成果主義とは?メリット・デメリット・成功例・失敗例を解説

成果主義の記事 組織文化
能力や年齢、キャリアの長さではなく、成果によって評価するのが成果主義という制度。1990年代より日本でも取り入れる企業が増えてきました。成果主義を導入することで、人材にどのような影響をもたらすのでしょうか?記事では、成果主義の基礎知識・注目されるようになった理由・メリット・デメリットを解説していきます。

成果主義とは?

成果主義とは、社員が業務を通じて果たした成果を元に評価する制度を言います。成果主義には、仕事の成果を評価する成果主義と、プロセスと成果を評価する成果主義の2つがあります。また、成果主義と能力主義の違いについても説明します。

仕事の成果を評価する成果主義

仕事の成果を評価する成果主義は、文字通り成果だけで評価する人事評価制度です。例えば、「営業が半期の受注額を目標の5,000万円達成したので評価する」ように評価します。プロセスがどうであれ、成果さえ達成すれば評価する仕組みです。

プロセスと成果を評価する成果主義

プロセスと成果を評価する成果主義は、仕事の成果だけでなくプロセスも評価する評価制度になります。目標の5,000万円を達成したとしても、達成するために被評価者がどれだけ貢献できたかといった点も考慮して成果を評価するものです。

成果主義と能力主義の違い

能力主義は被評価者の能力によって評価する人事制度の考え方です。能力には潜在的か・顕在的かによる違いがあり、潜在的能力は目に見えず、「あるだろう」と推測するしかありません。顕在的能力は、仕事を遂行するための能力であり、業務遂行を通じて可視化することができます。成果主義は成果を重視するので、成果を出すための能力は有しているものとして考えます。能力主義は能力を有していれば評価するので、結果的に成果を出せなくても評価するという違いがあります。

成果主義が注目されるようになった理由

日本で成果主義が注目されるようになったのは1990年代。なぜ注目されるようになったのでしょうか?理由を解説します。

バブル崩壊後の不況が起こったため

バブルが崩壊し、日本経済は不況に陥りました。業績が悪化したことで、企業は社員に成果を求めるようになりました。成果が上がれば業績の向上に繋がるためです。このような背景で成果主義による人事評価制度が注目され、実際に導入する企業が出てきたのです。

年功序列制度を改めたいため

日本企業では年功序列制度が根付いています。年功序列制度を脱却するために能力主義を導入しましたが、「能力は下がらない」ことが前提なので脱却が難しくなりました。そこで年功序列制度を改めるために、成果主義を導入します。成果主義は年齢・キャリアに関係なく、成果を上げた社員を評価する制度。成果主義を導入すれば必然的に年功序列制度は改まります。

優秀な人材を確保したいため

どれだけ仕事で成果を上げても、年功的に評価される会社では優秀な人材が報われません。特に若くて成果を上げる社員にとっては、年齢・キャリアに関係なく成果で評価してくれる企業の方が活躍の場があります。優秀な人材を確保し、離職を防ぐために成果主義が注目されました。

成果主義のメリット

成果主義のメリットを紹介します。

成果が収入増に繋がる

成果主義は仕事で成果を上げることで評価されるため、成果が収入増に繋がります。継続的に成果を上げ続けられる人材ほど、成果主義の恩恵は大きいでしょう。

社員のモチベーション向上に繋がる

成果主義により社員の成果が正当に評価されれば、社員のモチベーションの向上に繋がります。成果は目に見えるものですし、客観性が担保されています。社員にとっても自分のがんばりが成果主義によって評価されるので、もっとがんばりたいという動機付けとなるのです。モチベーションを高められれば、人材育成にも繋がっていきます。

組織の労働生産性が高まる

成果主義により社員のモチベーションが高まれば、組織の労働生産性が高まります。特に、定量的な目標を掲げ、それを達成することを評価するというプロセスを踏めば、目標達成度が分かりやすく、客観的なので組織の労働生産性が高まると言えるのです。

人件費の適正な配分ができる

成果主義によって目標が明瞭になり、目標達成度の評価が分かりやすくなれば、優秀な人材と、そうでない人材とを区別することができるようになります。そうすれば、経営者は人材を適材適所に配置できるため人件費の適正な配分ができます。

成果主義のデメリット

成果主義にもいくつかのデメリットがあります。

人事評価が成果偏重に陥る

仕事を通じた成果を評価するため、必然的に人事評価が成果偏重に陥ります。成果偏重に陥ると、管理職は部下の成果しか関心を持てなくなり、部下は成果さえ上げれば良いという考えを持つようになります。

