この記事ではRPAツールを利用するメリットや、RPAを利用して成功した企業の事例などについて紹介していきます。
なお事例に関しては、自治体、製造業、不動産など、それぞれの業界ごとに様々な事例を6つピックアップして紹介していきますので、自社にrpaを導入しようかどうか迷っている人はヒントになる部分がないか、ぜひチェックしてみてください。
RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automation (ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、定型化できる仕事やタスクを、ソフトウェア型のロボットによって自動化・効率化する概念のことです。Win ActorやBiz Robo!など、様々なRPAツールがありますが、例えばエクセルにデータをコピペして入力したり、毎日の売り上げを集計レポートとしてメール送信するなどの作業を、全て自動化することなどが可能になります。
コストなどの問題で、導入をためらってしまう企業もあるようですが、低予算で簡単に導入できるツールが普及してきていたり、初期投資以上の大きな効果につながる可能性もあるため、様々な企業でrpaの導入が進められています。
rpaのメリット
rpaを導入するメリットは、大きく以下の3つに分けられます。
生産性の向上
RPAを導入するメリットは業務を効率化できることです。単純な作業など、人間よりも機械の方が得意な仕事を、RPAを利用して処理して作業を効率化すれば、その分だけ自分の時間が空くことになり、そういった時間を別の仕事や作業に充てられるようになるため生産性がUPします。
ミスの防止
rpaを導入することはミスの防止にもつながります。人間はどんなに注意して作業していても、ミスをしてしまう可能性がありますが、rpaなどのロボットやソフトウェアは、決められたことを正確に素早く処理できるのが特徴なので、正確性が要求される単純作業はrpaに任せて、あいた分の時間で、別の仕事を担当してもらうほうが合理的です。
人材不足の解消や、スタッフの負担軽減
紹介したように、rpaツールを利用すれば、莫大な単純作業を人間の代わりにミスなく処理してくれるので、人手不足で悩んでいる企業にとってもメリットにつながる可能性があります。とはいえ、rpaを管理するのは人間ですし、仕事内容によっても向き・不向きはあると思いますが、単純作業にも関わらず、作業量などが多くて消耗している場合は、少なくともスタッフの負担軽減にはつながるはずです。
rpaとAIとの違いは?
rpaはルールに沿って単純な作業をこなすことを得意したツールですが、AIは自ら大量のデータを分析して学習し、機能を自ら成長させていくことができます。つまり「自己学習機能があるかどうか」が、両者の大きな違いといえます。
どうらも機械によって自動化するという点では同じですが、作業によってどちらを利用するべきなのか判断する必要があります。
rpaの事例を紹介
自治体の事例:東京都の取り組み
東京都もRPAによる作業自動化の共同実証実験を行なっていて、庁内5局の29業務にRPAを適用したところ、平均で約67パーセント、最大で100パーセント業務時間の削減に成功したとのことです。(実証実験の期間は、2018年10月~2019年3月までとなっており、RPAソフトは「Win Actor」「LuPa」の2つのソフトを利用したとのこと。)
ちなみにWinActorは、NTT DATA が提供するソフトウェアで、WIndowsで操作可能なあらゆるアプリケーション( IE、Office製品など )に対応していて、WinActorを利用すれば指示書作成業務やメールの送信業務などを代行・自動化することも可能になっています。( WinActorについては下の項目で詳しく説明されています。)
製造業の事例:マルコメ
お味噌で有名なマルコメは、ソフトバンクが提供する「SynchRoid」を導入することによって、対応にかかっていた時間を70パーセント削減することに成功しました。具体的には、各卸先のPOSデータ収集に1社あたり約20分ほど時間がかかっていた業務が、RPAを導入することによって1社あたり約5分でデータ収集できるようになったそうです。
参照:ソフトバンク より
サービス業界の事例:株式会社 日本ファシリティ
株式会社日本ファシリティは、札幌に本社を構える、設立約30年ほどの中小企業です。こちらもソフトバンクが提供する「SynchRoid」を導入することで、年間約6万件発生する事務処理を効率化し(基幹システムに報告書を登録する作業など)、トータルで2000時間以上の業務時間削減に成功したそうです。
不動産の事例:東洋ビルメンテナンス
東洋ビルメンテナンスも、ソフトバンクが提供する「SynchRoid」を導入することで、単純な業務の効率化に成功しており、内勤スタッフの事務作業をRPAを使って自動化することにより、結果として月に200時間以上の時間削減に成功したそうです。
参照:ソフトバンク より
銀行の事例:三菱UFJフィナンシャルグループ
三菱東京UFJ銀行も、デジタル企画部が、各部門と協力しながら銀行内業務のデジタル化を進めており、RPAを導入することによって、結果トータルで約2万時間の作業削減に成功したそうです。(銀行業務には多くの手作業が残っていて、RPAとの親和性が高いとのこと。)ちなみに以下リンク先の記事で、ロボット化に向く業務の種類やコストのことなどについても触れられています。
保険業界の事例:日本生命保険
日本生命は、約4年で54の業務をソフトウェアロボットに移行したそうです。具体的には、RPAを導入することによって、窓口での住所変更の手続きなどにかかっていた時間を、3分から30秒まで短縮することに成功したといわれています。
RPAソフトウェアを紹介
最後にRPAソフトを5つ紹介します。
Win Actor
Win ActorはNTT DATAが提供するRPAツールです。IEやOffice製品など、WIndowsで操作可能なあらゆるアプリケーションに対応していて、会議の設定や調整作業の効率化など幅広い用途に対応しています。以下のページにデモ動画や導入事例などもまとまっています。
Work Fusion(フリーのRPAツール)
Work Fusion の「RPA Express」は、無料で利用できるRPAソフトですが、ビジネスでも、金融機関から農業など、幅広い業界で導入されているようです。以下の記事にソフトの特徴、RPA Expressを利用して出来る事、インストール方法などがまとまっていますので参考にしてみてください。
Biz Robo!
Biz Robo!は、RPAに取り組みはじめて10年以上のサービスで、国内1000社以上の現場で導入されている実績があります。顧客管理、コールセンター業務、商品登録など、様々な領域に対応していますが、建築業界向けにサービスを提供する株式会社キャンディルの場合は、現場の図面をサーバーに登録する作業などをBiz Robo!を利用して効率化し、年間3万時間以上の余力創出に成功したそうです。
Automation Anywhere
Automation Anywhereはアメリカ企業が提供するRPAソフトで、日本だけにとどまらず、世界の様々な企業で利用されています。ちなみに提供しているサービスは、ロボット(Bot)開発ツールのAutomation Anywhere Enterpriseだけでなく、Bot Insight( 導入効果を可視化するためのツール )やBot Store(ロボットのマーケットプレイス)など、複数の製品を利用できます。
なお、30日間無料で利用することができたり、導入した企業にトレーナーが訪問し、3日間有償でサポートを行うサービスなども提供しています。
NICE Advanced Process Automation
最後に紹介するソフトは、NICE製のRPAツール「Advanced Process Automation」です。単純作業が中心で、ミスなくこなすことが重要になる完全な定型作業はもちろんですが、それ以外にも、完全に自動化を行うのが難しく、人による判断や対応も必要になるような仕事のサポートにも対応しています。
NICE Advanced Process Automation
まとめ
RPAツールは、うまく利用できれば、生産性の向上はもちろん、社員のワークライフバランスがよくなることにもつながったりと、様々なメリットがあります。上で紹介した事例以外にも、様々な事例が公開されていますので、自社に応用・展開できるものがないか、導入を検討している人はさらに情報収集してみてください。