DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味・経産省レポート・成功事例を解説

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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタルソリューションによる変革を意味するビジネス用語です。2018年には経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設立し、DXはますます注目を集めています。記事ではDXの意味や求められる背景、DXを活用した企業事例の他、日本国内に衝撃を与えた経済産業省のDXレポートについても解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味やDXに取り組んでいる企業の割合について説明します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味

デジタルトランスフォーメーションとはデジタルソリューションによる変革を意味するビジネス用語です。デジタルトランスフォーメーションはDXの略語で呼ばれています。トランスフォーメーション(transformation)には変換という意味もありますが、DXでは変革という意味で使われています。

DXを初めて提唱したのはスウェーデンにあるウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏。ストルターマン氏は、DXの概念を「IT技術を使って人々の生活をあらゆる意味で豊かなものへと変革すること」と定義しています。

DXに取り組んでいる企業の割合はどのくらい?

NTTデータ経営研究所は、2019年8月に「企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」を公表し、国内の大企業~中堅企業を対象にDXへの取り組みの実態を調査しました。その結果、DXに取り組んでいる企業の割合は43.4%程度に留まっていることが分かりました。

規模別の取り組みを見てみると、売上高1,000億円以上の企業では77.9%がDXに取り組んでいました。一方で、「DXへの取り組みはこれまでのところうまくいっていると思うか」という調査に対しては、「強くそう思う」「おおむねそう思う」と回答した企業の割合は42.4%で、うまくいっていない企業は47.6%という結果でした。規模が大きい企業ほどDXに取り組んでいるもののDXの良い成果が表れていないことが明らかになっていることが分かりますね。

デジタルを用いたビジネスモデル変革

DXを説明するにはデジタイゼーションとデジタライゼーションとの関わりを整理しておく必要があります。デジタイゼーションとはデジタル変換という意味の言葉です。アナログ情報をデジタル化するのがデジタイゼーションの意味合いです。事例として、フィルムカメラをデジタル変換したデジタルカメラがあります。デジタイゼーションはビジネスプロセスの一部がデジタル化されます。

デジタライゼーションとはビジネスプロセス全体をデジタル化することをいいます。事例として、トヨタ自動車のKINTOのような自動車のサブスクリプションやソニーのリカーリング事業であるPS Plus等が挙げられます。

それではDXとは何かというと、デジタライゼーションにより新規事業が生み出され、社会や経済な影響を与えるほどの変革をいいます。DXはデジタライゼーションの発展形ともいえます。KINTOが自動車ユーザーの主流になれば、自動車は文字通り保有から利用に大きくシフトしていくでしょう。そうなれば自動車ビジネスに関わる大きな変革を生み出すことに繋がり、これをDXという訳です。

経済産業省のDXレポートがもたらしたインパクト

DXは社会や経済へインパクトを与えるほどのデジタルソリューションによる変革です。しかし、日本国内の企業においてDXを推進している企業は一部に留まっています。危機感を覚えた経済産業省が発表したのがDXレポートという報告書。2018年9月に発表されたDXレポートでは、既存システムは複雑化・ブラックボックス化しているので刷新を行わないといけないと警鐘を鳴らされています。

DXレポートでは既存システムが残った場合に他国との競争に敗れ、経済の停滞が生じることを2025年の崖と呼び、2025年までに既存システムの刷新を行うことの必要性が訴えられています。2025年の崖に象徴されるDXレポートのインパクトは大きく、日本がDXに取り組むことが急務とされます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる背景

DXの意味、DXレポートに象徴されるDXへの対応の必要性が分かってきました。ここからはDXが企業に求められる背景について説明していきます。

単にデジタルを使うだけでは競争優位に立てない

デジタイゼーションはデジタル変換を意味する用語でしたが、デジタルを使うのは当たり前なので、もはや単にデジタルを使うだけでは競争優位に立てなくなっています。顧客のライフスタイルを変えるほどのインパクトがないと、顧客からは横並びの1社にしか見えないのです。

カスタマー・エクスペリエンスへの対応

企業のゴールが「消費者にモノやサービスを購入してもらうことだった時代」は終わりを遂げています。その代わり、消費者が購入するまでのプロセスや購入後のアフターフォローを含めた消費者体験であるカスタマー・エクスペリエンス(CX)が注目されているのです。

