アルムナイは、企業の人材強化や採用コストの削減など、様々なメリットがある制度です。アルムナイをうまく活用すれば、企業の安定性や収益性が高まるでしょう。適切に活用するためにも、アルムナイの詳細や注目されている理由などを知っておくことが大切です。ここでは、アルムナイ制度の特徴やメリット、活用方法などについて詳しく解説します。
アルムナイとは
まずは、アルムナイの意味について詳しくみていきましょう。
アルムナイの意味
アルムナイとは、本来では「大学卒業後の人の集まり」の意味で使われる言葉です。しかし、ビジネスで使われるアルムナイとは意味が大きく異なります。
ビジネスで使われるアルムナイについて
ビジネスで使われるアルムナイは、「企業を離職や退職した人の集まり」のことです。定年退職や離職などをした離職者と退職者のことを指します。
アルムナイ制度について
アルムナイ制度は、定年退職者や離職者を貴重な人材と考え、再雇用をサポートする制度です。どのような特徴があるのか詳しくみていきましょう。
自社を理解している退職者の再雇用
アルムナイ制度では、自社の退職者を再雇用します。すでに自社で働いているため、仕事内容や社風、コミュニケーション方法などを把握しており、再教育にコストがかかりません。定年退職の概念が薄れてきている現代では、積極的な再就職を求める退職者が多いのです。
人材不足の企業は、新卒採用者を増やすのではなく、アルムナイ制度を積極的に活用した方がメリットを得られます。
アルムナイネットワークについて
アルムナイ制度の活用には、アルムナイネットワークの構築が必要です。アルムナイネットワークについて詳しくみていきましょう。
アルムナイネットワークによる人脈活用
アルムナイネットワークとは、退職者との繋がりを維持する仕組みのことです。再雇用を希望している退職者リストを作成し、ステップアップ支援をしたり必要なときに雇用を打診したりします。SNSグループやビジネスコミュニケーションツールのグループを作成し、いつでも容易に退職者とコンタクトを取れるようにしておくのも1つの方法です。
アルムナイが注目されている理由
アルムナイは、人材不足の企業から大きな注目を浴びています。その理由について詳しくみていきましょう。
人手不足を解消する必要がある
企業の存続には、人手不足の解消が不可欠です。アルムナイ制度を活用することで、速やかに即戦力を採用できます。定年退職者を再雇用する場合は、体力の問題もあるため、割り当てられる業務は限られます。
しかし、デスクワークを中心とした業務であれば、問題なく任せることが可能です。
終身雇用制度の崩壊に対応する必要がある
終身雇用制度の崩壊が予見されています。少数精鋭の従業員構成で経営を続けることで、低コストで大きな利益を挙げることが可能です。しかし、必要な人材数は時期によって異なるため、人材不足が起こる可能性があります。
そのようなとき、人材を採用するにも優秀な人材が市場におらず、採用を諦めざるを得なくなる場合もあるでしょう。アルムナイネットワークを構築しておくことで、即座に即戦力を確保できます。終身雇用制度の崩壊に備え、アルムナイ制度を活用することで、企業を強固に支えることが可能です。
アルムナイを活用する5つのメリット
それでは、アルムナイを活用するメリットを5つご紹介します。
採用コストを削減できる
アルムナイ制度を活用すれば、採用コストを削減できます。一度、自社で働いていた人材のため、再教育が不要なケースがほとんどです。高いスキルと豊富な経験を持つ人材を雇用できれば、採用コストを抑えながら企業成長を促せます。
自社を理解している人材を雇用できる
自社を理解している人材は、企業文化によく馴染み、社風も理解しています。そのため、雇用前と雇用後のイメージの相違により、早期に退職されるリスクが低いのです。また、他の従業員とも円滑にコミュニケーションを取れるため、チームワーク力の向上も期待できます。
他社を経験した人材を再雇用できる
定年退職ではなく、転職によって離職した人物とのネットワークを構築できれば、他社を経験した人材を再雇用できます。複数の企業の様々な考え方やノウハウを持つ人材は、企業を大きく成長させる可能性があります。経験豊富なアドバイザーのような立場で雇用できれば、業務効率化や利益率の向上、コンプライアンス意識の向上なども期待できるでしょう。
OB・OGの人脈を活用できる
アルムナイには、企業のOB・OGも含まれます。本人の再雇用が叶わなくても、その人脈を活用して優秀な人材を発掘できる場合があります。より多くの選択肢の中からマッチ度が高い人材を選出できるのです。
新卒採用を強化できる
中途採用をアルムナイ制度で補うことで、新卒採用を強化できます。将来、企業を支える人材を育てるために、新卒採用の強化は欠かせません。アルムナイ制度を導入すれば、中途採用に割くリソースを新卒採用に充てることが可能です。
また、アルムナイ制度で雇用した人材はOJTや各研修などが不要なケースがほとんどなため、新卒の教育に十分なコストをかけられます。
アルムナイをうまく活用するには?
アルムナイ制度は、単に導入するだけではメリットを享受できません。次のポイントを押さえて、アルムナイ制度をうまく活用しましょう。
退職者との関係を構築するための施策を打つ
退職者との関係を構築するために、SNSグループやビジネスコミュニケーションツールのグループなどを早期に作成することが大切です。退職してから時間が経過するほどに、関わりが薄くなり、アルムナイネットワークの構築が困難になります。
また、再雇用の前に、既存社員との交流イベントを開催することが大切です。年齢の離れた退職者がいきなり上司になるなどすれば、コミュニケーションに支障をきたす恐れがあります。
退職者と良好な関係を構築しておこう
アルムナイ制度の導入の前提として、退職者と企業が良好な関係を続ける必要があります。安易なリストラや不当解雇は、アルムナイ制度の構築失敗に繋がるため注意が必要です。ステップアップ研修の案内や交流会の実施など、会社と退職者の双方にメリットがある取り組みを実施しましょう。
退職者を受け入れる仕組みづくりを行う
退職者を受け入れ、速やかに業務を遂行できる仕組みづくりが必要です。既存社員がアルムナイを受け入れる気持ちになれるよう、給与や待遇などを見直しましょう。アルムナイと既存社員で給与や待遇に大きな差があると、お互いに不満を感じる恐れがあります。
また、アルムナイが元後輩社員の部下になることは望ましくありません。元上司が部下になると、コミュニケーションに支障をきたす恐れがあります。また、アルムナイとしても元部下の下につくことに不満を感じるでしょう。
もちろん、人材によって異なるため、性格や考え方を踏まえて、ベストな方法を見つけることが大切です。
まとめ
アルムナイ制度は、自社で働いていた退職者や離職者を再雇用し、コスト削減や経営の安定化を図る制度です。退職者や離職者と良好な関係を構築しておくことで、アルムナイとして企業に招き入れやすくなります。また、既存社員との関係も考慮して、アルムナイを受け入れる体制を整えることが大切です。ステップアップ研修や既存社員との交流会などを設けてアルムナイ制度を活用しましょう。