ハイパフォーマーとは?
ハイパフォーマーの意味、重要性、そして反対概念であるローパフォーマーについて説明します。
ハイパフォーマーの意味
ハイパフォーマーとは、能力が高く自立的で、成果を上げ、自らコミュニケーションを取るため、周囲の意欲を引き出すことができる人材のことを言います。与えられた目標を100%こなすことに留まらず、ハイパフォーマーは難易度の高い目標に挑戦し、成果を上げられる人材です。
ハイパフォーマーの重要性
企業を取り巻くマクロ環境の変化により、1人ひとりが抱える仕事や課題が複雑で難しくなってきています。例えば、少子高齢化によるターゲット層の嗜好の変化、SNSの発展による消費者の情報発信力の強化、AIの発展によるビジネスモデルの転換等に対応するため、仕事や課題が複雑で難しくなっているのです。能力が高いハイパフォーマーでなければ、成果や実績を上げにくくなります。
ローパフォーマーについて
ハイパフォーマーの反対概念はローパフォーマーです。自らに課せられた目標を100%達成できない人材、職場の生産性を下げる言動を行う人材、頻繁にミスをする注意力に欠けた人材をローパフォーマーと言います。
ハイパフォーマー分析
ハイパフォーマーの範囲は幅広いです。ハイパフォーマーは自立的で能力が高く、成果を上げ、自らコミュニケーションを取るため、周囲の意欲を引き出す人材です。自社のハイパフォーマーを探すためには、人事評価で高い評価を受けている人を探すだけでは限界があります。そこで出てくるのがハイパフォーマー分析という評価方法です。
ハイパフォーマー分析は、ハイパフォーマーの定義を明確化することから始めます。定義の要件には、成果・自立性・コミュニケーション力・リーダーシップ等を取り入れるとバランスの取れた定義を設定できます。ハイパフォーマーの定義に基づき、コンピテンシー(行動特性)を設定します。
ハイパフォーマーの定義とコンピテンシーに見合った人材がハイパフォーマーとなる訳です。ちなみにコンピテンシーは成果を上げるための要因となるものです。次世代のハイパフォーマーを育成する時には人材のコンピテンシーに注目して、コンピテンシーを高めるように促すことになります。
ハイパフォーマーの特徴
ハイパフォーマーには具体的にどんな特徴があるのでしょうか?5つのポイントに沿って説明します。特徴を知って頂くと、ハイパフォーマー分析のコンピテンシー設定に役立つと思います。
成果を重視する
ハイパフォーマーの特徴で中核となるのは成果を重視することです。目標を100%達成することはもちろん、難易度の高い課題を乗り越えて組織全体の目標を大きく押し上げることに貢献します。
自ら行動する
ハイパフォーマーは自ら行動します。相手の出方を待つのではなく、意見を発信します。意見に対して他者から反対・批判されても、合理的に相手を納得させられるだけの説得力もあわせ持っているので、自立的に行動することにためらいがありません。
相手の立場に立って考える
ハイパフォーマーは自己本位ではありません。相手の立場に立って考えることができるので、同僚が悩んでいたら声をかけて一緒に悩みを解決しようとするのです。悩みが解決した同僚は嬉しいので、ハイパフォーマーのために仕事をします。また、悩みが解決したことで同僚自身のスキルアップにも繋がるため、組織の生産性向上にも影響を及ぼすのです。
困難・苦境を乗り越えられる
ハイパフォーマーだからといって、どんな難しい問題でも簡単に解決できる訳ではありません。難しい問題や課題に直面すればハイパフォーマーも苦悩します。しかし、ハイパフォーマーは難しい問題や課題を受け止め、困難・苦境を乗り越えることができるだけの精神力を持っているのです。
ポジティブである
ハイパフォーマーはポジティブです。部下や同僚が自分の言うことを聞かなかったり、顧客から無理難題を言われたり、急に契約関係の解消を迫られたりしてもポジティブです。一時は落胆しても、「もう一度這い上がろう」「次の顧客を見つけよう」とする強い意思を持っています。
ハイパフォーマーを増やすには?
