グローバリゼーション意味とは
まずは、グローバリゼーションがどのような意味を持っているのか確認していきましょう。
グローバリゼーションの定義
グローバリゼーションとは、国や地域を超えてヒト・カネ・モノが移動し、政治や文化、経済が拡大していく現象もしくは用語のことです。国や地域という枠組みを超えることで様々な分野での画一化が図れるようになります。
グローバリゼーションを身近な例で説明
言葉で読んでもわかりにくいかもしれないので、具体例を出していきます。
グローバリゼーションの具体例としてあげられるのが、資本主義を取り入れた国が他の国の文化や産業の仕組みを自国の発展に利用することです。これは自由主義の国や社会主義国の経済特区なども同じことが言えます。
また、地球温暖化に代表されるような環境問題や人の動きが活発になることに伴うパンデミック(感染症の世界的な流行)などは、グローバリゼーションの副産物だと言えます。
グローバリゼーションが進展した理由
人やもの、金が活発に動くグローバリゼーションが進展した背景には単純に交通手段や輸送手段が発達したことが挙げられます。また、それと同時にインターネットなどのテクノロジーが発達したことで、海外との距離感が近くなったことも大きな理由だと考えられます。
グローバル化と国際化の違い
「グローバリゼーション」や「グローバル化」という言葉と似たものに「国際化」があります。一見すると日本語と英語の違いのように思えるかもしれませんが、両者の意味合いは全く異なります。
まず、国際化とは、簡単にいうと、国境線を前提として国と国の相互作用を促すものです。そのため、国の政策に依存してしまうほか、当事者の国以外からの影響はあまり受けません。
一方のグローバリゼーションは先ほども紹介したように国や地域という枠組みを超えて人やもの、金が動くもので、世界各国を巻き込んでいく現象です。そのため、直接的には関係のない国からの影響を受けることも珍しくありません。
1997年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックによる世界経済への打撃などはその例だと言えます。
グローバリゼーションのメリット・デメリット
では、グローバリーゼーションにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。引き続き解説します。
グローバリゼーションのメリットは?
グローバリゼーションに伴うメリットの1つが生産性の向上です。人やもの、金が動くことで製造業などでは分業が進展し、立地や人件費などが最適な国で生産活動を行うことができるようになります。また、それに伴い各地での雇用が増加する点もメリットとして挙げられます。また、他の国から技術や文化も入ってくるため、その国の技術や文化の発展も期待できるでしょう。そのほかにも、経済問題が発生した時でも、1国では解決できなくても、世界的な規模で協力することができれば、問題解決を図ることができます。
デメリットや問題点は?
一方のデメリットとしては産業の空洞化が挙げられます。立地や人件費を考慮して海外の国を生産拠点にするということは国内の拠点がいらなくなってしまうということです。つまり、それまで国内で動いていたお金は海外に移ってしまうため、国内の産業が空洞化してしまうのです。また、海外の人員を雇用する分国内の雇用は少なくなってしまう点もデメリットになってしまうでしょう。さらに、技術や文化を導入したとしても、それらがその国に適しているとは限りません。場合によってはもともとあったその国の文化を壊してしまう恐れもあります。
経済のグローバリゼーションが日本に及ぼす影響
グローバリゼーションは経済分野でも起こる可能性があります。その場合、日本もその影響を受けることになるでしょう。どういった影響を受けるのか解説します。
1. 「ヒト」「モノ」「カネ」の移動~すべてがつながり移動する
ヒトに関しては旅行などによる国外移動者数が全世界で非常に多くなるほか、移民の流入などヒトの動きが活発になります。また、モノに関しては、日常生活で使用する品々の多くが中国や東南アジアで作られてものになるでしょう。さらに外食や生命保険など、外国の企業が提供するサービスを利用する機会も多くなります。一見すると日本はグローバリゼーションと関係ないように思うかもしれませんが、すでにその影響は受けていると言えます。
2. 資本の論理の貫徹~モノに対するカネの優位
カネの動きが活発になると日本の会社も経営面で影響を受けるようになります。また、カネが動くことで株価や通貨が変動することで日本の経済や政治、さらには社会にまで影響が及ぶケースもあるでしょう。
3. 均一化し平ら(Flat)になる世界~ 一物一価の法則
世界各国にマクドナルドやコーラ、スターバックスがあるように、世界のどの国にいてもサービスが均一化されるようになります。また、それに伴い住民の生活も均一化してくるでしょう。
グローバル化に成功している企業の事例
日本の企業の中には海外に進出し、グローバル化を果たしているケースも見られます。続いてはグローバル化の企業の例を5つ紹介します。
1. 株式会社ニッコー
株式会社ニッコーは、北海道釧路市にある食品加工機械を作る会社です。鮭加工機械やホタテ貝自動生剥き機などの水産 加工機械、食品加工のロボットシステムなどを手がけています。現在進出しているのはロシアや中国、タイなどです。海外に進出したきっかけは国内が成熟してきたことと、海外で機械を使った自動化に対するニーズがあったためだそうです。 平成26年には絵画特許を取得するなどしています。
2. 日東建設株式会社
日東建設株式会社は、北海道雄武町にある土木建築会社です。土木建設関連の業務のほか、非破壊検査装置の製造・販売も手がけています。進出先の国にはアメリカや韓国、台湾、ナイジェリアなどが挙げられます。公共事業が減少したことがきっかけとなり、海外展開をスタートした同社は、平成26年にはナイジェリアで自社の検査機を利用した技術指導を行うなどしています。
3. 末永海産株式会社
末永海産株式会社は、水産加工業を営む企業です。香港や台湾、タイ、マレーシアなどのアジア各国に進出しています。2011年の震災をきっかけに国内市場が縮小したことに伴い海外展開を行うようになった同社。被災企業で統一ブランドを作ったほか、公的支援を効果的に活用したことなどが功を奏して海外展開を成功させています。
4. 中央葡萄酒株式会社
中央葡萄酒株式会社は山梨県甲州市でワイン製造を行う会社です。主な海外進出先はイギリスやスウェーデン、ベルギー、ロシア、中国、アメリカ、シンガポール、オーストラリアなど多岐に渡ります。日本を代表するワインの1つである甲州ワインの海外展開に力を入れている同社が海外に進出したのは日本ワインが輸入ワインに押され気味だったことがきっかけでした。海外進出の結果、2014年にはロンドンのワインコンクールで金賞を獲得するなどし、輸出が拡大しています。
5. 株式会社ソトー
株式会社ソトーは愛知県一宮市で繊維製品の染色加工業を営む会社です。海外に進出したきっかけは中国に仕事がシフトしている中で仕事を取り戻し、世界市場をターゲットにしていきたいと考えていたためです。現在では、ベトナムに進出し、ベトナムの国営企業と業務提携するなどグローバルレベルでの生産体制を整備しています。
まとめ
今回は、グローバリゼーションについて解説しました。世界規模でヒト、モノ、カネが動くことで経済や文化、社会に大きな影響を与えるグローバリゼーションは日本も例外ではありません。すでに海外進出を果たしている企業が数多く存在するほか、これから先、外国の方がどんどん日本で暮らすようになるかもしれません。しかし、これらはおかしなことではなく、世界との距離が近くなったからこそ起こる当然のことなのです。