帰属意識の意味とは?企業への帰属意識を高めるための施策について紹介

帰属意識の記事
企業の人手不足が叫ばれる中、従業員の帰属意識の向上に注目が集まっています。従業員が離職しても容易に人材を確保できないため、今いる従業員の帰属意識を高めて企業の組織力を高めることが求められています。帰属意識を高めるメリットや、帰属意識をどのように高めるための施策について紹介していきます。
目次

帰属意識の意味とは?

帰属意識の意味とは?
帰属意識とは、集団に属している感覚を言う心理学の用語。ビジネスで使う時は、企業に属している感覚を言います。帰属意識は「帰属意識を高める」とか「帰属意識を低下させる」等のように使います。

集団の一員であるという意識

帰属意識は、「自分が集団の一員であると感じている意識」として使われます。家族・学校・部活動・サークル・企業等の一員として、自分は確かに集団に含まれているという意識を指します。

集団の一員だと感じる意識=帰属意識によって、人は集団に対して愛着を持つようになります。集団への愛着があることで、人は集団のために動くようになるので帰属意識を向上させることは集団と集団に属している人の双方にとってプラスに働く訳です。

企業における帰属意識

帰属意識が集団への愛着を示すと言いましたが、従業員に企業における帰属意識を向上させることができれば、従業員は企業をより良くしたり改善したりするために行動するようになります。そうなれば企業は帰属意識が高い従業員のお陰で、企業の力を蓄えることができるようになるでしょう。企業の明日を考える上で、帰属意識は重要であるゆえんです。

帰属意識が低下した理由

帰属意識が低下した理由
企業における帰属意識の重要性について述べてきましたが、実は、日本企業の帰属意識が低下したと言われます。その理由を4つのポイントで説明していきましょう。

終身雇用制が崩壊した

日本企業の雇用制度と言えば終身雇用制でしたが、近年は崩壊したと言われることがあります。理由として、グローバル化や他社との競争激化により、企業が終身雇用制の維持が難しくなってきているからです。終身雇用制が崩壊すると従業員は定年まで同じ企業で勤務し続けることが難しくなり、離職を余儀なくされます。そうなると企業は自分たちを守ってくれる存在ではなくなるので、帰属意識が低下していくことになります。

企業のビジョンが従業員に浸透していない

企業ビジョンが従業員に浸透していないと帰属意識は低下します。具体的には企業が目指すべきビジョンを示さなければ、従業員は淡々と仕事をするだけになります。そうすると企業の中で個々の従業員は周囲と連携せず孤立しがちとなり、企業に対して給料を稼ぐための集団以上の価値を求めなくなります。

他者に関心がない組織文化である

他者に関心がない組織文化であることもまた、帰属意識の低下を招きます。帰属意識は集団に属している感覚のことを言います。他者に関心がないと集団に対しても関心がないので帰属意識は低下していきます。

帰属意識は必要ない?帰属意識を高める4つのメリットについて

帰属意識は必要ない?帰属意識を高める4つのメリットについて
帰属意識は、そもそも従業員にとって、あるいは企業にとって必要な感覚なのでしょうか。帰属意識が低下するとどうなるか、そして帰属意識を高める4つのメリットについて解説します。

帰属意識が低下するとどうなるのか

帰属意識が低下すると以下の事象が生じます。

・従業員間の人間関係が希薄になる
・離職率が高まる
・個人主義を招き組織目標が達成し難い

企業への帰属意識が低下すると、そこで働いている従業員への意識も低下することになり、結果的に人間関係は希薄化します。また、帰属意識が向上していれば企業の業績が傾いても「立て直してやろう」という気にもなりますが、低下しているとそこで働く意欲も失せ「業績が低下しているなら他社に転職しよう」と従業員は離職してしまいます。

同様に帰属意識の低下は従業員のモチベーションを下げますので、「何とか組織目標を達成したい」というがむしゃらな意欲は出てきません。従って個人主義を招き組織目標の達成はままなりません。

従業員のモチベーションを上げられる

企業への帰属意識が高まると従業員のモチベーションが上がります。企業への愛着が増すので「今よりももっと、企業を良くしたい」という意欲が高まるからです。そうなれば従業員の働くモチベーションが向上し自立的に行動するようになります。

