フォロワーシップとは?理論や注目される理由、活用の具体例を紹介

フォロワーシップの記事
複雑化するビジネス環境の中で成果を上げるために、フォロワーシップが大きな注目を集めています。組織が成果を上げるには組織力の強化が不可欠。組織力を強化するためには、リーダーだけでなくフォロワーの自律的支援、すなわちフォロワーシップが必要になります。本記事ではフォロワーシップの理論、フォロワーシップの活用事例について丁寧に解説していきます。
目次

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは
フォロワーシップとは、組織においてフォロワーがリーダーに対して自律的支援を行うことを意味する用語です。フォロワーシップが活きている組織では、成果達成のためリーダーは組織をけん引しますが、フォロワーはリーダーの指示に汲々と従うのではなく自律的に思考して行動することで成果達成に寄与します。

リーダーシップとの違い

フォロワーシップとリーダーシップとの違いは何でしょうか?フォロワーシップは、フォロワーがリーダーを補佐するために自律的に思考し行動することです。対してリーダーシップは、リーダーが組織の成果を上げるために組織をけん引する(方向性を示す)ことを意味します。リーダーシップにおける組織のけん引とは、リーダーが組織目標の大きな責任を担い、成果を上げるためにフォロワーに指導・育成していくことです。

リーダーシップは、フォロワーの仕事を進捗管理しうまく仕事が進んでいなければ側面から支援し、業務遂行のためにフォロワーの能力が不足していれば指導・育成していきます。フォロワーシップは、フォロワーに自律的な思考・行動を求めますが、それはリーダーによるリーダーシップの発揮の下に行われる訳です。フォロワーが勝手気ままに思考・行動することがフォロワーシップではありません。

ロバート・ケリーによる概念

フォロワーシップはカーネギーメロン大学のロバート・ケリーが『指導力革命』の中で提唱した概念です。ケリーは、組織の成果に対してリーダーの貢献は10~20%、フォロワーの貢献は80~90%であることを示しました。

フォロワーシップ理論について

フォロワーシップ理論について
ロバート・ケリーのフォロワーシップ理論を紹介します。ケリーのフォロワーシップ理論はフォロワーを5類型に分けるものです。

フォロワーの5類型とは

ロバート・ケリーはフォロワーの基準として批判力と貢献力に基づき5類型に分類しています。貢献力は組織目標に対して、フォロワーがどれだけ貢献できたかということ。そして批判力は指示に従うだけでなく自らの意見を述べたり行動できたりすること。どちらも高いことが理想的。ケリーは、フォロワーの5類型として以下を挙げています。

・模範型フォロワー
・孤立型フォロワー
・順応型フォロワー
・消極型フォロワー
・実務型フォロワー

貢献力とはリーダーを支援し続いて5類型を1つずつ解説します。

模範型フォロワー

模範型フォロワーは、批判力・貢献力ともに高い理想的な類型です。組織目標の達成に向けて自律的に考えて動くことができるので、リーダー候補にもなり得るフォロワーです。

孤立型フォロワー

孤立型フォロワーは、貢献力が低く批判力が高いフォロワーを指します。批判力が高いだけに問題点を指摘することはできますが、行動が伴いません。結果として組織目標の達成には貢献できないために孤立しがちです。リーダーは孤立型フォロワーに対して実践を促していかないと、行動を伴わない孤立型フォロワーの存在は組織の雰囲気を悪くします。

順応型フォロワー

順応型フォロワーは、貢献力が高く批判力が低いフォロワーです。組織目標の達成に向けて鋭意に努力していきます。リーダーに対して順応します。自らが動くべき指針はリーダーが決めてくれると思っているので、進んで思考しません。

消極型フォロワー

消極型フォロワーは、貢献力・批判力ともに低いフォロワーです。進んで思考することを嫌がり、また、組織目標の達成に向けた貢献度は期待できません。フォロワーシップにおける自律的支援を満足に成し得ないフォロワーと言えます。

