限定正社員とは?種類・就業規則例・メリット・デメリットを解説

限定正社員の記事
正社員や契約社員、パートの他に限定正社員という雇用形態があります。限定正社員は正社員という名称が付いていますが、職務や勤務地が限定されている正社員です。限定正社員にも種類があり、職務限定正社員・勤務地限定正社員等があります。記事では、限定正社員を設定する際の就業規則例、メリット・デメリットを解説します。
目次

限定正社員とは?

限定正社員とは、通常の正社員とは異なり職務や労働時間、勤務地が限定されている正社員のことを言います。正社員との違いや限定正社員の種類を説明します。ちなみに限定正社員は法律で定められた用語ではありません。

正社員と同じか?

正社員という言葉が付いていますが、限定正社員と正社員とは同じではありません。正社員のように無期契約ですが、限定正社員は職務や労働時間、勤務地が限定されています。一方で正社員は残業に応じる義務があり、職務や勤務地にも限定はないのです。

正社員は、新入社員の頃に経理部に配属されても、5年後も経理部でいられるかどうかは分かりません。成果を上げるためには残業や休日出勤を行わなくてはならないこともあります。また、勤務地についても同様で、大阪で採用された人が10年後にはイギリスに駐在しているかもしれません。一方で限定正社員は職務、労働時間、勤務地等が限定されているという違いがあるのです。

限定正社員の種類

限定正社員には次の3つの種類がありますので、それぞれ解説しましょう。

・職務限定正社員
・勤務時間限定正社員
・勤務地限定正社員

職務限定正社員とは、職務を限定した正社員のことです。職務は経理、人事等と限定されています。勤務時間限定正社員とは、残業を免除されたり短時間勤務で働いたりする正社員です。育児や介護等の理由で定時までしか働けない、あるいは通常よりも短く6時間までしか働けないといったニーズに応える働き方となります。1週間の所定労働日数が短い働き方も勤務時間限定正社員の1つです。

勤務地限定正社員とは、特定の勤務地で働くことを限定する正社員の働き方です。勤務地を限定すると言っても転勤がないことだけを意味するのではなく、様々な種類があります。特定の事業場で働くことを限定したり、関東圏内でのみ働くことを限定したり、あるいは、特定の市区町村でのみ働くことを限定したりといったバリエーションがあります。

限定正社員が求められる理由

なぜ限定正社員が求められるのか、理由を解説します。

非正規社員の無期契約への変更

2013年の改正労働契約法により、期間の定めがある非正規社員を通算5年間雇用契約した場合、無期契約に変更することになりました。非正規社員をそのまま正社員と同待遇にしてしまうと人件費がかさんでしまいます。

その点、限定正社員にすれば正社員よりは少ない人件費で済みますね。また、非正規社員は正社員と違って職務や労働時間、勤務地が限定されていますから、スムーズに移行できるでしょう。企業事例として、日本郵政グループが勤務地限定正社員制度を導入しています。

多様な働き方の推進

育児や介護、ボランティアといった私生活と仕事を両立させる働き方、また、副業と本業を両立させるパラレルワークといった新しい働き方をビジネスパーソンが求めるようになりました。このように多様な働き方を推進することに対して、労働時間・勤務地・職務が限定されない働き方では対応することが難しいため、限定正社員が求められるのです。

限定正社員の就業規則例

限定正社員を制度化するには就業規則の改定が必須です。限定正社員の就業規則例として、勤務地限定正社員の例を紹介しましょう。勤務地を通勤圏内に限定する時、「勤務地限定正社員は、採用時の自宅から通勤できる勤務地で勤務するものとする」とします。また、勤務地を関東圏内に限定する時なら、「勤務地限定正社員は、関東圏内の事業所に限定するものとする」とします。

また、限定正社員を制度化する時は、給与規程を改定して限定正社員用の賃金テーブルを作ったり、人事評価制度を改定して限定正社員の評価方法を決めたりすることが必要となります。

限定正社員制度のメリット

限定正社員制度のメリットを紹介します。

非正規社員より雇用が安定している

限定正社員は期間の定めがある非正規社員と違って無期契約です。ですから、契約更新がされずに失業する心配がなく雇用が安定しているのがメリットです。

ワークライフバランスが保たれる

限定正社員なら正社員と違って残業が免除されたり短時間勤務が認められたりします。それにより、仕事と私生活を両立できるのでワークライフバランスが保たれると言えます。

優秀な人材を確保できる

優秀な人材を確保できるのも限定正社員のメリットです。限定正社員制度を導入していれば、専門的な仕事のみ携わりたいと思ったり、または正社員のように長い時間拘束されたり、勤務地の変更があったりする働き方を好まない優秀な人材を採用し、定着させることが可能になるのです。多様な働き方の推進の項目で述べましたが、育児や介護、ボランティア、趣味、副業等といった様々な事情で限定的な働き方を望むビジネスパーソンがいます。

そのような意向を持つ人材の能力が高く、そして企業が求める職務のレベルが高度で専門的であれば、雇用のミスマッチがなく優秀な人材を確保することができます。

正社員同様の福利厚生

企業によっては正社員だけが利用できる福利厚生があります。限定正社員なら正社員同様の福利厚生を受けることができます。

限定正社員制度のデメリット

限定正社員制度のデメリットはどんなものがあるでしょうか?紹介します。

従業員の解雇に制限がかかる

企業にとってのデメリットとして、容易に従業員を解雇できないということがあります。非正規社員なら契約期間満了で解雇することができますが、限定正社員は無期契約ですから労働基準法で守られ、解雇に制限がかかるのですね。非正規社員から限定正社員に契約内容を移行する際は、無期契約の限定正社員として十分な人材かどうか、限定正社員登用制度を活用して見極める必要があります。

勤務地がなくなることがある

限定正社員本人のデメリットとして、勤務地がなくなることがあります。勤務地限定正社員であれば、勤務地がなくなることは、最悪の場合解雇を意味します。特定の勤務地で働けることが限定正社員のメリットなのですが、勤務地がなくなれば失業を意味することは想定しておかなくてはなりません。

正社員との処遇に格差がある

限定正社員は正社員と同じではありません。それは勤務地、労働時間、職務だけではなく待遇についても同様です。限定正社員制度を導入する際、企業は正社員と限定正社員の処遇を分けて考えます。賃金テーブルや人事評価制度等も区分けして設計しています。

企業にとっては、勤務地、労働時間、職務を限定する正社員よりも、通常の正社員の方が企業戦略の実現のためには活用しやすいのです。そのため、正社員と限定正社員との処遇に格差を設けている企業もある訳です。

まとめ

限定正社員は、無期契約の正社員でありながら勤務地、労働時間、職務を限定した雇用形態の従業員のこと。育児や介護、ボランティア、副業といった本業以外のことに時間を割きたいと考えるビジネスパーソンにとって、限定正社員は多様な働き方を推進する制度と言うことができます。限定正社員を導入すれば優秀な人材を確保できたり、限定正社員本人とっては雇用が安定し福利厚生を享受できたりします。

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