現代の日本においては大小様々な企業が存在していますね。そんな中、「働き方改革」という言葉を皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。そこで今回は、どのような企業が「ブラック企業」なのか、さらには就職をおすすめしない業界などについてご紹介していきます。
ブラック企業とは
ブラック企業の定義は様々ですが、一般的には低賃金や長時間労働、残業、達成不可能なノルマを課すなど企業側のコンプライアンス意識が低い企業のことをさします。また、離職率が非常に高いことも、ブラック企業と呼ばれてしまう条件のひとつです。
ブラック企業の特徴10選
次に、ブラック企業の特徴について詳しくご紹介していきます。
残業が多い
「Vorkers」の実施した、企業で働く6万8000人への調査によると、月の平均残業時間は47時間となっています。ちなみに月の残業時間が30時間以上の人が半数を超えていました。これでは何のための定時なのかわからない状態です。例えばプロジェクトなど納期切迫している仕事があり、その時期だけ残業しなくてはならないといった理由なら良いですが、毎月の残業時間が30時間以上という場合はブラック企業である可能性が考えられます。
休日出勤が多い
多くの企業が週休2日制などを取り入れている中、週末の休みを返上して出勤させられている会社も少なくはありません。その場合でも代休を取れれば良いですが、代休さえも取らせてくれない会社もあります。
また、わざわざ休日に招集をかけられて、社内の親交を深めるイベントなどを開催している企業も存在します。「これは仕事ではないから勤務にしない」と賃金の支払いはなく、逆に会費などを支払わなければならないこともあります。
残業代が支払われない
求人票でよく目にする「みなし残業代」とは、通常「○時間分の○円を含む」などと明記しなくてはなりません。また、みなし残業代として設定されている残業時間を超えた場合は、追加で支払う義務があります。どれだけ残業しても追加分の残業代が支払われないようなら、ブラック企業の可能性が高くなります。
パワハラ・セクハラがある
パワハラ・セクハラといったハラスメントが蔓延している企業もブラック企業と言えるでしょう。ハラスメントに性別は関係ありません。現代の日本においては数え切れないほどのハラスメントに溢れています。ハラスメントを受けて、上司等に相談しても改善されない場合は、ブラック企業の仲間入りをしてしまう可能性があるでしょう。
精神論、上限関係が強い
中高年の方が比較的多く在籍する会社によく見られる、精神論が強すぎる指導方法が問題になっています。これは「頑張れば何だってできる」「信じることが大切だ」などといった、人間の精神力だけで難関をクリアさせるような指導方法です。
また、上下関係が異様に強い会社もブラック企業の可能性が高いです。「社長や上司からの指示は絶対」といった、いわゆる体育会系の人間関係が出来上がっている会社は、部下が「指示に従わなければ怒られる」と怯え、場合によっては不正行為などにも繋がってしまう危険な状態です。
労務管理がずさん
残業していても定時でタイムカードを押させることや、過労で倒れてしまうほどの長時間労働など、労務管理がずさんな企業はたくさんあります。定時内では絶対に終わることのないノルマを課せられたりと、このような行為が労働者の労働意欲をことごとく削ぎ落としている状態です。
離職率が高い
離職率が高いこともまたブラック企業の大きな特徴です。長時間労働やハラスメントなど様々なトラブルが原因で、入社してまもない状況でも転職してしまう若者が多くなっています。こうして離職率が高くベテランのいない会社は、社内の平均年齢もどんどん下がってしまうことも特徴と言えます。
就業規則やルールが曖昧
就業規則は社員の働き方を守ってくれる大切な役割を持っています。しかしこの就業規則が曖昧だと、会社側も社員側もお互い自分にとって都合の良いようにルールを理解してしまい、トラブルの元になる場合があります。こういったトラブルが起きた時に、大抵、個人が会社よりも弱い立場にあるため、悔しい思いをすることになるわけです。したがって、曖昧な就業規則やルールを設けている会社はブラック企業の可能性が考えられるでしょう。
有給取得率が異常に低い
有給休暇を年10日以上支給している企業は、年5日以上の有給を取得させなければならないと2019年4月に法改定がありました。しかし、ブラック企業の可能性が高い会社は、会社の都合でシフトを調整したり希望の日時を一向に取らせてくれない場合があります。また、体育会系の社風がある会社では、有給休暇の希望を出すと「仕事に対してやる気がない」などと悪い評価をされてしまうところも少なくはありません。
退職させてくれない
