社会人として働いていれば「会社に行きたくない」と思うことは誰にでもあります。問題は「会社に行きたくない」心理がずっと続いてしまうことで、ときには精神疾患を発症することも。会社に行きたくないと思ってしまう理由とは何か?会社に行きたくないときの対処法などについて解説します。
会社に行きたくないときの心の状態
会社に行きたくないときの心の状態はどうなっているのでしょうか?一時的に行きたくない場合、慢性的に行きたくない場合に分けて説明します。
一時的に行きたくない
「仕事で失敗した」「台風なので行きたくない」などの理由で一時的に会社に行きたくないと思うことは誰にでもあります。
一時的な気持ちの落ち込みはすぐにおさまりますが、仕事での失敗が何度も続くと気持ちがふさいできて、慢性的に会社に行きたくないと思ってしまいます。
落ち込みの原因が明確なときは、趣味に没頭したり、友人や家族に悩みを話すなど、なんらかの形でストレスを発散できると良いでしょう。
慢性的に行きたくない
「仕事での失敗が続く」「人間関係が合わない」ために慢性的に会社に行きたくない状態が続くと、なかなかポジティブな気持ちを持ったり、モチベーションを上げたりすることはないでしょう。
会社に行きたくない気持ちが慢性的に続くようであれば、本格的に病んでしまう前に抜本的な改革をする必要が出てくるでしょう。
会社に行きたくないと思う7つの理由
慢性的に会社に行きたくないと思う理由にはどんなものがあるのでしょうか?特によく耳にすることが多い7つの理由を確認します。
能力を超える難しい仕事
仕事をこなすためには職務遂行能力が必要です。自分の能力を超える難しい仕事を前にすれば、誰しも尻込みするでしょう。
難しい仕事に対しても、自分の能力を最大限に使い、上司や先輩の力を借りることで達成できます。しかし、年がら年中、自分の能力を超える難しい仕事に直面したら会社に行きたくないと思っても不思議ではないですね。
膨大な仕事
1つひとつの仕事は難しくなくても、残業や休日出勤をしないとこなせないくらい膨大な量の仕事に直面すると会社に行きたくないと思います。
プライベートな時間を確保できないほどに多くの仕事をさばいていると、「一体何のために働いているのか」と気持ちがめいってきてしまうでしょう。
失敗や挫折感
失敗や挫折感はビジネスパーソンに考える力を養い、ストレスを強くします。しかし失敗や挫折が続いてしまい、会社にいづらくなると会社に行きたくないと思います。
また、そもそも失敗や挫折が許されない雰囲気の職場では会社に行きたくないと思います。例えば心理的安全性が保たれていない職場では、人が失敗をすることを許しません。
絶対に失敗しない人などいませんから、失敗したときに会社に行きたくないと思ってしまうわけです。
重い責任やプレッシャー
年中、重い責任やプレッシャーにさらされる仕事をしていると会社に行きたくないと思います。来る日も来る日も責任を問われ続けたら、仕事への活力やモチベーションが下がり会社に行きたくないと考えるのです。
長い労働時間
休みなく働き、毎月長時間労働を続けていると、会社に行きたくないと思います。80時間以上の時間外労働は過労死ラインであり、心身をむしばみます。過労死ラインの時間外労働でなくても、長時間労働が続くと気持ちがめいり会社に行きたくないと考えます。
人間関係の悪化
社会人として働く以上、人間関係は避けては通れません。良好な人間関係であれば勤務を続けられますが、人間関係が悪化していると会社に行きたくないと思うのです。
不公平な評価
一所懸命に仕事をがんばったのに不公平な評価を受け続けると会社に行きたくないと思います。会社の期待に沿わない努力を注いで評価されないのは当然です。
しかし、部署や個人の目標に合うように努力しているのに評価されなければ、モチベーションが低下し会社に行きたくないと考えるのです。
会社に行きたくない気持ちが精神疾患を生むことも
慢性的に会社に行きたくない気持ちが続くと、精神疾患に繋がることもあります。
うつ病の症状
厚生労働省は以下の症状が2週間以上続いたことをうつ病の目安として挙げています。
- 抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