定着率が高められる

帰属意識の低下の事象の裏返しですが、帰属意識が高まれば定着率の向上も見込むことができます。業績が良い時の定着率はもちろんのこと、業績が傾いたとしても企業への帰属意識がありますから「立て直す」ために従業員は企業に残ってくれるでしょう。

人間関係が円滑になる

帰属意識が高まり、企業で働くことの重要性を感じていくようになれば、そこで働く仲間=同僚への愛着も増していきます。結果として、自分が愛着を持つ企業で働く同僚との人間関係が円滑になります。

組織目標が達成しやすくなる

帰属意識が高まればモチベーションを持って働き、人間関係が円滑になります。容易に離職することもなくなるでしょう。そうなると、企業は、従業員に個人の目標を組織目標とリンクさせて考えさせることができます。抵抗感なく個人目標と組織目標をリンクさせることで、企業は組織目標を達成させやすくなるでしょう。

帰属意識を高めるための3つの施策

帰属意識を高めるための3つの施策
帰属意識を高めるための3つの施策を紹介します。

企業のビジョンを共有する

1つ目は企業のビジョンを従業員と共有すること。前述の通り、企業ビジョンが従業員に浸透していないことが帰属意識の低下を招いた理由でした。従って、まずは企業ビジョンの共有が求められます。

従業員の自立性を尊重する

2つ目は従業員の自立性を尊重すること。自立性を尊重すると個人主義を招くのではないかと思われがちですが、自立性を担保しなければ組織に息苦しさが生じむしろ帰属意識の低下を招くでしょう。従って自立性の尊重は重要な施策です。例えば、縦割りの組織であったとしても管理職が何でも決めてしまうのではなく、従業員に意思決定権を持たせる組織に変えていけば自立性は保たれます。

部門間の交流を活発化する

3つ目の施策は部門間の交流を活発化することです。経営陣がいきなり「人間関係を活発化させよう」と思ってもうまくいきません。人事異動等のローテーションはもちろんのこと、組織体制をフラットにしたり垣根のないオフィスレイアウトにしたりすることのハード面の変化を行うことで、徐々に部門間の交流を活発化させます。そうなれば他者に関心を持ち得る組織文化を形成することができ、帰属意識が高まるでしょう。

帰属意識を高めることに成功した企業事例

帰属意識を高めることに成功した企業事例
最後に、帰属意識を高めることに成功した企業事例を見ていきたいと思います。

メルカリ

フリマアプリを運営するメルカリでは、企業のミッションとして「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」を掲げています。そして、働く従業員にはそのミッションを達成するために自立的に働くことを求めています。ミッション達成のために、従業員には以下の行動規範があります。

・大胆にやろう
・全ては成功のために
・プロフェッショナルであれ

ミッションとバリューは人事制度を始めとした人事戦略全般にも生きており、従業員の帰属意識向上に寄与しています。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンは、従業員の離職率が低いことで知られています。『感動経験でお客様の心をギュッとつかむ!スターバックスの教え』という書籍によれば、アルバイトも社長もお互いをパートナーと呼び合うことで対等関係を保っています。人材開発にかける時間も多く、2か月間に渡る研修があります。そうした人事施策が従業員の帰属意識を高めることに繋がっています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントは企業ビジョンを従業員に浸透させることで、帰属意識の向上に繋げています。サイバーエージェントの帰属意識向上への取り組みは真剣で、カルチャー推進室を設けて企業ビジョンの浸透に努めています。カルチャー推進室は社内報を運営し従業員のリアルな成功・失敗談を掲載。従業員の共感や向上心を呼び込むことに成功し企業ビジョンを浸透させ、サイバーエージェントへの帰属意識向上に繋げています。

まとめ

帰属意識のまとめ
帰属意識とは何か、帰属意識を高めるメリットや施策について紹介してきました。帰属意識が低下すると「離職率の低下」「組織目標の未達成」等を招きます。帰属意識をどうやって高めたら良いか、記事を参考にして頂き自社の帰属意識向上に繋げて頂ければと思います。

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