法務部とは?仕事内容・必要な法律知識・英語力や資格・スキルを解説

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法務部は、法律知識を持った専門性の高い部署です。企業のグローバル化やコンプライアンスへの関心の高まりから、法務部を設置する企業が増えています。法律に関する問題や課題を放置しておくと、企業は大きなリスクを背負うことになります。そのために企業は法務部を設置しているのです。記事では、法務部の仕事内容・必要な法律知識やスキルについて解説していきます。

法務部とは?

法務部とは、法律知識を駆使して企業の法律に関する対応事項や問題について、処理を適切に施していく部門です。法務部を設置している企業は年々増えています。商事法務研究会が行った調査では、部レベルで法務部を設置していた企業の割合は、2010年では27.2%程度でしたが、15年後の2015年には43.2%にまで増加しているのです。法務部の重要性が高まっています。

法務部の設置割合

法律に関する全ての業務

法務部に任されている業務は、法律に関する全ての業務となります。企業の内外を問わず、法務部は企業の法律関係について処理を施していきます。

法務部の仕事内容

法務部はどんな仕事を担当するのか、具体的に解説します。

契約・取引の業務

法務部の仕事として最も重要性が高いのが契約・取引の業務です。企業が他社とビジネスをするにあたって、契約の締結は必須事項です。従って、民法や会社法に照らして契約内容が妥当か否かをチェック(リーガルチェック)したり、契約書を作成したりする仕事が契約・取引の業務になります。契約を締結しなければビジネスは始まらない訳ですから、法務部の契約に関する業務の重要性がいかに高いかが分かると思います。

社内の法律支援業務

社内において法律関係で困ったことが起こった時、法務部は法律知識を駆使してサポートに当たります。これが社内の法律支援業務です。企業には様々な部署がありますから、部署が必要とする法律について把握し、困ったことを解決しなくてはなりません。そのため、法務部には広範な知識を活用して社内のサポートを行います。法務部の社員にとって詳しくない法律もあるでしょうが、その場合は法律を調べて他部署に分かりやすく説明することが求められます。

コンプライアンス業務

企業にはコンプライアンス(法令遵守)を徹底することが求められています。コンプライアンスは極めて重要で、企業が法律を守らなかったことがメディアを通じて明るみになれば、取引先が離れていき売上が上がらなくなって倒産する企業もあるくらいです。従って、法務部の業務にはコンプライアンス業務があります。

法務部のコンプライアンス業務は多岐にわたります。企業がコンプライアンスに違反したことによる調査・対応策から、企業そして社員が法律を遵守するための啓蒙活動や研修の企画運営業務、そして社内規定の制定・整備まで幅広いです。

労働者との法的トラブル対応業務

「経理社員が横領していた」「辞めた社員が会社を訴えてきた」といった、企業と労働者との法的トラブルに対して対応するのも法務部の仕事。法的トラブルは日常茶飯事に起こるものではありませんが、一方で一度発生すると長期間に渡って対応することになり得ます。法務部は、トラブルを発生させた相手との窓口にも立たなくてはなりませんから、人間関係的な対応力が求められる仕事です。

紛争対応業務

自社と他の企業との間で裁判になった時、あるいは顧客との間で裁判になった時の紛争対応業務も法務部の仕事です。法務部は企業を守るために、弁護士に協力を仰ぎながら訴訟や交渉に対応します。

法律の知識習得や調査

法務部の仕事内容が多岐に渡っていることをご理解頂けたと思います。これらの仕事をこなすためには、法務部は幅広い知識習得と新しい法改正の調査に努めなくてはなりません。法務部は法律知識を持っていることが仕事をする上での前提です。ですから、法務部はセミナーや書籍を通じて知識を蓄えることが仕事の一部となります。

法務部に必要な法律知識や英語力

法務部に幅広い法律知識が必要となることは分かりました。実際、法務部に必要とされる法律知識や英語力はどのようなものがあるかを解説します。

契約・取引業務の法律知識

法務部の仕事の中で最も重要である契約・取引業務。その業務をこなすために法律の知識が必要です。契約書を作成するにも、作成された契約書をリーガルチェックするにも、基準となるのは契約・取引業務の法律知識です。

