間接部門とは?
間接部門とは売上に直接貢献しない部門を指します。
間接部門の意味について
間接部門は売上に直接貢献しない部門で、部署としては人事や経理・財務、法務部門等が該当します。定型的な業務が多いためアウトソーシングしやすい特徴を有します。間接部門は営業や製造・技術部門のように毎年の目標を定量化することが難しい部門です。そのため、目標が毎年同じような定性的な目標に陥りがちです。
直接部門との違い
売上に直接貢献する部門は直接部門と呼ばれ、間接部門と区別されます。間接部門は直接部門を支援する部門でもあります。直接部門が職務に集中できるような仕組みを作ったり環境を整備したりすることが間接部門に求められる機能です。尚、間接部門の目標の定量化が難しいと書きましたが、直接部門の目標は定量化しやすいです。
間接部門の仕事内容
間接部門の仕事内容について確認します。
人事部門
人事部門は社内外の人材に携わる部門です。新卒や中途の人材の採用、人員管理、人材開発、組織開発、人事制度の構築等を行います。また、社員の賃金・退職金や社会保険、就業規則等の労務管理の仕事もあります。近年は経営者のパートナーとして人事には戦略人事という役割が求められることもあり、定型的な仕事だけでは成り立たない仕事となりつつあります。
経理・財務部門
経理・財務部門はカネを扱う部門です。経理は財務諸表・貸借対照表の書類作成から日常の出入金管理等を行います。財務は資金調達・予算編成等、財務戦略を策定したり実行したりする仕事を担います。監査法人への対応や内部統制の遂行等もあります。
法務部門
法務部門は主に契約・取引法務を担う部門です。リスクアセスメントやグローバル化の観点から、秘密保持契約・業務委託契約等、法務が携わる契約・取引法務の重要性は増しています。その他、コンプライアンスや紛争対応業務も法務部門の仕事の1つ。
経営企画部門
経営企画部門の仕事は、経営陣が立案した経営戦略に基づき計画を築いて実行することです。経営企画部門は経営陣の右腕となるようなポジションです。そのため、経営企画部門に就く人材には、ロジカルに思考できる能力や経営学や業界に関する深い知識が求められます。
総務部門
総務部門の仕事は、オフィス・建物の管理、安全衛生管理、備品管理等を担います。
間接部門に求められる役割
間接部門にはどんな役割が求められるのでしょうか?3つ紹介します。
専門性
間接部門は何らかの専門性が必要とされます。例えば人事部門として給与計算に携わるなら給与計算の実務の他に、労働法に精通していなくてはなりません。経理部門は簿記の知識はもちろんのこと、財務諸表を作成するためのスキルを有する必要があります。こうした専門性に秀でているからこそ間接部門としての仕事ができる訳です。
業務効率化
間接部門は自らが売上を生み出すことができません。そのため、無駄なコストを省き、直接部門が稼いできた売上から利益をいかに多く生み出せるか、実行しなくてはならないのです。従って、間接部門の役割として業務効率化が求められます。固定費を削減したり、自らの仕事が効率的に進むようなシステムやルール作りをする必要があるのです。
人を支える意識
間接部門はおカネを稼がない代わりに会社や従業員に対して支援的に関わります。人を支える意識が間接部門に求められる役割です。
例えば、人材開発業務に携わっている人事部門が、これまで社内講師で研修を行っていたとします。しかし、従業員のマネジメント能力が下がっていたことに気付き、マネジメント向上に長けた外部講師に人材開発を支援してもらった方が従業員のためになると外部講師に支援を依頼するようなことがあります。既存のやり方を遂行していれば仕事は気楽ですが、従業員を支える意識が新しいやり方の実行に繋がります。
リストラの対象になりやすい間接部門
ここまで間接部門の部門・仕事内容について詳述してきました。専門性に長け、業務効率化や人を支える意識に長けた間接部門ですが、企業がリストラを行う際、その対象になりやすいのが現実です。なぜリストラの対象になってしまうのか?その理由と、大手IT企業の間接部門のリストラ事例を紹介します。
直接部門よりも低い優先度
企業を取り巻く環境は厳しく、企業はムダのない人員配置によって企業運営をしようとしています。そのため、売上に直接貢献しない間接部門の中でも人件費に見合わない人材はリストラ対象になりやすいです。直接部門よりも企業内の優先度が低いのが間接部門の現状なのです。
間接部門はコストセンター
間接部門はコストセンターです。つまり直接的に利益を生み出さない部門のことを言います。実質的に間接部門であっても業務効率化や生産性向上によって利益に繋がる活動をしていますが、アウトソーシング化できたり、AIによって業務が代替できたりしまうような業務にしがみついていると、間接部門はコストセンターに過ぎないと企業から認識されリストラの対象になりやすいです。
間接部門リストラ事例【富士通】
2018年10月、富士通では5,000人規模の間接部門の人材を配置転換することを発表しました。配置転換先が間接部門ではなく営業やITエンジニア等、全くの異職種であり、希望退職も募集していることから、早期退職を狙ったリストラを実行したと言えます。その後、2,850人が希望退職に応募しています。
間接部門リストラ事例【NEC】
2018年6月、NECは希望退職を募集しました。対象者は間接部門の他、ハードウェア特定事業に在籍している人材です。2019年4月までに、NECは3,000人ものグループ社員を削減しました。
間接部門が生き残るためには
間接部門はリストラの対象になりやすい。リストラされやすい理屈と事例を見て頂きましたが、では、間接部門には生き残るための打ち手はないのでしょうか?最後に間接部門が生き残るための施策を解説します。
ポータブルスキルを高める
間接部門が生き残るためには、ポータブルスキルを高めることが鉄則です。ポータブルスキルとはどこの企業でも通用するスキルのことです。間接部門の役割の見出しで専門性が必要だと述べました。この専門性こそがポータブルスキルになり得る能力となります。
例えば経理・財務部門の決算書作成・財務諸表の作成・税務申告等は、どこの企業でも使うスキルです。これらを補助的にこなしていくだけではポータブルスキルとは言えませんが、どこの企業に転職しても「明日から使える」ようなスキルへと高めていくことでポータブルスキルとなり得ます。ポータブルスキルが高い人材はリストラの対象からは外します。仮にリストラの対象になったとしても転職先が早期に決まることでしょう。
パラレルキャリアを実践する
パラレルキャリアの実践も、間接部門が生き残るための施策です。パラレルキャリアは本業を持ちつつ、本業の幹をより太くするために副業や外部活動を実践すること。あくまでも軸足を本業に置くことが肝です。
例えば、人事部なら人事労務の知識を活かしてセミナー講師に就いたり、人材マネジメント関連のWebライティングをしたりすることがパラレルキャリアに当たります。セミナー講師をするには相当な勉強をしなければなりませんし、受講生からの質問への対応力も求められます。ライティングも勉強が必要ですし読み手に分かりやすく伝える文章の技量も必要です。
このようにパラレルキャリアを実践していくことで、厚みのある人事パーソンに変貌することができます。唯一無二の存在とまではいかないかもしれませんが、少なくとも企業においては手放したくない人材になり、生き残ることができるはずです。
まとめ
間接部門はリストラの対象になりやすく、間接部門のリストラの事例もありました。直接的に売上に貢献しないコストセンターなのですからリストラの対象となるのは仕方ないのですが、漠然とリストラに遭うのを待っているだけでは悔しいですね。間接部門が生き残るためにも、ポータブルスキルやパラレルキャリアの実践を経て、会社から手放されない人材を目指すことが間接部門に期待される社会からのニーズと言うことができます。