シェアードサービスとは?メリット・デメリット・導入企業例を解説

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シェアードサービスとは?

シェアードサービスとは、複数の企業の間接部門を1社に集約させることをいうビジネス用語です。大企業によってグループ全体の間接部門の集約化を目指したものがシェアードサービスです。シェアードサービスの内容や目的、BPOとの違いを説明します。

アウトソーシングの1つ

大企業にはたくさんのグループ企業があり、グループ企業の数だけ間接部門もあります。グループ企業の間接部門の中の特定業務を1社にアウトソーシングするのがシェアードサービスです。間接部門といっても人事、経理、法務等多くの部門がありますので、以下の事例からイメージをつかんで下さい。

大企業A、グループ企業B・C・D社の給与計算業務をE社に集約することがシェアードサービスとなります。シェアードサービスはグループ内に作られることが通常です。事例ではE社がグループ企業全体の給与計算を一括して行います。

シェアードサービスの目的

シェアードサービスの目的は業務効率化すること。前述の事例のように、E社に給与計算業務を集約できれば、グループ企業からは給与計算業務がなくなります。給与計算や社会保険手続き等を全てE社に任せることができます。シェアードサービスに対する報酬は発生しますが、給与計算業務にかけていた人件費をカットし、給与計算業務に携わっていた人材を他の業務に配置転換させることができます。

シェアードサービスとBPOの違い

シェアードサービスと似たアウトソーシングサービスとして BPO(Business Process Outsourcing)があります。シェアードサービスは間接部門の中の特定業務をアウトソーシングするのに対して、BPOは人事、経理等の特定の間接部門全てをグループ企業や外部企業にアウトソーシングするという違いがあります。

シェアードサービスのメリット

シェアードサービスのメリットとして3つ紹介します。

・コスト削減
・業務の品質改善
・グループ経営力の向上

コスト削減

シェアードサービスの目的である業務効率化を追求すれば、コストを削減できるというメリットが得られます。シェアードサービスにアウトソーシングする業務量が多ければ多いほどコスト削減のメリットを享受できるといえます。業務量が多い事例で見てみましょう。

採用担当者5人で年間100名の採用業務を行っていた企業があるとしますね。シェアードサービスに採用業務をアウトソーシングすれば、5人分の人件費が浮きます。1人あたりの年収が600万円とすると3,000万円の人件費を削減でき、5人を別の業務にシフトすることが可能です。採用にかかる求人広告費用やエージェントへの報酬、会議室の維持費用、通信費用も全て削減できます。

業務の品質改善

シェアードサービスによって、人材を他の業務にシフトすることができれば業務の品質改善が期待できます。採用業務に携わっていた5人を間接部門に分散させるとしましょう。3人を人材開発に、残り2人を法務に分散させることで、人材開発と法務業務の品質が高まる効果があります。

ただし業務の品質改善が期待できるのは、採用業務に携わっていた5人が人材開発と法務への適性がある場合です。他業務への適性がある人材を配置することで、品質が向上する効果を期待できるのです。

グループ経営力の向上

業務効率化を目指してシェアードサービスを実行、グループが一体となることでグループ経営力の向上を図ることができます。事例を用いて説明しましょう。

シェアードサービスの対象業務にはIT業務も含まれます。アプリの開発を主力事業としているグループ企業が一体となって、アプリ保守・管理やヘルプデスク等のシェアードサービスを行ったとします。そうするとグループ企業全体でアプリ開発に注力することができ、グループ経営力の向上を図れるのです。

シェアードサービスのデメリット

シェアードサービスにもデメリットがあります。2点を紹介します。

間接部門のプロフェッショナルが不在

間接部門をシェアードサービスにアウトソーシングすることで業務効率化を目指せます。一方で間接部門のプロフェッショナルが育たないことにもなりかねません。例えば経理業務をシェアードサービスします。経理は専門性が高い業務で、税法の仕組みや決算業務に精通しなければこなせません。シェアードサービスを利用することで、いつまでも自社内にプロフェッショナルが育たなくなるデメリットがあります。

M&Aによるシェアードサービスの混乱

M&Aによるシェアードサービスに混乱を招くことも、デメリットの1つです。M&A(合併・買収)によって新たにグループ企業が増えたため、間接部門をシェアードサービスにアウトソーシングすることもあります。しかし、間接部門にはそれぞれの企業のやり方や文化があります。M&Aをしたからといって無理に間接部門をシェアードサービス化すると組織の混乱を招きかねません。

シェアードサービスの導入ポイント

シェアードサービスの導入ポイントを解説します。初めてシェアードサービスを導入する場合のポイントに絞って説明します。

対象業務を選択

大企業がシェアードサービスを導入するにあたって、まずは対象業務の選択から始めます。シェアードサービスのメリット・デメリットを考えつつ、メリットの「グループ経営力の向上」でも説明したように、シェアードサービスを行うことでグループ内のシナジーがどれだけあるかについても考え、対象業務を選択して下さい。

企業によってはグループ企業が数100社ある場合もあります。また、業種も様々である場合が多いでしょう。シェアードサービスを導入するグループ企業はどこからどこまでなのか、しっかりと考えながらスタートさせましょう。

システムの標準化

シェアードサービスを導入するにあたってシステムの標準化が必要になります。システムはITシステム・社内規程・仕事の進め方等、多岐にわたります。アウトソーシングする業務を決め、グループ企業の選定を終えた後は、システムの標準化を目指したシミュレーションに着手します。

シミュレーション実施後はいよいよシステムの標準化を実際に進めることになります。シェアードサービスのプロジェクトはグループの親会社とシェアードサービス企業が主導になって進めます。シェアードサービス運用に向けて、企業間で綿密な連携を取ることがポイントとなります。強引にシステムの標準化を進めず、グループ企業の意見を取り入れながら丁寧に進め、シェアードサービス企業に業務をアウトソーシングして下さい。

シェアードサービスの導入企業例

シェアードサービスの導入企業例として4社を紹介します。

P&G

P&Gは世界最大の消費財メーカーで、グローバルにビジネスを展開しています。P&Gはシェアードサービスを通じて、80か国以上のグループ企業の間接部門を集約しました。

花王

花王のシェアードサービスでは、支払業務を1社に集約しています。花王のシェアードサービスは、グループ企業ではなく外部企業であるIBMにアウトソーシングしている点で特徴的ですね。

オリックス生命保険

オリックス生命保険のシェアードサービスでは、2つに分かれていた基幹業務システムを1つに集約しました。集約先は外部企業です。オリックス生命保険では基幹業務システムを一元管理することで人員のシフトが可能になったり、使い勝手が良くなったりする等のメリットを受けることができました。

大和ハウス工業

大和ハウス工業のシェアードサービスでは、グループ企業がそれぞれ行っていた経理業務を大和ハウス工業に集約しました。また、取引先への支払通知書の印刷業務や残高確認書の入力の業務の集約も行いました。これにより、必要な経理データを用意するだけで取引先に確実に書類が届くように効率化されました。

まとめ

シェアードサービスは複数のグループ企業が個別に行っていた間接部門の特定業務をアウトソーシングすること。業務効率化を目指すシェアードサービスを導入することにより、コスト削減・品質改善・グループ経営力向上等が期待できます。