フリーアドレスとは?
フリーアドレスとは、決められた席に座らず職務や目的に応じて自由な席に座る働き方を言います。フリーアドレスがなぜ求められるのか、フリーアドレスの目的を説明します。
フリーアドレスが求められる理由
なぜフリーアドレスが求められるのでしょうか?理由として働き方改革が背景にあります。働き方改革により労働生産性の向上や多様な働き方が企業やそこで働く人々に求められるようになりました。フリーアドレスは好きな席に座ることではなく、仕事を生産的、効率的に行うために自由な席に座って働くことが目的なので、働き方改革を推進するためにフリーアドレスは有効です。
フリーアドレスの目的
フリーアドレスの目的は、仕事を生産的、効率的に行うことです。仕事を生産的、効率的に行うことで高い成果を出します。
フリーアドレスのメリット
フリーアドレスのメリットをご紹介します。
労働生産性が向上する
フリーアドレスの目的が仕事の効率性・生産性にあることから分かりますが、労働生産性が向上します。席の遠い同僚や他部署の社員と仕事をする時、フリーアドレスに隣同士で座っていれば、意見交換が円滑にでき、打ち合わせも柔軟にできます。分からないことを即座に聞けます。また、業務に集中したければ1人になることも可能。職務遂行の目的に応じてフリーアドレスを使い分けることで、労働生産性を高めることができるのです。
コミュニケーションが活性化する
コミュニケーションが活性化するのもフリーアドレスのメリット。フリーアドレスはリラックスして仕事ができる環境ですから、業務で悩んだことがあれば直ぐに質問したり、あるいは雑談したりすることもできます。雑談は意外と侮れない効果があり、パソコンに向かって集中して仕事を終えた時に、同僚と雑談することで緊張がほぐれ、また、次の仕事に集中していくことができるのです。
コラボレーションが生まれる
フリーアドレスはコラボレーションが生まれます。例えば、製品企画を考えるためにフリースペースに座った社員がいました。フリースペースには様々な部署の人材が集まってきます。普段、業務上関わりのない社員が隣に座ることもあるでしょう。その人に何げなく製品企画のアイディアを話してみたところ、企画のヒントをもらうことができました。このようにフリーアドレスでは、隣に自部署以外の社員が座るので、コラボレーションに繋がることがあるのです。
スペースを有効活用できる
フリーアドレスはできるだけスペースを効率化しますので、スペースを有効活用できます。
フリーアドレスのデメリット
フリーアドレスのデメリットを紹介します。
組織の中で孤立感を招く
フリーアドレスは常に職場の人と一緒にいる訳ではありません。一日中、他部署の社員と同じスペースにいることも。そうなると組織の中で孤立感を招きがちとなります。
管理職にマネジメントの転換を求められる
フリーアドレスでは、普段、目の前の席にいた部下がフリースペースに行きます。そのため、一日中一緒にいることで部下指導をしていた管理職や、日常の仕事ぶりを人事評価していた管理職にとっては、マネジメントの転換を求められることになります。部下がフリーアドレスに行くからといって、これまで導入していた情意評価(被評価者の態度を評価する方法)を止めて成果だけを負う訳にはいかないでしょう。人事制度の改定を含めた、マネジメントの転換を求められると言えます。
同じ場所に座ることでフリーアドレスの良さを活かせない
フリーアドレスは自由に座って良いのですが、毎日同じ場所に座ってしまうようではフリーアドレスの良さを活かせていません。しかし、フリースペースの場所が狭かったり、フリーアドレスの目的や効果が社員によく伝わりきっていなかったりすると、このような問題が起こり得ます。
フリーアドレス導入の流れ
フリーアドレス導入の流れを説明します。
フリーアドレス導入のシミュレーションを行う
フリーアドレスを検討する前に、導入のシミュレーションを念入りに行います。場所はどこか、フリーアドレスの目的は何か、社員にどう伝えるか等、フリースペースの成果を上げることを前提に考えればシミュレーションをおろそかにはできません。
規模に応じてプロジェクトを立ち上げる