定性評価がしづらい

定性評価がしづらいのも成果主義のデメリットです。成果を評価するには数値化された評価の方が評価しやすいため、どうしても定性的な目標を採用しづらくなります。無理やり定量評価を設けるようなことにもなりかねません。定量的な目標設定がふさわしくない社員にとっては、目標設定の意味合いが薄れ、目標自体が形骸化になってしまいます。そうなるとモチベーション向上や人材育成は望めません。

社員が容易な目標設定をしてしまう

成果を上げるために社員が容易な目標設定をしてしまうこともあります。達成しやすい目標を達成したところで、社員にとっても組織にとっても余りプラスには働きません。達成するのが当たり前だからですね。しかし成果偏重に陥りがちな成果主義では、容易な目標設定をしてしまうことがあり得ます。そうなると、社員のモチベーション向上には繋がらず、成果主義の方向性とズレていきます。

社員がプレッシャーにさらされる

成果偏重の弊害として、社員がプレッシャーにさらされることもあります。成果主義は目標達成度の度合いによって成果が見えやすいため、未達成の社員に管理職が強いプレッシャーを与えます。そうなると、成果さえ上げればどういう手段を使っても良いという短絡的な思考に陥ることもあり得るため、コンプライアンス違反を招くことにもなりかねません。また、個人プレーに走り組織間のコミュニケーションが悪化することにも繋がります。

成果主義の失敗例

成果主義のデメリットを見てきたところで、失敗例に触れておきましょう。

富士通

富士通は日本でもいち早く成果主義を取り入れた企業です。しかし、同社の成果主義はうまくいきませんでした。その理由は社員が容易な目標設定を掲げてしまったことでした。管理職が部下のマネジメントをしっかり行い、具体的で難易度が高い目標を設定させる必要がありました。

日本マクドナルド

日本マクドナルドにおける成果主義の失敗は、管理職が自身の成果を上げることに執心したことにあります。これは成果偏重の弊害です。富士通の事例も同様ですが、成果主義を導入すればうまくいくのではなく、管理職のマネジメント力の向上が重要であることが分かる事例です。

成果主義の成功例

成果主義の成功例も見ていきましょう。

花王

花王は、成果主義をセクションの特質によって柔軟に変化させました。例えば、成果が短期間で見えにくい研究部門に対しては、長期的な成果を認めることにしています。また、成果だけではなく習熟度を評価項目に取り入れることで、成果偏重から脱しています。

ホンダ

ホンダは成果主義を導入し、課長以上の社員の賃金は年俸制にしています。また、主任級の社員の定期昇給を廃止し、年功的に賃金が上がっていく賃金制度の仕組みを改めています。

成果主義の導入ポイント

成果主義のメリット・デメリット、そして成功例・失敗例を確認したところで、成果主義の導入ポイントを解説します。成果主義に限らず、制度は万能ではありません。制度を導入して自社はどういう成長路線を築けるのか、社員はモチベーションを高められるのかを考えた上で、導入する必要があるのです。

管理職のマネジメント力を高める

成果主義の失敗例を見ても明らかなように、成果主義を導入してもうまくいかない企業は、管理職のマネジメントがしっかりしていないことに原因があります。管理職のマネジメント力を高めることが必要なのです。簡単な目標設定をしてくる部下に対して、成果主義がもたらすモチベーション向上や人材育成の観点で、どんな目標設定が部下に適切なのかを指導しなくてはいけません。

また、成果主義による人事評価面談では、管理職はなぜ今回の評価が高い/低いのかについて、部下と対話する必要があります。それにより、部下にとっての評価の納得性を高め、来年度はがんばろうという動機付けを促すことができるのです。

定性評価も取り入れる

無理に定量的な目標設定をすると、目標設定が形骸化します。そうならないように、企業は人事評価制度に定性評価を取り入れる必要があります。「管理職が承認する水準のマニュアルを期限内に作成する」「顧客に対して的確なタイミングで質問できるようになる」等といった定性的な目標設定を掲げさせ、上司は定性評価を行うのです。そうすれば、成果主義による目標設定が形骸化することはないでしょう。

自社に合う成果主義制度を検証する

成果主義制度には2つの種類があることを説明しました。それ以外にも、能力主義や役割行動をブレンドした成果主義制度等、やり方は様々。教科書通りの成果主義ではなく、自社に合う成果主義制度を検証することが、成果主義の導入ポイントです。

まとめ

成果主義は業務を通じた社員の成果を評価する人事評価制度です。メリット・デメリットがありますが、管理職の低いマネジメント力や無理やりの定量評価等は、成果主義がうまくいかない点と言えます。また、自社に合う成果主義を検証して頂くも必要な観点です。