M&Aの成否を握るPMIとは?推進する方法や成功させるためのポイントを紹介

PMIの記事
企業がM&Aを成功に導くためにはPMIの観点が欠かせません。異なる組織文化を持つ企業同士が1つになるためには様々な障壁があります。それを乗り越えて真の意味で統合の効果を発揮するためにPMIが必要となるのです。本記事では、PMIが注目される背景、PMIを推進する方法やメリット、PMIを元にM&Aの統合効果を発揮させるためのポイントについて分かりやすく解説していきます。
目次

PMIとは

PMIとは
PMIの意味、PMIを利用してM&Aを真の意味で成功に導くための方法等とは何かについて説明します。

PMIの意味について

PMIはPost Merger Integrationの略。ポスト・マージャー・インテグレーションと読めますが、日本でもPMIと略して呼ばれています。PMIの意味は、M&A(合併・買収)後に、統合効果を発揮するための統合プロセスを言います。

M&Aを成功させるために必要

異なる企業同士は、M&Aを通じて1つの会社もしくは同じグループになったからといって、元々の企業文化が違いますから直ぐに統合の効果が出る訳ではありません。M&Aをしたからといって手をこまねいているのではなく、M&Aによるシナジー効果を得るためにPMIのような統合プロセスを駆使することが必要なのです。

PMIが注目されている背景

昨今、注目されているPMI。その背景にはどんなものがあるのか説明します。

M&Aが日本で注目されている

PMIが注目されている背景として、M&Aが日本で注目されているということがあります。グローバル化の波は日本にも押し寄せ、漫然と経営を行っているだけでは、どんな大きな企業も生き残ってはいけなくなりました。そこでM&Aを行い、企業同士が合併したり、企業が企業を買収したりすることで市場で取り残されないようにしているのです。

M&Aのリスクや難しさ

M&Aにより、企業の図体が大きくなってもそれだけでM&Aが成功する訳ではありません。情報の非対称性によるリスクや人材流出のリスクが想定されます。情報の非対称性のリスクとは、M&Aを実施後に初めて分かるリスクということです。例えば、買収される企業が情報を隠していて、「経営陣が不正を働いていた」「会社の風土が悪かった」という事実がM&A実施後に初めて分かる場合があります。

また、人材流出のリスクとはM&Aに反対した優秀な人材が他社に転職してしまうリスクを言います。M&Aにより企業の組織体質が変わるでしょうが、それに嫌気を差した人材が流出するリスクがあるのです。リスクに対抗するためにもPMIは重要なのです。

M&Aにより想定した程の成果が得られない

M&Aをすれば統合の効果により、M&A前に比べて大きなパフォーマンスが得られるに違いないと思っている経営者はいるでしょう。しかし、PMIによる統合プロセスを踏んでおかないと想定した程の成果が得られないことになりかねません。

PMIのメリットとは

PMIのメリットとは
PMIにはいくつかのメリットがあります。ここでは4つのメリットに絞って解説していきます。

経営理念・企業文化の浸透

異なる企業文化を持つ企業同士がM&Aによって1つとなれば、企業文化が溶け合いシナジー効果を得られると推測されるでしょう。しかし、異なる企業文化だからこそ反発し合い、まとまらないものです。PMIによる統合プロセスを踏むことで経営理念・企業文化の浸透の効果を得ることができます。PMIの意識統合という施策が経営理念・企業文化の浸透に役立ちます。

M&Aリスクの軽減

M&Aリスクは情報の非対称性リスクと人材流出リスクの2つがあります。いずれのリスクも現実化してしまえばM&Aの意義を問うほどのネガティブなインパクトとなります。そうならないようにリスクを軽減するのがPMIのメリットです。PMIには経営統合という施策があり、例えば企業の不正がM&Aが終わった後に明るみにならないような仕組みとなっています。

顧客離れの防止

M&Aを実行すれば、大小の差はあれ、何らかの変化を伴うことでしょう。その変化によって顧客が離れてしまう可能性もあります。それを防ぐためにPMIを通じてM&A実行によって生じる顧客側のメリットを訴求することができれば、顧客は離れることなく自社の顧客であり続けてくれることでしょう。