フリーアドレスを行う企業の規模が小さければ、管理部門等の特定部署が考えれば良いのですが、規模が大きい企業だと他部署の知見が必要になるため規模に応じてプロジェクトを立ち上げます。
働き方改革の意識を持たせる
フリーアドレスの背景に働き方改革があるという説明をしました。フリーアドレスの目的にも生産性という言葉があり、フリーアドレスと働き方改革の親和性は高いと言えます。フリーアドレスを通じて働き方改革を徹底するためにも、働き方改革の意識を持たせる必要があります。どのようにすれば働き方改革の意識を持たせられるか、企業ごとにフリーアドレスとの兼ね合いで検討する必要があります。
ルールを決める
フリーアドレスのルールを決めることも重要です。いつも同じ社員が固まらないこと、フリースペースに持ち込んで良い備品・書類、使った後の清掃等を盛り込んでおく必要があります。
レイアウトを変更する
ルールの決定まで終われば、レイアウト変更を行います。いつからレイアウト変更を行うのか、社員にはいつ・どのようにアナウンスするのかといった計画を立てつつ、実際にレイアウト変更をしていきます。
備品を設置する
レイアウト変更が終われば、フリーアドレスのスペースに必要な備品を設置します。
フリーアドレス失敗例
フリーアドレスを導入する時に失敗してしまう事例を紹介します。
完全フリーアドレスにした
フリーアドレスは、組織の全てをフリーアドレスにする完全フリーアドレスにするとうまくいきません。完全にフラットな組織でもない限り、組織は縦割りであり部下は上司に決裁をもらったり指導されたりします。また、同様に上司は部下に指示したり質問したりするでしょう。組織系統がしっかりあるにもかかわらず、完全フリーアドレスにしてしまうと、社員は話しかけたい人をいちいち探し出さなくてはなりません。従って、フリーアドレスは組織の全てではなく、一部についてフリーアドレスにするべきでしょう、
無計画に進めた
無計画に進めることもフリーアドレスがうまくいかない事例です。社内にアナウンスせずに唐突にフリースペースを作り始めたり、フリーアドレスのニーズがありそうな部署に確認せずに推進したりすることは、社内の混乱を招きます。フリーアドレスを実行するにあたり、どんなことが必要か、課題は何か、納期はいつか、どこの部署と協力すべきかといった点について計画し、進めることが必要です。
フリーアドレスを成功させるポイント
フリーアドレスを成功させるポイントを解説します。
勤怠管理
フリーアドレスにすると社員がどこにいるのかが分からなくなります。結果として、出勤の事実が分からなくなるため、勤怠管理の運用を変更する必要があります。出社後、フリーアドレスの場所を確保した後で上司に挨拶に行くとか、上司にはスマートフォンによる勤怠管理システムで出退勤を報告するといった方法への変更が考えられます。
目的の周知徹底
フリーアドレスは「自由に席に座る」という事実ばかりがクローズアップされ、本来の目的が社員に伝わらないことがあります。フリーアドレスの主催者である部署は、フリーアドレスの目的を社員に周知徹底することが求められます。
組織内でのチームワーク強化
フリーアドレスのデメリットで、組織の中で孤立感を招くことを説明しました。その側面は否定できませんから、フリーアドレスを導入する時は組織内でのチームワーク強化を醸成することが重要になります。グループ単位で自由な席を選べるようにする等、チームワーク強化に繋がる施策を講じておきましょう。
管理職のマネジメント力向上
フリーアドレスを成功させるには、管理職がマネジメント力を向上させる必要があります。部下が必ずしも目の前にいない状況で仕事をすることになりますから、部下には自律的な思考・行動をしてもらうために指導します。組織目標の達成責任がある管理職は、部下の自律性を促してマネジメントすることになるので、管理職自身のマネジメント力を高める必要があるでしょう。
まとめ
フリーアドレスは効率的に、生産的に仕事を進めるために自由に席に座ることができます。フリーアドレス導入時は、シミュレーションやルール化、社内への周知を徹底することが必要です。