ソーシャルメディアの発展により消費者の誰もが情報発信者となることができます。企業に対するCXが低下したと感じた消費者は、SNSやブログでネガティブな情報を発信していくでしょう。顧客のCXを向上させていくことが求められるからこそ、企業はDXに取り組んでいく必要があるのです。

例えば車のサブスクリプションであるKINTOがDXとなれば、消費者はSNSで好意的に発信します。インフルエンサーの目に留まればポジティブな反応が拡散されていくでしょう。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための課題

DXはまだまだ新しい概念です。DXの推進をはばむ課題を2つ紹介します。

明確なビジョンが描けない

1つ目の課題は明確なビジョンが描けないというもの。経営層がDXを社内で推進しようとしていますが、DXを通じてどのように事業展開していったら良いか、ビジョンが描けないために起こります。DXに投資することやIT人材の採用が目的となり、DXを通じてどんな事業に活用したいか、新規事業を起こしたいのかが描けていないと、手段が目的化してしまいDXがうまく進んでいかないのです。

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現場の理解はあるが経営層がコミットしてくれない

2つ目の課題は現場の理解はあるが経営層がコミットしてくれないというものです。例えば次のようなフローが「経営層がコミットせずにDXが推進できない」場合となります。

1.IT部門のメンバーがWebセミナーを受講してDXの重要性を知った
2.上司とも情報を共有し組織としてDXに力を入れていくことを痛感
3.予算をもらおうと稟議書を提出するが、経営層からはDXの意義が理解されなかった
4.結果的にDXが推進されない

IT関連の組織を中心にDXのWebセミナーを受講したり、書籍を読んだりしてDXの重要性を知り、予算を取り付けようと経営層に話を持ち掛けても、肝心の経営層にDXの意義が理解されなければDXは社内で進みません。経営層への啓蒙をしなければ、会社はいつまでもDXを考えることもせず、DXレポートのいう2025年の崖を形成してしまうことになります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例

DXに成功している企業は、経営層も職場もDXについて真剣に考えています。DXをうまく進めている成功事例を紹介しましょう。

メルカリ

メルカリは、C2Cビジネスのプラットフォームをフリマアプリとして展開。出品から購入者とのやりとり、お金の受け取りまでスマホだけで完結するビジネスモデルを展開しました。身近なモノを消費者間で売り買いし、副業の1つとしてフリマを提案する事業は消費者の生活を変革しました。

JTB

JTBは、商品の販売にリモート接客の手法を取り入れ、遠隔での接客を試みています。リモート接客として、MY TRAVEL Remote Box 新宿、JTB MY TRAVEL Living イオンモールいわき小名浜等があります。店舗での混雑を緩和し、省資源で商品の販売が可能になります。

日本交通

日本交通はタクシー会社として全国タクシーという「タクシーが呼べるアプリ」を展開。全国タクシーの機能にはJapanTaxi Walletというものがあり、乗客がタクシーに乗っている間に料金を手間なく支払えるというシステムもついています。JapanTaxi Walletがあれば、目的地に着いたら乗客は降りるだけです。「新幹線や飛行機の時間に間に合わない」と悩む心配が減るでしょう。

Spotify

Spotifyは音楽ストリーミングサービスを手掛けるスウェーデンの会社。音楽のサブスクリプション事業を展開し、パソコンやスマホだけでなくゲーム機でも音楽を聴くことができます。また、Spotifyの有料プランではオフラインでも音楽を聴けるので、飛行機の中やネットが圏外の場所でも音楽を聴き放題です。Spotifyは音楽ストリーミングサービスでは世界最大規模を誇ります。

Netflix

Netflixは動画ストリーミングサービスを手掛ける米国の会社。動画のサブスクリプション事業を展開しています。Netflixでは既存作品を見られるだけでなく、アカデミー賞を受賞するほどの質の高いオリジナル作品を定額で見ることができます。

まとめ

DXはデジタライゼーションにより新規事業が生み出され、社会や経済にまで影響を与えるほどの変革をいいます。経済産業省はDXレポートの中で、日本企業が既存システムを刷新しDXに着手しないと経済が衰退すると伝えています。DXは単にデジタルを活用することだけではありませんので、DXが求められる背景や課題を踏まえて推進していく必要があるでしょう。

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