処分の意味とは?使い方・例文・民間企業と公務員の処分の種類を紹介

処分の記事
「不要なものを捨てる・売り払う」「ルールに反した人を処罰する」の意味で使われる処分という言葉。ビジネスで使われる処分の使い方や例文にはどんなものがあるでしょうか?また、企業や行政で「ルールに反した人を処罰する」の意味で使われる処分として懲戒処分があります。記事では懲戒処分の種類についても丁寧に解説していきます。
目次

処分の意味とは?

処分の意味は、不要なものを捨てたり売り払ったりすることです。また、ルールに反した人を処罰するという意味もあります。

処分の類語

処分の類語として、「不要なものを捨てる・売り払う」「ルールに反した人を処罰する」の2パターンがあります。まずは「不要なものを捨てる・売り払う」の類語から。

・始末
・処理

「不要なものを捨てる・売り払う」という意味での処分は「不要なゴミを処分する」という使い方ができます。同様に、類語でも「不要なゴミを始末する/処理する」という使い方ができます。

「ルールに反した人を処罰する」の意味の類語は次の通りです。

・制裁
・処罰

「ルールに反した人を処罰する」という意味での処分は、「会議中に寝ていた人を処罰するため、次回は欠席扱いとした」という使い方ができます。類語でも同様な使い方ができます。

廃棄との違い

処分と似た意味の言葉として廃棄があります。廃棄にも捨てるという意味がありますが「売り払う」という意味はありませんから、処分と廃棄では次のような使い分けをすることになります。

〇:不用品を処分するためリサイクルショップに持って行った
×:不用品を廃棄するためリサイクルショップに持って行った

上記のように廃棄を使った場合、売り払うという意味では使えないことになります。ここで廃棄という言葉を使ってしまうと、リサイクルショップに売るのではなくリサイクルショップに捨てるという意味になってしまうからです。

また、廃棄には「ルールに反した人を処罰する」という意味はありません。例えば就業規則に反した行動をした従業員に対して「処分する」とはいえても「廃棄する」とはいえない訳です。

処分の使い方・例文

処分という言葉の使い方と例文を解説します。

不用品を処分する

処分には「不要なものを捨てる・売り払う」という意味があります。例文として不用品を処分するという使い方があります。例えば、家の中を掃除していて、読まなくなったビジネス書や使わなくなったゴルフクラブが出てきて「捨てる」時に、「不要なものを処分する」という使い方ができるのですね。

産業廃棄物を処分する

ビジネスでも「不要なものを捨てる・売り払う」という意味で処分は使えます。産業廃棄物が出てきた時に産業廃棄物を処分すると使えます。また、日常業務の場で「シュレッダーした紙くずを処分する」「会議で余った資料を処分する」等と使うことができます。

売り払うという意味では、「不採算事業を処分するために他社に売却する」という例文を作ることができます。

問題を起こした社員を懲戒処分する

処分には「ルールに反した人を処罰する」という意味もあります。ビジネスで使える例文として問題を起こした社員を懲戒処分するという使い方ができます。

民間企業の社員の処分の種類

ビジネスで使う処分は「不要なものを捨てる・売り払う」「ルールに反した人を処罰する」の両方で使えます。ビジネスで使う「ルールに反した人を処罰する」には懲戒処分で使うことがほとんどで、人事に携わる人は懲戒処分をどう扱うか知っておく必要があります。懲戒処分には様々な使い方がありますので、1つひとつを解説しましょう。懲戒処分を行うには就業規則に記載する必要があります。

懲戒解雇、論旨解雇

懲戒処分とは、従業員が会社の秩序に違反した時に、就業規則にのっとって企業が従業員を処罰することをいいます。懲戒処分をするためには、労働契約法第15条にあるように、「客観的な合理的理由があること」「社会通念上相当であること」を必要とします。安易な処分はできないということですね。

懲戒処分というと解雇というイメージがあるかもしれません。企業で働く従業員は労働法に厳格に守られていて、簡単に解雇することはできません。労働契約法第16条には解雇権濫用法理という定めがあります。以下をご覧下さい。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

つまり、「繰り返しミスをする」程度の理由で解雇すると、企業は解雇権を濫用したものとして裁判で解雇が無効になりかねないということですね。「社会から見て解雇はいたしかたないという程度の事情があって、客観的にも確認できる場合」のみ解雇できるということなのです。

上記を踏まえると、懲戒解雇、論旨解雇は、懲戒処分の中でも最も重い処分となります。「繰り返しミスをする」従業員には、繰り返しの指導を行って、また、配置転換を行って適性を図っても、それでも「繰り返しミスをする」従業員に対してようやく解雇要件が認められます。こちらは論旨解雇という懲戒処分です。懲戒解雇は横領や殺人・強姦等の重い犯罪行為をした場合に、指導や配置転換を要せずに解雇となります。

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出勤停止

出勤停止は、解雇の次に重い処分です。出勤停止を行うためには、解雇の次に重い処分を行っても問題ないか?と、懲戒処分の合理性と社会通念上の相当性を担保しておく必要があります。ちなみに出勤停止中の給与を無給としても法律上は問題ありません。

降格

降格という懲戒処分は、役職を外されたり等級が下がったりする処分です。降格も懲戒処分の合理性と社会通念上の相当性を担保しておかなくてはなりません。例えば、「3年にわたり、営業成績が不良なA彦さんに適切な指導をしなかったため、B子さんを営業所長から一般社員へと降格処分にした」という処分の使い方ができます。

例を読んで頂ければ分かる通り、従業員に降格に値する事情があって、初めて降格処分となります。降格は給与の減少が見込まれます。経営者の気分で「B子は気に入らない」等として降格処分にしてしまうと、企業の懲罰権を濫用したものとして無効となります。

減給

減給は従業員の給与を減額する処分です。減給も懲戒処分なので、懲戒処分の合理性と社会通念上の相当性を担保することが必要です。判例では、「蚊に刺された児童の手当をしていた時に、他の児童を見失った職員に減給処分した保育園」に対して、減給処分を無効とする判決が出ています。

戒告

戒告 は懲戒処分の中でも軽い処分です。給与が減ったり、出勤停止になったりすることなく、企業の秩序に違反した従業員に対して口頭で注意するのが戒告処分です。

公務員の処分の種類

公務員にも民間企業のように懲戒処分の種類があります。国家公務員法では免職、停職、減給、戒告の4種類が定められています。

免職

免職は、公務員の職を失わせる懲戒処分のことです。民間企業の解雇に値します。

停職

停職は、公務員としての職を有しながら出勤を停止する懲戒処分をいいます。民間企業の出勤停止と同じです。停職の懲戒処分を受けると、公務員は給与を受けることができません。

減給

減給は、公務員の給与を減額する懲戒処分のこと。民間企業にも減給がありました。継続的な減給ではなく、一時的な給与の減額処分となります。

戒告

戒告は、公務員に対して注意する、戒める等の懲戒処分です。民間企業の戒告と同じ意味の懲戒処分です。

まとめ

処分には「不要なものを捨てる・売り払う」「ルールに反した人を処罰する」の2つの意味がありました。ビジネスで使う場合にも2種類で使うことができます。人事では「ルールに反した人を処罰する」という意味の懲戒処分の使い方を知っておく必要があります。記事では懲戒処分について、事例を用いて説明しています。公務員の懲戒処分については、民間企業の懲戒処分との関係性を踏まえて説明しました。

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