コンプライアンスってどういう意味?
コンプライアンスは、直訳すると「命令や要求に従うこと」です。日本語におけるコンプライアンスは、「会社経営や労働に関する法律やルールを守り、社会人として適切に行動すること」を指します。
コンプライアンスの意義
コンプライアンスを守ることは、企業の信用の失墜を防ぐと同時に、会社の知名度を上げたり評判を高めたりすることに繋がります。
コンプライアンス違反がある会社は、世間から信頼を失い、収益に多大な影響が及ぶこともあるのです。
コンプライアンスが注目されている理由
コンプライアンスは、次の理由で注目されています。
企業統治
企業統治とは「統治」を意味するガバナンスとも呼ばれます。
ガバナンスとコンプライアンスは別の言葉ですが、強い因果関係があります。コンプライアンスを守るには、企業全体を統治して、従業員の行動をコントロールしなければなりません。
企業統治ができていない企業はコンプライアンス違反が起こりやすく、企業の信頼の失墜に繋がります。コンプライアンスを守るように経営することで、自然に企業統治が可能になるのです。
内部統制
コンプライアンスを守るには、内部統制がとれている必要があります。
内部統制とは、円滑な業務遂行を実現するための社内統制のこと。例えば、経費の精算に上司の承認と領収書の提出が必要であることも内部統制の一つです。経費と言いながら私物の購入代金を請求するようなコンプライアンス違反の予防に繋がります。
また、顧客のデータベース化や社内で顧客情報を共有するといった業務効率化も内部統制の方法の1つです。
コンプライアンスに違反するとどうなるか
コンプライアンスに違反すると、世間からの信用が失われ、経営が悪化したり倒産したりする恐れがあります。
コンプライアンス違反によって起こり得る問題について詳しくみていきましょう。
粉飾決算
粉飾決算とは、不正な会計処理によって、経営状態が実際よりも良いように見せることです。経営状態を良く見せることで株価を上げたり、銀行からの借入額を増やしたりします。経営者が粉飾決算を望んでいなくても、現場の従業員が独断で粉飾決算をする場合もあります。
品質管理の悪化
商品やサービスの品質管理が悪化する恐れがあります。食品業界における品質管理の悪化は、異物混入や食中毒など、企業の信頼を失墜させる事態を招く場合もあるため注意が必要です。
ハラスメント
パワハラやセクハラなどは、従業員の心身に大きな負担がかかる行為です。コンプライアンスの意識が低い従業員はパワハラやセクハラをしやすく、結果的に優秀な人材が辞めてしまったり、裁判沙汰になり企業の信頼が失われたりします。
過労死
違法な長時間労働や強いストレス下での労働は、過労死のリスクを高めます。過労死になると、労災が適用されたり遺族から損害賠償請求をされたりして、世間からの評判が大きく落ちる恐れがあります。
企業行動規範によってコンプライアンスを守る
企業行動模範とは、企業の目標やコンプライアンス遵守、人権の尊重など、企業にとっての模範となる内容を定めることです。企業行動模範を参考に行動することで、自然にコンプライアンスを守れます。企業行動模範の作り方と具体例を詳しくみていきましょう。
企業行動規範の作り方
企業行動模範では、商品やサービスの提供や地域貢献など、企業全体の目標や目的、模範行動を定めることがポイントです。法律を遵守し、社会から信頼される行動をとることを前提として、具体的な項目を定めましょう。それでは、企業行動模範の具体例をご紹介します。
企業行動規範の具体例【竹中工務店】
竹中工務店では、お客様満足度を高めるために、安心安全かつ魅力的な作品の創出やまちづくりを通じたサステナブル社会の実現などを企業行動模範に掲げています。そのほか、国際的な観点における人権の尊重、働きやすい職場環境の実現など、様々な項目が設けられていることが特徴です。
企業行動規範の具体例【オリックス】
オリックスは、お客様満足の追求や社会的利益における価値の創造と提供、適切な情報開示、従業員の人格や生活の尊重など、基本的な企業行動模範を掲げています。シンプルにまとめ上げられており、従業員が認知しやすいことが特徴です。
研修でコンプライアンスを守る
コンプライアンスを守るために、研修を実施することが大切です。コンプライアンスを守るように通達するだけでは、従業員には浸透しません。実際に、コンプライアンスを守る方法を身につけることで、長期にわたりコンプライアンスを遵守できるでしょう。コンプライアンス研修のメニューについて詳しく解説します。
コンプライアンス研修のメニュー
コンプライアンス研修では、次の項目について学ぶことが大切です。
会計
粉飾決算や横領を防ぐために、適切な会計知識や技術を学ぶ必要があります。また、粉飾決算や横領によって起こり得る問題や刑罰、懲戒処分の内容などを伝えることも必要です。ずさんな会計処理は、多額の脱税にも繋がるため、企業の存続が危ぶまれる事態に陥るリスクもあります。
企業内ルール
企業内ルールを定めることで、日ごろからルールを守る意識が根付き、コンプライアンスを遵守しやすくなります。ただし、厳しすぎる企業内ルールは、個々のパフォーマンスや業務効率の低下を招くため注意が必要です。
また、会社の目標の達成に繋がる企業内ルールを決めましょう。例えば、業務効率化やモチベーションの向上を目標とする場合は、非効率な作業の禁止や短時間集中型の労働環境の用意が必要です。
そして、企業内ルールを守る必要性を従業員に伝え、理解させなければなりません。
労務管理
労働時間や給与、業務内容などを適切に管理する必要性や具体的な方法を研修で学ぶことで、労務管理におけるコンプライアンス違反を未然に防げる可能性が上がります。
労務管理のコンプライアンスに違反すると、個々のモチベーションを大きく低下させたり、優秀な人材を失ったりする恐れがあります。
情報セキュリティ
インターネットが普及した現代では、情報セキュリティを学ぶことは必須です。大量の顧客データが流出したり、サーバーに侵入されてネットサービスの供給を止められたりする恐れがあります。
大きな損失と信頼の失墜に繋がるため、必ず研修に盛り込みましょう。また、専門知識が必要なため、情報セキュリティの知識が豊富な専門家を招くことが大切です。
まとめ
コンプライアンスは、健全な経営のために守るべきものです。コンプライアンス違反に対する世間の目は非常に厳しく、信頼を失ったことで倒産するケースは少なくありません。コンプライアンス遵守には、従業員の意識が非常に重要です。そのため、定期的にコンプライアンス研修を開き、従業員の意識改革を行うことをおすすめします。