実務型フォロワー

実務型フォロワーは、批判力・貢献力がともに中くらいの程度を発揮するフォロワーを指します。本人にとって少しレベルの高い目標を与えることで力を発揮することができます。

フォロワーシップが注目される理由

フォロワーシップが注目される理由
フォロワーシップが注目されている理由を3つに分けて説明します。

組織力を高めるため

リーダーがフォロワーに方向性を示して組織をけん引することで、組織目標の達成に向けてフォロワーが努力を重ねていけるならその組織の将来は安泰です。しかし、リーダーがいくらフォロワーを結集しようとしても、フォロワーが自らの意思で考えたり行動できたりしなければ成果は上がりません。

組織力を高めて組織に真の力を発揮してもらうためにはフォロワーシップが必要なのです。リーダーが24時間フォロワーの状況を綿密に確認していくことは不可能です。従ってフォロワーには自律的にリーダーを補佐して貢献力を高め、時にはリーダーに意見することができるようになってもらいたい訳です。そのためにフォロワーシップが求められています。

メンバーの自律性を高めるため

フォロワー(メンバー)が自律的に行動する組織と、リーダーに思考を依存してリーダーの指示がないと動けない指示待ちの組織ではどちらが組織目標の達成に貢献できるでしょうか?言うまでもなく前者ですね。フォロワーシップが効果的に働けば、フォロワーは自律性を高めて組織目標に貢献することができます。

リーダーがメンバーの能力を引き出すため

フォロワー(メンバー)が成果を上げるために思考して行動し、時にはリーダーに意見するフォロワーシップを発揮すればフォロワーの能力の強みや弱みが分かります。Aさんはどんな能力によってフォロワーシップを発揮しているか。また、どんなところが弱みかが分かります。

能力とは、例えば計画・分析・進捗管理等の思考力やコミュニケーション・プレゼンテーション等の人間関係力の能力のこと。フォロワーシップを発揮すれば、Aさんの強みとなる能力、弱みとなる能力を見極めて強みは引き出し、弱みは強化していくことが可能になります。

フォロワーシップを活用した具体例

フォロワーシップを活用した具体例
最後に、組織においてフォロワーシップをどのように活用しているか、その具体例を見ていくことにします。

フォロワーが組織目標を考えて行動する

フォロワーシップを発揮するフォロワーは組織目標を考えて行動することができます。自分の欲望を優先するのではなく、組織目標を優先し大局的なものの見方できるようになります。これは自らの思考・行動に留まらず、組織内の人間関係においてもフォロワーが銘々に組織目標を考えて行動することができることを意味するので、リーダーはリーダーシップを発揮しやすくなるでしょう。

リーダーに自律的に提言する

フォロワーが自律的に思考・行動するようになれば、リーダーに自律的に提言します。フォロワーシップを発揮するフォロワーは、前述のように組織目標の達成を第一に考えます。従って提言するといっても闇雲な提言ではなく、組織目標に照らしてこんな考え方・仕組みはどうかと提言することができる訳です。リーダー1人では物理的な力に限界がありますが、そこにフォロワーの提言力が加われば成果貢献に役立ちますね。

リーダーの誤りを軌道修正する

リーダーが常に正しいとは限りません。フォロワーシップを発揮することができれば、リーダーの誤りを軌道修正することができます。リーダーが自己の権限をふりかざして暴走したとしても、フォロワーシップがきちんと活用されている組織なら、暴走を止めることもできます。組織崩壊の憂き目を見ることなく、フォロワーシップの発揮により組織は安定的に保たれます。

リーダーの意思決定には従う

フォロワーシップが発揮されている組織では、リーダーがいざ決めたことに対してはきちんと従います。意思決定の権限はリーダーにあることをわきまえています。もちろん、意思決定した内容に誤りがあれば提言し、軌道修正するような発言を行うでしょう。

まとめ

フォロワーシップのまとめ
リーダー単独の力では、複雑化するビジネス環境という難局を乗り切ることはもはや不可能です。フォロワーがフォロワーシップを発揮することで、組織目標のしっかりと達成し成果を上げ続ける組織づくりをすることが期待されます。

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