- 何をしても楽しくない、何にも興味がわかない
- 疲れているのに眠れない、一日中ねむい、いつもよりかなり早く目覚める
- イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない
- 悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
- 思考力が落ちる
- 死にたくなる
会社に行きたくないと思ったときに、以上のような症状が長く続くようなら、うつ病を疑い医療機関を受診することも検討します。
メンタルヘルスにより休職、退職した人の割合
労働政策研究・研修機構に調査によると、1年間にメンタルヘルスのために連続1か月以上休職、もしくは退職した人がいた事業所の割合は25.8%です(雇用形態不問)。
企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど休職・退職者がいた割合が大きくなります。
30人未満では10.8%の割合でしたが、300~999人では25.7%、1,000人以上になると31.2%であることが分かっています。
会社に行きたくない場合にやってはいけない失敗
会社に行きたくない状態が長引くと、精神疾患にかかることもあります。
ですから、会社に行かずに気持ちを落ち着けたいと考えたくもなるでしょう。しかし、会社に行きたくないからといっても、やってはいけないことがあるのです。
無断欠勤する
会社に行きたくないからといって、無断欠勤してはいけません。休むときは必ず会社に連絡してから休むようにしましょう。会社の就業規則によっては、無断欠勤を懲戒処分の対象にしている会社もあります。
「会社に行きたくないくらい辛いのだから、連絡しなくても大丈夫だ」と勝手に判断せず、連絡してから休むようにして下さい。
衝動的に退職する
衝動的に退職することも慎みます。最近では退職代行というサービスも出てきていますが、まともに引継ぎもせずに辞めると損害賠償を請求されるリスクがあります。
また、転職先が決まらないのに退職すると、生活できなくなってしまいます。会社に行きたくないときは、まずは休んでから次のことを考えるようにします。
会社に行きたくない場合の対処法とは?
最後に会社に行きたくない場合の対処法を4つご紹介します。
有給休暇を取得する
会社に行きたくないときは、有給休暇を取得することで気持ちをリフレッシュして下さい。
有給休暇中の給与は保証されています。2019年4月より、最低5日の有給休暇取得が義務化されました(有休の年間付与日数が10日以上の労働者が対象)。有給休暇を取得して、まずは心身を休めてみましょう。
会社に行きたくない原因と向き合う
責任感があり、真面目な人は会社に行きたくない気持ちを抑え込んで仕事に邁進してしまいがち。会社に行きたくない原因と向き合い、原因を解消できるか否かを考えます。上司や人事部に相談できる場合は相談します。
休職する
会社に行きたくない気持ちが溢れ、自分の心身が壊れそうだと思う場合は休職することも考えて下さい。
休職するには会社によって条件が異なります。医師の診断書が必要になる会社が多いです。自分の心理状態がどういう状況にあり、回復するにはどのくらいの休養期間が必要か、医師に診断してもらって下さい。
転職を検討する
会社に行きたくない原因と向き合い、休職しても解消の見込みがない場合、あるいは解消の見込みがないであろうと思われる場合は転職を検討します。
変わらない人間関係、働き方、仕事への責任がのしかかったままでは、会社に行きたくない気持ちを抑圧して働き続けることになります。会社に行きたくない気持ちを放っておけば精神疾患に至るリスクがあるのですから、真剣に転職を検討する必要があります。
在職中に転職できるのが理想ですが、難しければ休息して転職することも含め、自分に都合が良い転職方法を選択します。
まとめ
慢性的に「会社に行きたくない」気持ちの理由を7つ紹介しました。会社に行きたくない気持ちを抑え込んでしまうと、精神疾患に至る可能性もあります。早期に対処法を試し、会社に行きたくない気持ちを脱する道を探ることが賢明です。