M&Aの法律知識

企業が生き残るためにM&A(合併・買収)をする機会は増えています。M&Aを成功させるためには、法務部にM&Aの法律知識が求められます。M&Aの法律知識を持っていることは、M&Aを実践しなければ得られない知識ですが、M&Aを実施する時のスピードは速いですから、日ごろから知識を習得しておくことが重要となります。

知的財産権の法律知識

企業がビジネスを行うにあたっては、他社の知的財産権を侵害していないかをチェックすることがあります。法務部は知的財産権の法律知識を持っておく必要があります。新規事業を展開する時には、特に必要となる知識です。

英語力

法務部の仕事をこなすには英語力が求められます。特に法務部の重要な仕事である契約・取引業務を担う際には、日本語の契約書だけでなく英語による契約書をチェック・作成する必要があります。

法務部に必要な資格

法務部の仕事をするのに特別に必要な知識はありません。幅広い法律知識を得るには自分で勉強すれば良いからです。一方で、法務部の仕事に就きたい人にとっては、どんな風に勉強したら良いか分からない。あるいは、既に就いているけれどスキルアップしたい人にとってこれ以上どんな勉強をしたら良いか分からないという場合があります。そこで、法務部に必要な資格は何かを紹介していきます。

法科大学院

法科大学院は司法試験を受験するためのステップの1つです。しかし、法科大学院で学ぶ法律の知識は、法務部で仕事をするための知識の多くを押さえることができます。法務部で仕事をしている人には、知識の整理にもなりますし、知っておかなくてはならない法律知識に触れることにもなり得ます。従って、法科大学院で学ぶことは、法務部としてのスキルアップにもなりますし、法務部の仕事に就きたい人にとっても重要と言えます。

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定に合格すると、コンプライアンス業務をこなすのに必要な知識が分かるようになります。1~3級までの難易度がありますが、法務部で仕事に就きたい人にとっては、2級の合格がベストです。ビジネス実務法務検定は企業の採用担当にも知られている資格です。スキルアップを目指したい法務部は、合格率10%の1級の合格を目指したいところです。

司法書士

司法書士は、合格率わずか3%の難関資格です。しかし、司法書士に合格していれば、それだけ幅広い知識を有していることの証明ですから、法務部への適性があると見なされます。司法書士は勤務弁護士のように企業内で働くよりは独立開業することが多いため、キャリアアップを目指す法務部にはおすすめできません。一方で未経験で法務部に就きたい人にとっては、目指してしかるべき資格です。

行政書士

行政書士も司法書士同様に企業で働くよりは独立開業が多い資格です。そのため、キャリアアップを目指す法務部経験者には向きませんが、未経験で法務部に就きたい人にとっては採用担当者に評価される可能性がある資格です。行政書士の合格率は、10%程度しかありません。

法務部に必要なスキル

法務部に必要な法律知識や英語力、そして資格を概観したところで、法務部で働く上で必要なスキルを解説します。法務部に就きたい人はもちろん、既に法務部で働いている人にとっても、整理や気付きに繋がればと思います。

コミュニケーション能力

法務部は法律知識を駆使して書類を作ったり、契約書を作ったりすることもあれば、人と応対したり折衝したりすることもある仕事です。従って、コミュニケーション能力が必要なスキルです。これが活かされるのは、社内研修で講師を務める場面や、紛争・労働者との法的トラブル対応業務です。

問題解決力

法務部は法律知識を駆使して問題に対処することが求められます。法律知識を持っているだけでは問題を捌けません。法務部は、これまでのキャリアや法務部での実践を通じて、問題解決力を高めていくことが必要です。

論理的思考力

法務部が企業の法律関係に対処するには、感性ではなくロジックを当てはめなくてはなりません。「Aという問題を解決するにはX法を適用して考える」「社内のコンプライアンスを徹底するためにY法を使う」等です。そのため、論理的思考力が必要なスキルです。

まとめ

法務部に求められる法律知識は幅広いです。契約・取引業務から、労働者との法的トラブル対応業務、紛争対応業務まで求められる法律はそれぞれ違います。弁護士程に法律に精通している必要はないのですが、分からない法律は丁寧に調べて業務に活かす姿勢が期待されます。