合弁会社とは?意味・出資比率・メリット・デメリット・事例を紹介

合弁会社の記事
合弁会社とは複数の会社が共同で出資し、設立した会社のことです。海外で事業を始める時に、現地企業と共同出資で合弁会社を設立することがあります。記事では、合弁会社と株式会社等の法人形態との違い、現地企業との出資比率、合弁会社のメリット・デメリットを紹介していきます。
目次

合弁会社とは?

合弁会社の意味を説明します。他の法人形態についても解説していくので、合弁会社とどのように違うのかを理解していきましょう。

合弁会社の意味

合弁会社とは2つ以上の複数の会社が共同で出資した会社のことをいいます。複数の会社が合弁会社を設立する目的は、共同で合弁事業を行うことにあります。例えば、海外で工場を作りたいと思っている日系企業がいるとします。日系企業は現地会社と共同で合弁会社を設立し、工場を作っていきます。これが合弁会社の具体的なイメージですね。

会社法で規定された法人形態について

会社法で規定された法人形態には以下の4つがあります。

・株式会社
・合同会社
・合名会社
・合資会社

上記には合弁会社は入っていないことに注意して下さい。合弁会社は会社法で規定されていません。

他の法人形態との違い

合弁会社とは複数の会社が共同で出資した会社のことです。合弁会社の法人形態は株式会社、合同会社、合名会社、合資会社のいずれかになります。合弁会社という法人形態はありません。

合弁会社の出資比率

合弁会社は複数の企業が出資します。出資比率はどのくらいになるでしょうか?株式会社から説明します。

株式会社では出資比率は半分ずつが多い

株式会社は、出資者である株主が間接有限責任を負います。仮に会社に損害が生じた時は、株主は債権者に一定の範囲で弁償する責任を負っているということです。株式会社では出資額が多い株主が影響力を行使できます。合弁会社に出資する会社が2つなら、合弁会社の株式会社の出資比率は半々になります。

もしA社の出資比率が70%でB社の出資比率が30%になると、合弁会社へのA社の影響力の方が大きくなってしまうでしょう。ただし、出資比率が半々といっても、実際には50%・50%ではなく、51%・49%の比率にすることが多いようです。その理由は株式会社では出資額が多い株主が影響力を行使できるからです。

株式会社以外では出資比率が問題とはならない

次に株式会社以外の会社形態を見てみます。合同会社・合名会社・合資会社はいずれも出資をする社員がそれぞれ同程度の影響力を持ちます。よって、株式会社以外では出資比率が問題とはなりません。

合弁会社のメリット

合弁会社を設立することでどんなメリットがあるでしょうか?

現地企業のコネクションを活用できる

日系企業が海外で事業を行いたい場合、コネクションの欠如が課題となります。しかし現地企業と共同出資して合弁会社を作れば、現地企業が持っているコネクションを活用することができるのです。既に現地企業が持っているコネクションを使えれば、日系企業の技術やサービス、製品力を活かして、海外での販路を拡大することができるのです。

現地の人材を採用しやすくなる

合弁会社を現地企業と共同して作ることのメリットの1つに採用のしやすさがあります。日系企業の名前が海外で知られていたとしても、現地では外資系企業です。現地の人材にとっては、現地企業が出資者に入っている合弁会社の方が安心して勤めやすくなるのですね。合弁会社が採用しやすくなる理由といえます。

現地企業の技術的な協力を得られる

日系企業が海外で工場を立ち上げようと思った時、合弁会社なら現地企業の技術的な協力を得られるメリットがあります。合弁会社にすることで現地企業の技術を使えるため、自社の技術力・開発力が高まる可能性が出てきます。

現地企業との経営上のシナジー効果が得られる

合弁会社は複数の企業が共同出資してできた企業です。双方の企業文化、経営方針がブレンドすることで、現地企業との経営上のシナジー効果が得られます。合弁会社で働く日本人のビジネスパーソンは、現地企業の文化や経営方針の良い影響を受けられる可能性があります。同じ会社に勤めているのに、合弁会社で働くことで転職したかのような新鮮さを味わうことができるのです。

