企業のホームページでもよく見かける「経営理念」とは、創業者や経営者が掲げるモットーです。
短い言葉でも心に残り、企業の姿勢や社員の行動指針ともなる大切な役割があります。
今回は、改めて経営理念の意味や作り方のポイントを解説していきます。
経営理念とは何か
経営理念とは、企業の創業者または経営者が示した企業の経営における価値観や考え方です。
顧客や社員に向けて経営理念を発表することで、企業の存在意義、行動規範、経営姿勢を示して企業の社会的責任を示しています。
経営理念の役割
企業が経営理念を設定する目的は、社会に企業価値やブランドイメージを高めるためです。
どの業界も時代の流れの影響を受けるので、企業の存在意義は変化していきます。
昭和、平成、令和と時代の移り変わりにより、経営理念も変えていく必要性があります。
経営理念は会社のモットーでもあり、社会や従業員に浸透させるために時間をかけて設定されます。
経営理念を多くの人に共感してもらえると、企業イメージが良くなり、優秀な人材の確保にも繋がるのです。
企業理念、ビジョン、ミッションとの違い
経営理念と同じような言葉にビジョンとミッションがありますが、何が違うのか見ていきましょう。
ビジョンとは、企業の目的、企業の将来、見通しや構想など、今後の未来像を表しています。
ビジョンを聞けば、従業員全体は会社が一体どこへ向かっているか確認することができるでしょう。
一方で、ミッションとは、企業活動においては企業が果たすべき任務や使命を表しています。
全従業員は、優先してやるべきこと、取り組む課題はミッションを見れば再確認することができるのです。
ビジョンやミッションは時代の移り変わりによって変わっていくため、経営理念よりも早いスピードで再設定されます。
企業理念は、創業者の大切にする意思や信条、会社に託した想いが現れており、もっと深い意味を持ちます。
経営理念はなぜ必要なのか
ここからは、経営理念はなぜ必要なのかを考えていきましょう。
経営理念は、企業からの社会へのメッセージでもあり、企業のホームページや企業パンフレットのトップに掲載されることが多いです。
短い文であっても業界において企業の考え方や価値観が伝わりやすく、社会的に共感してもらうことができます。
企業側としてもオリジナルの経営理念を伝えることで社会的使命を感じて責任持って業務に取り組むことができるのです。
インパクトに残る経営理念を掲げれば、多くの人から親しみを持ってもらえて、企業価値を高めることができます。
そして、最終的に企業の利益と繋げることができるのです。
経営理念を見れば、会社の存在意義、目指す方向性がすぐに分かるので、全従業員に示す組織の行動指針にも活用することができます。
経営理念を英文で作成する必要性
近年は、急速なグローバル化により、英語で経営理念を掲げる
日本企業も増えてきました。
たった一つのインパクトのある経営理念が大きなビジネスチャンスに繋がると考えると、英語のモットーを決める価値は十分にあります。
多くの欧米企業では、経営理念を「アクションガイドライン(Action guidelines)」や「アクションアジェンダ(Action agenda)」として設定しています。
企業の行動指針として、全従業員が行動すべきことを明確に掲げているのが特徴です。
経営理念を英文で作成するメリットは、外国人もその企業は何を目指して経営しているのかすぐに理解できることです。
社名を聞いても何の業界でどんな商品・サービスを取り扱っているか分かりませんが、経営理念を見ればすぐに理解してもらえるでしょう。
グローバル化を視野に入れた事業拡大を目指すならば、英文の経営理念を設置する価値はあります。
経営理念の作り方
経営理念には、社会的なメッセージ、従業員への行動指標にもなることがわかりました。
では、経営理念を作成するには、何をポイントにすればよいでしょうか?
全従業員に納得してもらえる素晴らしい経営理念を打ち出すには、以下の4つの要素を意識して作成することがポイント。
▼経営理念の作り方4つのポイント
理想像、未来像、見通し(ビジョン)
使命、任務(ミッション)
評価、価値(バリュー)
道、手順、流儀(ウェイ)
大切なことは、創業者・経営者・社長の想いを形にすることです。
▼改めて考えること
だれが
何のために
誰に対して
何をするのか
この会社の存在意義、会社を運営する目的、将来どうなっていたいか、どう社会貢献できるか、などを総合型にまとめます。
作り方のポイント
経営理念の作り方4つのポイントを元に作成したら、この先10年、20年、30年、40年、50年後も、経営理念を熱く語れるかどうか考えてみてください。
時代の流れが変わっても、経営者・社長が変わっても、経営理念を受け継ぐことができるかどうか…。
企業が事業活動を続けている限りは、経営理念は全社員にとって行動規範として重要な役割を果たすので幅広く共感してもらえる内容にしましょう。
経営理念の例文(日本語)
今や世界を代表するグローバル企業に大成長したトヨタ自動車は、公式ホームページにて社長のコメント付きで、経営理念の思いを伝えいます。
「経営理念 トヨタはクリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、国際社会から信頼される良き企業市民を目指しています。」
参照:TOYOTA 経営理念
https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/
社内向けの指針は「社会における私たちの活動」、外部向けの指針は「私たちと社会」を示しており、トヨタ自動車の行動指針となっています。
「社会における私たちの活動」では、法令遵守や環境への取り組み、生産活動における指針が示されています。
「私たちと社会」では、株主、関連官庁、防災などの活動に対しての指針が表明されており企業広報活動を表しています。
経営理念の例文(英語)
アメリカシアトル発のスターバックスコーヒーは、日本でも飛ぶ鳥を落とす勢いで全国的に店舗を拡大中。
企業理念であるOur Missionは以下の通りにシンプル路線で掲げています。
「人々の心を豊かで活力あるものにするために―ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
参照:スターバックス 経営理念
https://www.starbucks.co.jp/company/mission.html
さらに、スターバックスコーヒーではOur Missionを達成するための5つの行動指針をValuesとして明文化しています。
社内ではこのOur Mission and Valuesを体現するために以下の3つの「スタースキル」を掲げて、全従業員が日々のコミュニケーションを行っています。
▼スタースキル
自信を保ちさらに高める
相手の話を真剣に聞き、理解する努力を怠らない
困ったときには助けを求める
スターバックスコーヒーは離職率が低く、一度入社したら「ずっと働きたい」と感じている人気の職場でもあります。
しっかり経営理念を掲げて、従業員の共通理解を得て、社会的なメッセージになったからこそ、企業ブランドのイメージアップに役立ったと言えるでしょう。
まとめ
今回は、経営理念の意味や目的、作り方のポイントをご紹介しました。
この機会に、将来のためにも、もう一度経営理念について見つめ直し、再設定を検討してみてはいかがでしょうか?