフレームワークを4つ紹介します。

1.SWOT分析

SWOT分析は、企業の内部環境である強み・弱み、そして外部環境である機会・脅威に分けて分析する手法。SWOT分析を通じて経営戦略を立案します。

2.3C分析

3C分析は、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)を通じてマーケティング環境を分析する手法です。従って3C分析単体では経営戦略を立案できる訳ではないのですが、先に説明したSWOT分析と併せて活用することで経営戦略立案に役立てることができるでしょう。

3.PEST分析

PEST分析は、政治(Politics)・経済(Economics)・社会(Society)・技術(Technology)を通じてマーケティング環境を分析する手法。マーケティング環境分析ということで、3C分析と同様にSWOT分析と活用することで経営戦略に役立てます。

4.PLC

PLCは、プロダクトライフサイクルの略称でマーケティングに活用されます。「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの時期に分けて製品・市場の成長パターンを分析する手法です。現状のマーケティング手法や今後、取るべき経営戦略を考察する際に有用です。

経営戦略について知りたい初心者向けの本の紹介

経営戦略について知りたい初心者向けの本の紹介
経営戦略とはどんなものか、経営戦略の意味や経営戦略立案のステップ等を通じて理解できたことと思います。最後に、経営戦略についてもう少し深く知りたい初心者向けの本を3冊紹介します。

1.グロービスMBA経営戦略

グロービスMBA経営戦略は、経営大学院を経営するグロービスによる経営戦略のテキストです。分かりやすい語り口で書かれており、また、ケーススタディも豊富なので初心者が読むにはおすすめの本となっています。

2.経営戦略全史

経営戦略全史は、経営戦略100年史を一気に1冊で読むことができる本。エピソード満載の内容で読みやすく、記憶に残りやすい書籍となっています。

3.ストーリーとしての競争戦略

ストーリーとしての競争戦略は、一橋大学教授の楠木健によるビジネス書。持続的成長を遂げる企業の戦略には、戦略が流れ・動きを持ったストーリーによって組み立てられていることを明かしています。分厚い本ですが初心者向けにエッセンスを分かりやすく記述されているため20万部のヒットとなっています。

まとめ

経営戦略のまとめ
経営戦略は、既存の手法では立ち行かない企業にとって必要不可欠の企業指針です。経営者の思い付きのビジョンではなく、フレームワークに基づいた分析結果により経営戦略がまとめられていきます。経営戦略にも複数の種類があり、本記事では3つを紹介しましたが、自社に合った経営戦略を選び明日も残る持続的成長を遂げる企業を目指して下さい。

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