ボトルネックとは?意味・熟語・問題となる理由・TOC理論を解説

ボトルネックの記事

ビジネスでよく使われるボトルネックという言葉。ネガティブな意味で使われることが多いですが、意味をよく理解していますか?ボトルネックは放置したままでいると問題になります。この記事では、ボトルネックの意味や問題となる理由、ボトルネックを解消するためのTOC理論を解説します。

目次

ボトルネックとは?

ネガティブな意味で使われることも多いボトルネックという言葉。ボトルネックの意味と使い方を確認しましょう。

ボトルネックの意味

ボトルネックとは問題や目標達成を阻む原因を表す言葉です。プロジェクトの全体工程のうち、明らかに問題が発生して進みが遅くなっている箇所のことを指します。

ボトルネックを解消しないと仕事が滞ったり、仕事の効率が低下したりします。

ボトルネックの由来はワインボトルの首にあたる細長い部分からきています。ボトルが細ければ細いほど、ワインが注がれる量は少なくなりますよね。ここから、仕事の問題の原因という意味で使われるようになりました。

ボトルネックの具体例

ボトルネックは広くビジネスで使われる言葉です。工場やオフィス、経営の場面でも使われます。例を見ながらボトルネックの使い方を確認しましょう。

新型コロナウイルス感染防止の観点から、不要な出張は少なくなりました。社内で行っていた会議もWeb会議に移行しつつあります。しかしWeb会議でも事が足りそうなのに、対面での会議にこだわる会社もあります。

この場合、対面での会議にこだわりすぎることが効率性を下げるボトルネックとなります。どういうことか見ていきましょう。わざわざ遠方の事業所から出張費をかけて移動すると、それだけで時間とコストのムダです。

アジェンダに基づいて意見交換するのであれば、実際に会う必要はなく、Web会議で十分なのです。それでも「昔から会議は対面だったから」「Web会議の経験がないから」という理由で対面の会議にこだわることは、効率性を低下させるボトルネックです。

ボトルネックの熟語

ボトルネックにはどんな熟語があるでしょうか?3つの熟語を確認します。

ボトルネック効果

ボトルネック効果は遺伝学の用語です。20万年前に誕生した人類は、7.5万年前に気象変動によって1万人までに急激に減少しました。その結果、現在は70億人もの人口に増えたにもかかわらず、人類の遺伝子の多様性はそれほどないことが分かっています。ボトルネック効果とは、人類の例のように、生物の個体数が一度大きく減少した後、個体数が増えた結果、遺伝子の多様性が低下することをいうのです。

ボトルネックインフレ

ボトルネックインフレとは、労働力・土地・資本などが不足することで需要に生産が追いつかず、物価上昇をまねくことをいいます。流行の人気商品や新型コロナウイルス感染防止のマスクなど、企業が経営資源を投入しても生産が追いつかず、物価上昇をまねくことがボトルネックインフレです。

交通ボトルネック

交通ボトルネックとは、交通渋滞の原因となる障害をいいます。事故や土砂崩れ、火災といった災害が障害となって交通渋滞となることがあります。これが交通ボトルネックです。

ボトルネックはなぜ問題か

ビジネスではなぜボトルネックが問題となるでしょうか?事例を元に理由を考えていきます。

生産性が低下する

ビジネスでボトルネックが起こると生産性が低下します。工場の例で考えてみましょう。工場で毎月100台の製品を生産しているとします。しかし、ある月の生産数が90台に減少してしまいました。

原因を探ると機械が老朽化していて、社員が手直ししたため生産数が10台も落ち込んだことが判明しました。 社員の労働時間、製品を作るための部品費用などは変わっていないのに、機械の老朽化というボトルネックによって生産性が低下したのです。ボトルネックが起こると生産性が低下する問題が起こります。

かけたコストがムダになる

ボトルネックが起こるとかけたコストがムダになります。経営の例で考えると、ボトルネックを解消しないまま事業を進めてもかけたコストがムダになるのです。 過去の成功例にとらわれ、企業が既存事業を拡大する戦略をとったとします。

