近年の少子高齢化に伴い、多くの企業は若手人材の確保が難しく、労働力不足に悩まされています。
業務を効率化して生産性を向上させるには「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」が役立つことをご存知ですか?
「BPO」は業務のコストを削減しつつ、品質を向上させるために有効なアウトソーシングの一種です。
今回は、今注目の経営手法「BPO」の意味やメリット・デメリットについて解説していきましょう。
BPOとは?
「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」とはコスト削減や経営資源の確保のために
実施するアウトソーシングです。
自社の業務プロセスを外部企業に委託することで、
業務が効率化し、生産性がアップに繫がります。
BPOの意味。BPOとは簡単にいうとどんなもの?
BPOは、人事や経理といった業務の全てをアウトソーシングする経営戦略です。
人材派遣や業務代行とは異なり、企業のある部門を丸ごと外部のアウトソーサーへ移管または売却しサービスを継続します。
BPOは、業務や使用するシステム、人材採用など全てを外部企業に委託するのが特徴です。
BPOサービスを導入すると、人材確保や経営資源を投入する必要がなくなり、本業に集中することができ競争力を高まるのがメリットです。
BPO業界の動向
元々は米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)社が業務簡素化を実現するために導入したのが始まりです。
日本においては、バブル崩壊後の不況でグループ経営が推進され、多くの企業がBPOを導入しています。
BPO業界は、今後も多くの企業が業務の集約化、コスト削減などを実現するために導入すると見込んでいます。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOとシェアードサービスとの大きな違いは、サービスの委託先の違いです。
委託先がグループ会社の場合はシェアードサービス、外部の委託業者の場合はBPOとなります。
シェアードサービスの対象となる間接部門は、財務・経理、総務・人事、情報システム、物流、法務、監査などが挙げられます。
BPOのメリット・デメリット
BPOを導入する上でどんなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
BPOのメリット
BPOを導入するメリットは、コスト削減、業務効率化、品質向上が挙げられます。
業務プロセスの全てを委託するため、自社でやるべき業務、外部に任せるべき業務を明確に分けることで生産性が向上し、売上アップにも繋がるのです。
専門的な知識やノウハウを持つ外部企業に委託すると品質向上、リードタイムの短縮といったメリットも期待できます。
自社のマネージメントから業務プロセスの運用、管理、設計、トラブルの対応を切り離すことにより、
本業に集中し競争力を強化するのがメリットです。
BPOのデメリット
外部企業に自社の業務の運用から管理まで全てを委託した場合、業務のコントロールが失われます。
業務全体を把握できなくなる可能性があるので、委託先の管理能力を事前に見極める必要があります。
委託してからも進捗を把握するようにするチェック体制が必要です。
また、BPO導入において情報漏洩などセキュリティ面のリスクがデメリットと言えます。
信頼できるBPOサービス業者に依頼するためにセキュリティポリシーを確認して、しっかり見極めることが大切です。
BPOの対象になる事業領域
BPOは、元々はIT・製造事業を中心に導入されていましたが、近年は幅広い事業領域でマーケットシェアを広げています。
人材採用・育成
人材採用・育成では、教育体系の構築、研修受講者の管理、研修効果の測定が挙げられます。
経理・総務・事務
管理部門(経理、人事、総務)に関連する業務は小口精算業務、月次試算表作成、伝票記帳、売掛金管理、備品管理、名刺管理などが挙げられます。
受付業務
受付業務は、来客応対、給茶対応、代表電話取次、来客者情報の管理、報告など。
コールセンター業務
コールセンター業務は、オペレーション対応、問い合わせ内容と対応履歴の記録、管理、報告など。
データ処理など
データ処理は、スキャニング、データ入力、エラーチェック、データクリーニング、集計、分析、伝送などが挙げられます。
BPOの事例
ここからは、BPOの成功事例を見ていきましょう。
流通会社
全国2,300か所以上の加盟店からのお問い合わせや
自社基幹システムの監視・運用などを全て対応していました。
休日・夜間でも従業員の運用体制が必要でしたが、
業務負荷を軽減するためにコールセンターサービスを導入することに。
情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減することに成功し、社員のコア業務へ集中、運用コストの削減を実現しました。
サービス業
業務のコスト最適化、社員の高度な業務へのシフトのために営業事務のアウトソーシングを導入。
営業機能強化を目的とした営業事務アウトソーシングは、請求書発行、債権計上、費用支払管理、債務計上からプロジェクト収支管理支援、見積り書・提案書などが挙げられます。
結果的に業務全体の効率運用アップ、お客様の負荷工数を削減することに繋がりました。
携帯電話ショップのテクニカルサポート
スタッフの技術・知識不足、お客様との対応時間が減り販売機会を失った携帯ショップ。
スタッフのサポートと情報共有のためにテクニカルサポートセンターの構築をすることに。
スタッフのトレーニング、定期テストを実施してスマートフォンの情報を更新・共有化に徹底しました。
お客様対応時間は大幅に短縮され、効率的な店舗運営が可能となり、新規顧客獲得による売上拡大、顧客満足度を向上に繋がりました。
BPOのポイントや注意点
これからBPOを取り入れる場合、どんな注意点に気をつけるべきかポイントを見ていきましょう。
導入後の運用体制までしっかりとイメージしておく
何のためにBPO導入するのか、目的をはっきりさせて、目標とする運用体制をイメージすることです。
経営資源をコア業務に集中させたい場合は、中期経営計画等で注力分野を定めます。
プロジェクトの責任者から、アウトソーシングを導入する目的を社員にきちんと説明することが大切です。
コストや費用対効果をしっかりと計算する
費用対効果が期待できるBPO事業者を選ぶことは重要なポイントです。
自社が求める業務の品質を保つことができるか、想定外のリスクに対応を見込んだ費用かどうか確認しましょう。
各費用の内訳について、明確に説明できる事業者は安心して業務を委託できると言えます。
複数のサービスを比較して依頼するところを決める
BPO事業者を選ぶ際は、複数のサービスを比較して依頼するサービスを決めることをおすすめします。
BPO事業者のホームページには対応する業務や得意分野を公開しています。
BPO化しようとする業務に適しているか、自社の良きパートナーになり得るような事業者か見極めることが大切です。
業務の実績がある事業者は安心して委託化を進めることができるでしょう。
まとめ
今回は、BPOの導入メリット・デメリットや注意点についてご紹介しました。
BPOは、経営資源の配分により大幅なコストダウンが見込めるのが最大のメリットです。
経営戦略の一つとして導入されていますが、自社が持たないノウハウを活用できるため、メリットは多いです。
マーケティング担当者の方は、本業に集中するためにもBPOサービスを最大限活用してみてはいかがでしょうか。