合弁会社のデメリット

合弁会社のデメリットを確認していきます。

自社の技術やノウハウの流出リスク

合弁会社のメリットとして、現地企業の技術を活用できることがありました。でも、これを現地企業の視点で考えてみると、自社の技術やノウハウが現地企業に流出するリスクを負っているということ。合弁会社は1つの会社ではありますが、技術・ノウハウが流出し過ぎないように対策しておく必要があります。

現地企業とのトラブルの解決が困難

合弁会社は、現地企業との出資比率が半々程度でした。日系企業と現地企業との影響力を同程度にするために、出資比率を半々にしておく必要があります。一方で、合弁会社をめぐって現地企業とトラブルに発展することもあります。その際、出資比率が同程度であることで、トラブル解決が長引いたり、解決が難しくなったりする懸念があります。出資している両者は親会社・子会社ではないため、トラブル解決の困難さがあるのですね。

合弁会社の設立方法

合弁会社を設立するにはどうしたら良いか?方法を解説します。

相手企業への詳細な情報収集

合弁会社を共同で設立する相手企業について、詳細な情報収集をしていく必要があります。情報収集を綿密に行う必要性は、合弁会社のデメリットを回避するためにも必要です。すぐにトラブルを起こすような企業、主権ばかり主張する強引な企業、社員の質が良くない企業等は、合弁会社を設立してもうまくいきません。コストを支払ってでもしっかり情報収集していきましょう。

合弁会社の条件内容の確認

リサーチが終わって相手企業と交渉していった後は、合弁会社の条件内容の確認を行います。具体的には以下の確認事項があります。

・合弁会社の経営方針
・合弁会社の目標のすり合わせ
・出資比率
・契約内容
・役員の選定
・株式の譲渡制限
・契約書の確認

以上の確認事項は、必ず弁護士に依頼して公平な内容になっていることを確認してもらって下さい。契約を締結した後で「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、細心の注意を払って締結に臨んでいきましょう。

設立契約の締結

契約内容を確認した後、合弁会社の設立契約を締結します。ここまでくればようやく新会社を運営することができるようになります。

合弁会社の事例

合弁会社の概要やメリット・デメリット、そして設立方法を解説してきました。最後に合弁会社の事例を紹介していきたいと思います。

NUMMI

NUMMI(ヌーミ)はトヨタ自動車とゼネラルモーターズ(GM)の合弁会社。NUMMIは日米貿易摩擦のリスク回避から生まれた合弁会社です。トヨタとGMはお互いに技術協力を行い、合弁事業はうまくいっていましたが、2009年にGMが破産し国有化されたことに伴い、NUMMIは閉鎖されました。

カケハシ・タマホーム・ディベロップメント

カケハシ・タマホーム・ディベロップメントはタマホームとカケハシによる合弁会社として、ミャンマーに設立されました。ミャンマーは2016年に政権交代し経済開放や民主化が進むと推測されました。カケハシ・タマホーム・ディベロップメントが設立されたのは2018年。政権交代でビジネスチャンスの可能性があるミャンマーでの事業を開始しています。

Findability Sciences

Findability Sciencesはソフトバンクとファインダビリティ・サイエンシス・インクは、Findability Sciencesを日本国内に設立しました。Findability Sciencesは、出資元であるファインダビリティ・サイエンシス・インクの主力事業である「Findability Platform」をソフトバンクと共同展開するために設立されました。

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズはソニーとスウェーデンの企業エリクソンの合弁会社です。モバイル事業を展開するために設立され、ソニーのXperiaブランドも生み出しましたが、2012年にソニーがエリクソンからモバイル事業を買収して完全子会社としました。社名もソニーモバイルコミュニケーションズへ変わっています。

まとめ

合弁会社は複数の会社が共同で出資する会社のことをいいます。株式会社等、会社法で定められた会社形態を選んで、設立します。合弁会社を実際に設立する時には、合弁会社のメリット・デメリットをしっかり把握していきましょう。

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