多くの企業が導入している「ナレッジマネジメント」とは、企業内で知的情報を活用し、組織力向上に活かすための経営手法です。
「ナレッジマネジメント」の導入事例を参考にしてさらなる企業価値を高めていきましょう。
今回は、「ナレッジマネジメント」の手法、導入するメリット・デメリットを見ていきましょう。
ナレッジマネジメントとは?どのような手法?
「ナレッジマネジメント」とは、独自の営業ノウハウ、技術情報、顧客情報などを会社全体で共有し、企業が持つ競争力を活性・向上させる経営手法のことです。
企業規模が大きくなる程、情報共有が難しくなるため、機会損失や業務上の障害のリスクがあります。
スケジュール管理や顧客情報などをデータベース化し、全社員が閲覧できるようにすると、効率の良い経営が可能になります。
ナレッジマネジメントと暗黙知
優秀な社員が個人的に持っている、暗黙のうちに作り上げられた営業手法、成功事例など、有益な知識
のことを「暗黙知」といいます。
マニュアル化された営業手法や成功事例は、既存の知識を共有し活用する「形式知」を組織的に共有すやり方です。
「ナレッジマネジメント」導入においては、独自の「暗黙知」が非常に価値のある情報となります。
ナレッジマネジメントの具体例
近年の急速なグローバル化、IT技術の発達により、企業にはスピードが求められるようになっています。
組織における創造性向上を目指すには、スキルを持っている人材が示す暗黙知を社内全体で共有することが重要です。
すぐに役立つノウハウ、有意義に活用できる知恵を
厳選してデジタル化し、ナレッジマネジメントの再構築を図ります。
ナレッジマネジメントを行うメリット
従来は、会議や口頭での共有していた情報伝達はナレッジマネジメントを行うことで、全社員が社内文書、重要事項にいつでもアクセスできるようになります。
営業ノウハウや技術をデータベース化することで、正確性、スピードに優れ、従業員の生産性の向上、企業の競争力を強化に繋がるのがメリットです。
縦割りの組織構成では難しいノウハウを知ることができ、新たなサービスの創造が生まれるきっかけとなります。
カスタマーサービスのナレッジマネジメントは、開発現場や営業部門へ顧客の意見を届けやすく、企業競争力の向上が期待できます。
ナレッジマネジメントを行うデメリットや課題
ハイエンドモデルのナレッジマネジメントツールを導入した場合、年間の費用がかかるのがデメリットと言えます。
また、マニュアル式の企業が一気にチャット、社内SNS、共有のスケジューラーなどを導入した場合、
メリットが生かされるまで時間がかかるのもネック
です。
独自のこだわり手法がある社員は、新しいツールの導入に抵抗を感じる人もいるでしょう。
ナレッジマネジメントの事例
ここからは、ナレッジマネジメントの導入事例を見ていきましょう。
1. NTTデータの事例
2004年4月から、NTTデータは、全社イントラネットの全文検索にナレッジマネジメント「BizSearch」を導入し、情報共有と活用に取り組んでいます。
大量データに対する検索の高速性、関連キーワードによる絞り込み検索機能が社員のナレッジ活用。
システム導入後は、部門を超えて次々と情報交換されるようになり、新しいアイデアや商品開発に役立っています。
2. 株式会社会社 富士総合研究所
株式会社富士総合研究所 (現みずほ情報総研)は
ナレッジマネジメント導入に向けて、超高速・高精度の検索機能を実装した基幹システム「Accela(アクセラ)シリーズ」を採用。
社内外に分散したデータの中から、ユーザーが求める情報を短時間で正確に提示する検索機能を活用しています。
3. アサヒビール
アサヒビールは、グループ会社の全社員が各種情報や業務システムに迅速にアクセスできるように、社内ポータルを導入。
ユーザーのカスタマイズ要望にも柔軟に対応できるように、Outlook上にデジタル・ダッシュボードを使い、低コストでポータル画面を自主作成しました。
今後は既存の業務システムとの連携を目指し、ポータルを育てていく計画です。
ナレッジマネジメントが失敗に終わる理由
暗黙知を社員から集めて形式知にしていくプロセスは手間も時間もかかり、口でいうほど簡単ではありません。
組織にとって価値の高い暗黙知は、わかりやすく、実行や体験のしやすく工夫する必要があります。
人事担当者の配慮が欠けると、社員は暗黙知を活用せずにナレッジマネジメントが生かされません。
社員が積極的に活用できて、今すぐ活用したいと思える仕組みをつくることが重要なポイントです。
ナレッジマネジメントでは、導入するツールの使い勝手が悪いと活用度を下げるので注意が必要です。
社内に点在している知識を融合させ、社員が活用し循環させることで、社員は知識が共有される意義を実感することができます。
ナレッジマネジメントに役立つツール
▼ナレッジマネジメントツールの種類
社内情報の共有を目的としたイントラネット
社外の企業と情報を共有するエクストラネット
膨大な蓄積データを検索できるエンタープライズサーチ
ナレッジマネジメントツールのメリット
▼ナレッジマネジメントツールを導入するメリット
情報活用による社員の意識変化
有益な情報は共有すべきという職場の雰囲気になる
専門知識を有する社員の負担が軽減する
現場や顧客生の声を聞ける
製品開発やサービス向上に役に立つ
ナレッジマネジメントツールを導入する際の注意点
社員のITリテラシーに合わないツールを選んだり、過度なマニュアルを使うと運用率が低くなります。
ナレッジマネジメントツール導入する場合、目的や課題を正確に把握して、自社に適した仕組みを導入することが大切です。
1. Googleドライブ
「 Googleドライブ」は検索エンジン最大手Google社が提供しているオンラインストレージです。
▼特徴
容量無制限のBusinessプラン(1ユーザーあたり月額1,200円)他、事業の規模によって選択できる
全世界で10億人以上に利用されている
法人・個人どちらも利用可能
Word・Excel、pdf、jpg、mp4など多数の形式のファイルに対応
複数の社員で同時に編集可能
セキュリティ対策も万全
2. Kintone
「Kintone」は、チーム全体のスムーズな情報共有を可能にするクラウドサービスです。
▼特徴
社内の情報を共有するアプリケーションを自由に作成
メールやExcelよりも迅速に最新の情報を確認できる
ファイル管理、文書管理、FAQ、案件の進捗、顧客情報、ToDoなどのデータをアプリ上で簡単に共有
全ての従業員規模に対応
3. Accela(アクセラ)
「Accela(アクセラ)」は業務とナレッジ活用の一体化で生産性向上に繋げます。
▼特徴
日々作成される業務コンテンツを「ナレッジ」として一元管理し、その共有・活用を促進
業務フローとナレッジ活用を一体化
「ナレッジ」が現場でどう活用されているか可視化する
4. Dropbox
「Dropbox」はDropbox, Inc.が提供するオンラインストレージです。
▼特徴
全世界5億人以上のユーザー
画像、ドキュメント、動画を保存してURLが自動生成されると、社員同士でスムーズに共有可能
法人向けのプランは1ユーザーあたり月額1,250円から
最大120日間のファイル復元、データの遠隔削除サービスあり
5. Salesforce
「Salesforce」は世界No.1のシェアを誇るSFAです。
▼特徴
顧客情報や商談内容、売上進捗の管理
レポートの自動生成
AI(人口知能)による顧客先への製品レコメンド
ユーザー1名あたり月額3,000円~
まとめ
グローバル化やスピード感が重視される現代のビジネスでは、新たな価値が生み出すことが重要です。
ナレッジマネジメントの導入により得られる知識創造は今まで以上に大きな価値となるでしょう。