離職率への歯止め

M&Aリスクには人材流出リスクがあり、従業員がM&Aに反発して離職してしまうことがあります。しかし、PMIによって経営理念や人事制度を再構築すれば離職せず会社に留まってくれ離職率に歯止めをかけることができます。

PMIを進めるための3つの方法

PMIを進めるための3つの方法
PMIを進めるためには経営統合・業務統合・意識統合の3つの方法があります。どんな方法なのかを詳しく確認していきます。

経営統合

PMIの経営統合とは、経営戦略や人事制度といった企業の仕組み、そして経営理念についての施策のこと。異なる企業同士が合併することで経営戦略を見直したり、新たに構築したりする必要が出てくると思います。PMIの経営統合では、M&Aによるシナジー効果を出すために経営理念・ビジネスモデル・マーケティング戦略等、経営戦略の見直し・策定等を行います。

また、人事制度を企業同士で合わせたり、M&Aを機に刷新したりすることもPMIの経営戦略の施策の1つと言えます。人事制度をM&Aを機にドラスティックに変える場合は、段階的に変えて従業員に唐突感を与えない方法もあります。これは人材流出リスクを想定した方法と言えます。

最後の経営理念は、異なる企業同士が1つの企業としてのステップを踏むことができるような理念とすることが肝要です。人事制度の刷新と合わせて統一感のある経営理念にしていくこともPMIの施策です。

業務統合

PMIの業務統合とは、業務プロセスが効率的に推進されるための施策です。組織の編成やITシステムの刷新等によって、M&A実行後に業務プロセスが滞りなく進むよう、また、生産性が向上する業務遂行ができるよう業務の一本化を図る施策となります。

意識統合

PMIの意識統合とは、M&Aを通じた従業員の意識やマインドの統合を目指した施策です。経営統合や業務統合と違って意識統合は、従業員意識という定量化できず、可視化できないものを統合することですから困難を極めます。そのため、M&Aをうまく進めるためには、意識統合にはじっくりと時間をかけ、M&A担当者が従業員に対して配慮を施す必要があります。

M&Aを成功させるためのポイント

M&Aを成功させるためのポイント
M&Aを成功させるためには、PMI施策が重要であることが分かりました。この施策を使って、M&Aのシナジー効果を発揮させるための3つのポイントを紹介します。

強いトップマネジメント

M&A実施後にトップに就任する人材には強いトップマネジメントが期待されます。M&Aによっていかなるリスクが想定されようとも、トップはリーダーシップを発揮して従業員を導き、会社を経営していかなくてはなりません。

前述したPMI施策を進めるのは現場の管理職やメンバーですが、責任を持つのは他ならぬトップです。いかに精緻なPMI施策を構築したとしても、トップがコミットし、トップが思いを馳せ、訴えていかなくては施策も絵に描いた餅になってしまいます。M&Aによるシナジー効果を求めていくためには強いトップマネジメントが必要不可欠です。

M&A推進組織の確立と運用

M&Aを成功させるためには、M&A推進組織(プロジェクト)を立ち上げ、PMI施策をしっかりと運用できるようにしなくてはなりません。そのためには推進組織メンバーの選定が重要です。M&Aの実行部隊にふさわしい精鋭の優秀人材を選定し、統合後の目標を達成するためにチームワークを駆使する必要があります。

M&Aを推進するための計画づくり

M&Aを推進するためにはスタートから着地点までスムーズに進むよう、計画づくりを念入りに行う必要があります。個々の納期に遅れてしまったら挽回できるような推進力が重要です。

まとめ

PMIのまとめ
M&A(合併・買収)は異なる企業同士が1つになることですが、目的はM&Aによるシナジー効果です。せっかく統合したのに経営者も従業員もバラバラではシナジー効果どころではありません。M&Aを成功に導くにはPMIが重要であり、3つの施策を紹介しました。トップマネジメントの発揮やプロジェクトの確立、計画づくり等がPMIを通じたM&A成功のカギです。

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