ビジネスの適材適所とは?意味・求められる理由・メリット・ポイントを紹介

適材適所の記事
ビジネスで適材適所というと人事や経営で使われる用語です。適材適所は、配置転換や昇進・昇格をうまく進めるため、適切な人材を適切な職務・地位・職場に配置することを言います。誰がどの職場に合うのか、誰を昇進させるのか、そういった人材の適材適所を言います。記事では、適材適所が求められる理由・メリット・ポイントを紹介します。
目次

ビジネスにおける適材適所とは?

ビジネスにおける適材適所とは、適切な人材を適切な職務・地位・職場に配置することを意味します。適切な人材と適切な職務・地位・職場とは連動します。例えば、人の話を傾聴することができ、人に提案することができる人材は営業部へ配属する。また、一定の学力を有し、イノベーション的な発想を持ち、論理的に考え抜ける人材は研究開発部へ配属する。このように、どんな職務・地位・職場にどんな人材が適しているのかは連動しているのですね。

適材適所の意味

ビジネスにおける適材適所の意味は、人事異動や昇進・昇格で使われます。人事異動は前述の「適切な人材を適切な職務・地位・職場に配置すること」で説明した通りで、分かりやすいと思います。昇進とは役職に就けることを意味します。昇進で使われる適材適所は、課長にさせるのにふさわしい人材を昇進させるという意味合いで使われます。昇格は等級が上がることを意味しますから、上位の等級に昇格させるのにふさわしい人材を昇格させるという使われ方をされます。

ビジネスで適材適所が求められる理由

ビジネスで適材適所が求められる理由は、人事異動や昇進・昇格で活用できるためです。適切な職務・地位・職場にふさわしい人材を配属するために、適材適所が使われます。職務や勤務地を限定しないメンバーシップ型雇用を行ってきた日本企業にとっては、適材適所を人事管理に活用することは必要条件でした。今後、働き方改革がさらに推進し、職務・勤務地を限定する欧米のようなジョブ型雇用になってくると、適材適所がシンプル化してくるので、適材適所の意味合いもだいぶ変わってくると思います。

ビジネスの適材適所の4つのメリット

ビジネスで適材適所を活用するとどんなメリットがあるか紹介します。

労働生産性の向上

適材適所は、適切な職務・地位・職場にふさわしい人材を配属するために活用されます。そのため、適切な人材が配置されれば職務・地位・職場において力を発揮できる訳ですから、少ない労働投入量で付加価値を出せます。従って、適材適所の活用は労働生産性の向上に繋がるのです。

社員のモチベーションの向上

適材適所を活用すれば、社員のモチベーションの向上に繋がります。能力にふさわしい仕事に適切に配置すれば、社員は自己の能力を磨きあげてより良い仕事をしたいと思うでしょう。自分に合った仕事をし続けることで、仕事そのものが面白く感じられるからです。

キャリアアップに繋がる

適材適所はキャリアアップに繋がります。適切な人材を昇進・昇格させたり、能力が活かせる職務や職場に配置転換させたりすることがキャリアアップに繋がる訳です。

後者は同じ仕事をし続けることだけを意味しません。例えば、技術系の社員が製造部から品質保証部に異動することも、能力が活かせる職務や職場に配置転換させることとなります。つまり、製造部での知識や経験を元に、製品の品質を保ち品質改善に繋げる品質保証部の仕事に活用するのです。品質保証部で成果をあげることができるようになれば、配置転換により、社員は自分のキャリアの幅が広がり、キャリアアップしたと思うようになるでしょう。

リテンション効果

適材適所による社員のモチベーションの向上とキャリアアップにより、会社への帰属意識の向上や定着に繋がりやすくなります。なぜ帰属意識が向上し、定着に繋がるのでしょうか?それは、社員が動機づけられ、キャリアアップすることができる魅力が会社にあるからです。

「自社は良い会社である」「会社に定着したい」という思いを社員に抱かせることは、リテンション効果(人材の維持・定着)が働いている状態。適材適所によりリテンション効果が高まれば、社員は会社を辞めなくなります。必要な人材に離職させず会社に留めておけるのです。

適材適所を阻む壁

適材適所がうまくいかないこともあります。適材適所の活用を阻む壁について解説します。

人事戦略が適材適所と連動していないこと

適材適所の例として製造部から品質保証部に異動するケースを前述しました。このケースにあるように、適材適所の活用は、幅広い経験と視野を持つ人材に育成することが可能です。しかしそれは「適切な人材を適切な職務・地位・職場に配置する」という、適材適所本来の意味で企業が使っている場合に限ります。適材適所をうまく活用するには、人事戦略の元に職務・地位・職場に人材を配置する必要があります。

人事戦略が適材適所と連動していないと、欠員を補充するための配置転換に留まったり、能力を活かせそうもない人材に新たな職場で働いてもらったりと、適材適所とは言い難い運用になります。経営ビジョンの元に人事戦略があり、その元に適材適所が運用されるのです。そういう運用をしていないと、キャリアアップやリテンション効果等を望むことは難しくなってしまいます。

年功序列的な雇用慣行

年功序列的な雇用慣行も適材適所を阻む壁になり得ます。これは適材適所の中でも昇進・昇格において顕著です。例えば年齢が高いからといって管理職としての役割を果たせるとは限りませんよね。管理職としての役割を果たせる人を管理職に昇進させるから、適材適所がうまくいく訳です。年功序列が適材適所を阻む壁となるゆえんですね。

適材適所がうまくいくためのポイント

どうすれば適材適所がうまくいくのか、ポイントに沿って解説していきます。

職能資格制度を改める

職能資格制度は、日本企業において浸透している人事制度です。職能資格制度は、社員の資格等級を能力によって格付けする仕組み。職能資格制度は年功序列制度に代わる制度として現れましたが、実態は、賃金が年功的に上がる仕組みになっています。勤続年数が上がればそれだけ能力が上がることを前提としているからです。年功序列が適材適所を阻む壁ですから、職能資格制度を改めることは適材適所がうまくいくためのポイントになります。

タレントマネジメントに基づいた人材開発を行う

タレントマネジメントは、企業の経営目標を達成するために社員のタレント(能力、才能)に着目し、配置転換や人材開発に資する人材マネジメントのことを指します。タレントマネジメントが対象とする社員は優秀人材です。優秀人材を、彼ら彼女らのタレントが発揮されやすいように人材開発することで企業の組織力をアップさせるのです。タレントマネジメントによる人材開発をするためには適切な配置転換が不可欠。即ち、タレントマネジメントは適材適所がうまくいくためのポイントとなるのです。

人材アセスメントを行い適切な人員配置を行う

タレントマネジメントとも関連しますが、人材アセスメントにより社員の能力を適切に評価することも適材適所には有効です。人材アセスメントとは、アセッサーと呼ばれる評価者により社員の能力を定量的に評価すること。人材アセスメントは人材開発に使える他、適材適所にも活かすことができます。

まとめ

適材適所は、ビジネスでは人事や経営で使われる言葉です。無目的に配置転換するのではなく、人事戦略と連動させて使うことで適材適所は活きます。メリットや適材適所がうまくいくためのポイントを考えながら、自社にとって有効な適材適所を実行していきましょう。

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