ハイパフォーマーは持続的に増やしていく必要があります。ハイパフォーマーを増やすためには、人事部の中でハイパフォーマーを定義し、選定・分析して、人材マネジメント全体へ展開するためのプロジェクトを組むと効果的です。プロジェクトのメンバーは人事部のみで構いませんが、コンピテンシーを設定する際には他部署メンバーをオブザーバーとして含めて意見を聞くと現実と乖離しないコンピテンシーを作れます。
ハイパフォーマーの定義の明確化
プロジェクトを組んだ後はハイパフォーマーの定義を明確化します。ハイパフォーマーの定義には注意をして下さい。何となく、ハイパフォーマーは人事評価で評価が高い人を言うのだろうと漠然と考えていると、ハイパフォーマーの人間力を見失うことになりかねず、現実と離れてしまいがちとなります。自社のハイパフォーマーを定義した時に管理職や一般社員でも納得し得る定義を設定しましょう。
コンピテンシーと人事評価のリンク
ハイパフォーマーの定義を設定したらコンピテンシーを設定します。ハイパフォーマーの定義は会社ごとに違いますから、コンピテンシーも様々。社内の人材を見渡しながらコンピテンシーを設定します。コンピテンシーは成果を上げるための要因ですから、コンピテンシーと人事評価をリンクすることで人事制度の中にハイパフォーマーを増やす仕組みを作ることができるのです。
人材マネジメント全体への展開
人事評価とコンピテンシーをリンクさせれば、評価が高い人材がハイパフォーマーとなるので、社員にとってもハイパフォーマーとは何かが分かりやすくなり、目標も明確化します。人事制度だけでなく、採用・人材開発においてもハイパフォーマーを増やす方法を取り入れておけば、ハイパフォーマーを増やす方法が仕組み化できます。
「ハイパフォーマーを増やすために仕組み化する」とは次のイメージです。例えば、新卒採用なら、潜在的にハイパフォーマーのコンピテンシーを持っている学生を採用することであり、人材開発ではコンピテンシーを目指すように教育を通じて支援するのです。
ハイパフォーマーの離職防止策
長期雇用が前提の日本企業において、ハイパフォーマーを転職市場から採用するのは容易ではありません。社内でハイパフォーマーを確保し、辞めさせない施策が必要になります。
管理者のマネジメント力を高める
ハイパフォーマーを離職させないために、管理者のマネジメント力を高める必要があります。意欲があり周囲のモチベーションを高められるハイパフォーマーには、多くの仕事が課せられます。しかし、ハイパフォーマーにもできることには限界があります。管理職はハイパフォーマーに仕事が集中し過ぎないようしっかりと役割分担します。
また、ハイパフォーマーは難しい問題や課題を乗り越えようとするエネルギーがあります。簡単な仕事ばかりでは「自分は役不足だ」と感じて、難しい仕事ができる会社へ転職しようとしてしまいます。適度な量の難しい問題や課題をハイパフォーマーに与え続ける力量が管理職には求められるのです。
透明性の高い人事評価制度を構築する
ハイパフォーマーが「自分は会社から評価されている」と感じられる透明性の高い人事評価制度を構築することで、ハイパフォーマーの離職を防止できます。また、教育制度においても、横並びではなくハイパフォーマーを選抜した研修を受講させることでハイパフォーマーはスキルアップするのでやりがいを感じ、離職防止となります。
まとめ
ハイパフォーマーは、能力が高く自立的で、成果を上げ、自らコミュニケーションを取るため、周囲の意欲を引き出すことができる人材のことです。ハイパフォーマーは自分の仕事ができるだけでなく、周囲にも良い影響を与えていける人材なので、いかにハイパフォーマーを増やしていけるかが鍵となります。