日本のバブル経済と共に流行した花金という言葉。現代でも、SNSで花金という言葉を目にするようになってきました。土日休みの社会人にとって、金曜日は羽根を伸ばすことができる開放的な日です。記事では、花金の意味や由来、現代では花金をどう過ごしているのか?について解説します。
花金とは?
花金とは「花の金曜日」を略した言葉です。土日休みの社会人が「金曜日は思いきり楽しめる日」という意味を込めて、花金と呼び始めたのがキッカケです。
遅い時間まで遊んでも、翌日が休日だと思えば羽根を伸ばして楽しむことができるでしょう。1週間がんばって働いた分、金曜日を楽しむという日が花金なのです。
華金との違い
「はなきん」は華金と書く場合もあります。華金も花金も、どちらも金曜日に思いきり楽しめる日という意味です。
ただし華金の場合は、花金よりもグレードが高い楽しみ方をするときに使うのが一般的。例えば普段の花金なら恋人と居酒屋で過ごしますが、華金では高級レストランで贅沢なひとときを過ごすときに使います。
花金の由来
そもそも花金という言葉の由来は、1980年代にさかのぼります。
現在では当たり前のように週休二日制が浸透していますが、1980年代までは、社会人の休みは日曜日だけでした。しかし、満足に休むことなく働いても生産性が高まらないのではないかとの懸念から、企業には週休二日制が浸透していくようになり、土日が休日となったのです。
そして週休二日制が浸透していく中で花金という言葉が生まれました。もっとも週休二日制は法制化されているわけではありません。ただ、法律では、労働時間が1週間に40時間以下、1日で8時間以下と定められていることから、週休二日制が浸透していったといえます。
花金を楽しむ理由
社会人が花金を楽しむのは、翌日から休日であることと、休日であるために夜更かしできることの2つの理由があります。詳しく見ていきましょう。
翌日から休日であるため
翌日から休日だと金曜日から土日にかけて休みを活用できます。例えば金曜日から旅行に行くことも可能です。定時の17時に会社を出れば1泊2日の旅に出られます。
土曜日はフルに遊んで帰宅したとしても、翌日は日曜日なので身体を休ませ、月曜日に備えることもできるでしょう。 翌日から休日だと、家族や友人との過ごし方も効率的になります。
金曜日には友人とお酒を飲んで、土曜日は子どもとピクニックに行き、日曜日は家事や自分の趣味に興じて過ごす。このように、休日を様々に過ごせるのが花金を楽しむ理由なのです。
夜更かしできるため
翌日が土日だと開放感があり夜更かしできます。終電まで会社の仲間と飲んでも、翌日が休日なら心置きなく楽しめます。夜通し遊んだり徹夜でドラマを1シーズン見たりしても、翌日から土日であれば「土日に1週間の疲れを取れば良い」と考えることでしょう。平日にはできない夜更かしできることが花金を楽しむ理由です。
花金とプレミアムフライデーとの違い
花金と似た言葉にプレミアムフライデーがありますが、プレミアムフライデーとは「月末金曜日」に15時に仕事を終えて個人消費を促すキャンペーンです。
花金は毎週訪れますが、プレミアムフライデーは月末にならないと訪れません。また、花金には政府との関わりはありませんが、プレミアムフライデーには経済産業省が働き方改革の一環で消費を後押しするキャンペーンという違いがあります。
花金とバブル経済
花金は、1980年代頃に、週休二日制の浸透と共に生まれた言葉でした。そして花金は日本のバブル経済とも大きな関係があり、バブル経済終焉と共に死語となった言葉でもあります。詳しく見ていきましょう。
日本のバブル経済とは?
バブル経済とは、株価や不動産価格が実体経済と乖離して大きく高騰する経済状況をいいます。バブルとは泡のことで、価格が高騰する根拠が薄く、しかも泡のようにはじけて価格が急落することからバブル経済と呼ばれています。
日本のバブル経済は1980年代後半がバブル経済と呼ばれる時期です。バブル経済の発端となったのはプラザ合意で、米国のドル高を是正することで当時のG5の意見が一致したのです。しかしプラザ合意のために日本は円高が大きく進行し円高不況となりました。
日本銀行が低金利政策を打ち出したことでマネーが市場に流入、株価や不動産の資産価格の高騰を招き、バブル経済が起こったのでした。 バブル経済による資産価格の高騰は実体経済と乖離しているため、いつかはじけます。
ちなみに日本のバブル経済の崩壊は1990年頃。株価と不動産価格の下落と共に経済が急激に冷え込み、バブル崩壊後の20年間は失われた20年と呼ばれています。
経済不況と共に死語となった花金
バブル経済と共に花金は流行していきました。
「お酒を飲んで食事をする」「クラブで踊る」「テーマパークで遊ぶ」「旅行に行く」「高級な洋服やバッグを買う」「高級ホテルに泊まる」…といった華やかな行動がありふれるようになります。
土日休みの社会人だけでなく、全ての社会人が花金を過ごすことができた時代です。 しかし、バブル経済はいつかはじけます。1990年のバブル崩壊と共に経済が不況になるとお金を使う余裕がなくなり、花金という言葉は死語となっていきました。
SNSで使われる花金
死語となった花金が再注目されたのはSNSがきっかけです。SNSで若い人が花金を使うようになっているのです。
花金は1980年代の言葉ですから、若い世代は、日本人が花金を謳歌した時代を知りません。しかし時代を知らないからこそ、花金が新鮮な言葉に見えるのでしょう。
翌日が土日休みの若い社会人にとっては、SNSを使って「花金に何をして過ごす?」と考え、使うようになってきているのです。
「現代」の花金の過ごし方の例
バブル経済で使われた花金と比べ、現代の花金の過ごし方は質素になっています。現代ではどのように花金を使っているのでしょうか。過ごし方の例を紹介します。
自分のことのためにお金を使う
現在の花金はお金をたくさん使うというよりも、自分のことのためにお金を使います。趣味を楽しむ、フィットネスジムで身体を鍛える、英会話やプログラミングのスクールに通うなどのように自分のために使います。
仲間とランチや飲み会を楽しむ
現在の花金では、早めに仕事を切り上げて家族や仲間とランチを楽しむ、あるいは飲み会を楽しみます。
バブル経済の花金と違って華々しくお金を使うわけではありませんが、気の置けない関係の友人や知り合いと会話や食事を楽しむのです。子どもがいる人なら配偶者と2人だけで外出することで、日常とは違った楽しみ方をします。
自宅で飲み会を行う
お店で食事やお酒を楽しむのではなく、自宅に仲間を呼んで飲み会を行うことも現在の花金の過ごし方です。
居酒屋やレストランに行くとどうしてもお金がかかりますが、自宅で飲み会をすれば安く済ませることができますね。できるだけ質素に楽しむという点で家飲みは現在の花金らしい過ごし方といえます。
まとめ
1980年代から週休二日制が始まり、1980年代後半からのバブル経済によって花金が浸透するようになりました。
バブル崩壊によって花金を使うことはなくなりましたが、最近は、バブル経済を知らない若い世代がSNSを通じて花金を使うようになっています。
バブル経済時代と違い、現在の花金の使い方は質素ですが、自分のため、あるいは仲間と過ごすために花金を有効に使っています。