しかし既に過去の成功例は時代のニーズに合っておらず、既存事業は衰退の一途を辿るとしたらどうでしょうか。過去の成功例にこだわることがボトルネックとなり、ヒトモノカネの経営資源を投入しても、かけたコストがムダに終わってしまうのです。

新規事業がうまくいかない

ボトルネックが起こると新規事業を始めてもうまくいきません。生産システムが整っていない状態で、ビールメーカーが新しくジュースを作り始めたとします。飲料を生産するわけですから生産工程には大きく違いがありませんが、生産システムの未整備はボトルネックとなります。 ボトルネックのせいで生産数に計画と実績とのギャップが生じ、また、満足のいく品質のジュースが作れない結果を生むでしょう。ボトルネックを解消しないまま新規事業を始めても良い結果に繋がりません。

ボトルネックを解消するTOCとは?

ボトルネックが起こると様々な問題を引き起こすことが分かりました。ボトルネックはどのように解消したら良いでしょうか。ボトルネックを解消し、ビジネスを効率化しようとするためのTOC理論を紹介します。

TOC理論

TOC理論はイスラエルの物理学者のエリヤフ・ゴールドラット氏が考案した理論で、企業の成長や目標達成を妨げる制約条件を改善することで効率化を図るという考え方です。

企業の成長を妨げる課題や問題はたくさんあると思います。それらを全て解決していこうとしたら、膨大なコストがかかるでしょう。TOC理論は問題の根本原因となる制約条件にフォーカスして対策を講じることで効率化を目指す考え方です。

TOCのステップ

TOC理論を活かし、ボトルネックを解消するにはどのようにしたら良いでしょうか。TOCを用いて効率化を目指す方法を4つのステップで考えます。

  1. ボトルネックを突き止める
  2. ボトルネックを改善する
  3. 次のボトルネックを突き止める
  4. 1~3のサイクルを繰り返す

1. ボトルネックを突き止める

TOCの最初のステップはボトルネックを突き止めること。工場の生産が落ちていたら、なぜ落ちたのかを分析します。現状の問題を全て洗い出して重要度によって区別し、最重要の問題となるものがボトルネック(制約条件)です。

問題は人材なのか、企業の仕組みやルールなのか、生産システムなのか、あるいは急激な需要増などの環境変化なのかといった問題を洗い出して整理し、ボトルネックを突き止めましょう。

2. ボトルネックを改善する

ボトルネック(制約条件)を突き止めたら、ボトルネック解消に着手します。ボトルネックが生産システムなら、生産システムのリニューアルに努めます。コストがかかりますが、ボトルネックを放置することのリスクを天秤にかければ必要経費と捉えましょう。

生産システムのリニューアルによりボトルネックを改善します。 なお、生産システムのように改善方法が分かりやすいケースばかりではありません。原因を究明したらすぐに解決策が見つからないこともあります。情報を収集しつつ最適な解決策を見出し、ボトルネック解消を行います。

3. 次のボトルネックを突き止める

ボトルネックを改善した後は次のボトルネックを突き止めて下さい。ボトルネックを改善したことによって生じる「新たなボトルネック」もあります。

ボトルネックを探しても、結果的にボトルネックが見当たらないこともあります。結果的にボトルネックを全て改善したという状態を作るまで、次のボトルネックを探す意識をしておいて下さい。次のボトルネックが見つかれば、解決策を講じてボトルネックを解消します。

4. 1.~3.のサイクルを繰り返す

ボトルネックの発見、ボトルネックの解決策、ボトルネックの改善、そして次のボトルネックを発見といった一連のサイクルを繰り返しましょう。ビジネスは固定化しておらず流動的です。1~3のサイクルを繰り返すことで、常にボトルネック(制約条件)がない状態を保つことが大切です。

まとめ

ボトルネックは、ワインボトルの細長い首の部分に由来する言葉です。首が細ければ細いほど、ワイングラスに注がれるワインの量は少ないですね。ビジネスでは企業の成長や目標達成を阻害するものとして、ボトルネックが使われてきました。記事では事例やTOC理論のステップを分かりやすく説明しました。 ボトルネックが起こると様々な問題を引き起こします。早めに発見し、問題に合った解決策を講じてビジネスを効率的に進めたいですね。

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