退職の希望を上司に伝えた時に、様々な理由で退職させてくれない会社も存在します。例えば、「今やめられたら仕事がまわらない」や「仕事が他の人に振り分けられて迷惑がかかる」など退職しづらい雰囲気にしたり、「今までのお前のミスの損害を給料から引くからな」など脅してくる場合もあります。このようなことを言われてどうしても退職を受け入れてくれない場合は、弁護士などの専門機関に相談することをおすすめします。
ブラック企業に学ぶ就職してはいけない業界とは
さて、ここからはブラック企業が多いと言われる、就職してはいけない業界をご紹介します。
学習塾業界
近年の学習塾業界は少子化に伴い、経営不振に陥り廃業に追い込まれることもしばしばあります。そうした経営不振が人員不足を呼び、管理職でありながら講師をするといった激務に追われてしまう状況も珍しくありません。
また日曜日や祝日は、模試の試験管などで駆り出されたり、定期テストの対策などで教室を開けなくてはならず、大抵休みが取れないのも事実です。
自動車業界(営業)
自動車の人気が高かった昔と時代は変わり、現代の若者は自動車離れが進んでいます。自動車を所有していなくても、電車やバスといった公共機関が豊かになり、不便を感じにくくなってきているからです。そんな時代でも自動車の営業マンは自動車を販売しなくてはなりません。
また、各営業所は少人数で業務をこなしているなか、お客のために休日出勤することも多々あります。身も心も削らないと販売できなくなっている自動車業界はあまりおすすめできません。
ブライダル業界
ブライダル業界も時代が変わってきており、現代は出来るだけ安くシンプルな結婚式が主流になりつつあります。結納などの昔ながらの儀式も行わないことが増えてきており、なかなか収益を見込めない状況になっている結婚式場が多く存在します。また、専門の結婚式場ではなく、小洒落たレストランなどが「ブライダルプラン」などとして気軽な結婚式を取り扱うことも増えてきており、ブライダル業界の競争が激化しています。
また、そうした経営不振で人員不足になり、ただでさえ体力的に辛い社員は、さらに長時間労働を課せられているケースも多いです。
ブラック企業にならないためにどうすればいい?
一度ブラック企業のレッテルを貼られてしまうと、労務管理や労働環境を改善しても負のイメージを拭うことは難しいですよね。そこで大事になるのは、ブラック企業と認定されてしまう前に改善策を施すことです。具体的に企業側が気をつけるべきポイントについてご紹介していきます。
雇用関係の契約・ルールの整備
就業規則や業務上の細かいルールは、常時10人以上の従業員を雇う時には必ず設定し、労働局に提出しなければならないという義務があります。これについては「ブラック社員が就業規則の隙をつき、ズルをするのではないか」などの経営側の意見もありますが、企業の身を守るためにもしっかり細部まで設定するべきでしょう。なぜなら、就業規則が曖昧だと間違ったことをしている社員を見つけても指導することができなくなってしまう場合があるからです。
労務管理の徹底
また労務管理の徹底も行いましょう。労務管理とは、賃金や労働時間など働く上で大切な決まりごとのことです。もし、みなし残業を支給するのであれば、それが何時間分でいくらなのか明確にしておくのも労務管理の一貫だと考えてください。
管理職を中心とした人材育成
人材育成も離職率をあげないために重要なポイントです。上記でも述べましたが、現代の日本は様々なハラスメントで訴えられてしまう時代です。管理職以上の立場の人間が、従業員にパワハラ・セクハラ等を行わないよう徹底指導する必要があります。また管理職等の肩書きを持つ方は40代以上の方が多いかと思いますが、そこで行き過ぎた精神論などの指導が、部下に対して行われないように注意しなくてはなりません。
業務の効率化
全てを紙で印刷しファイリングするといった時代錯誤と言われてしまうような業務は、データベース化するなど、時代の流れに沿って業務効率化を図らなければなりません。一度、業務フローを見直してみてください。
風通しの良い職場環境
「上に立つ人間が絶対」といった社風は取り払って、風通しの良い職場環境を作りましょう。新入社員でも自分の意見を言えるような環境だとやる気も上がりますよね。人間関係を整えることは離職率を下げることにも繋がります。
まとめ
このように、ブラック企業や就職しない方が良い業界は「時代に取り残されている会社」が多いようです。日本人の生活習慣や大切にしているものが昔と大きく変わりつつある中で、今までと同じことをしていては時代に取り残されてしまうのも必然と言えるでしょう。それでは当然経営も厳しくなっていき、「いつのまにかブラック企業となっていた」という可能性も十分ありますよね。
まずは今の時代の流れをしっかりと把握し、企業側はより最適な環境を社員に提供していけるように検討を積み重ねていくことが重要です。そして社員側も正しい知識を持ち、適切に対処できるように備えておきましょう。